今週は、Wordで使用する単位を変更する方法を紹介する。また、図形や写真などのサイズを数値で指定したときの不可解な挙動についても考察してみよう。

使用する単位の変更

Wordの「表示」タブで「ルーラー」をONにすると、画面の上と左にルーラー(定規)を表示することができる。このルーラーに表示される数値の単位は、横方向が「○字」、縦方向が「○行」に初期設定されている。

※「○字」や「○行」の詳細については、本連載の第2回目第3回目を参照。

ルーラーの表示

とはいえ、文書によっては「ミリメートル」や「センチメートル」といった単位の方が便利な場合もあるだろう。このような場合はWordの初期設定を変更すると、好きな単位でルーラーを表示できるようになる。

具体的な手順を示していこう。まずは「ファイル」タブを選択し、「オプション」をクリックする。

オプション設定の呼び出し

続いて「詳細設定」を選択すると、右側にWordの初期設定に関連する項目が一覧表示される。ルーラーの表示単位を変更するときは、「単位に文字幅を使用する」のチェックを外せばよい。さらに「使用する単位」を変更し、「ミリメートル(mm)」以外の単位を指定することも可能だ。

使用する単位の変更

これで指定した単位でルーラーを表示できるようになる。この場合は、段落ダイアログなどに表示される単位も合わせて変更される仕組みになっている。

単位を「ミリメートル」に変更したルーラー

単位を「ミリメートル」に変更したときの段落ダイアログの表示

「○字」や「○行」といった単位に馴染めない方は、初期設定で使用する単位を変更しておくのも一つの良案といえる。気になる方は試してみるとよい。

サイズの数値指定について

Wordの単位について紹介したついでに、サイズを数値で指定するときの不可解な挙動について考察しておこう。Wordの「書式」タブには、写真や図形のサイズを数値で指定できる機能が装備されている。この機能を使ってサイズを指定することも可能であるが、数値が微妙にずれることに戸惑いを感じている方も多いであろう。

たとえば、画像の高さに「50mm」を指定すると、勝手に「49.99mm」に変更されてしまう。わずか0.01mmの誤差とはいえ、あまり気持ちのよい現象ではないはずだ。

高さに「50mm」を指定すると…

自動的に「49.99mm」に置き換わる

では「49.99mm」を指定するとどうなるだろうか? この場合は、指定した「49.99mm」のまま何も変化は起こらない。同様に50mm近辺のサイズについて調べてみると、以下の表のような結果になった。

「指定したサイズ」と「実際のサイズ」の一覧

入力した数値に変化が起こらないのは「49.99mm」と「50.01mm」の場合だけで、それ以外は微妙に小さな数値に変更される結果となった。また、「50.03mm」を指定したときは「50.02mm」に変更されるのに、「50.02mm」を指定すると今度は「50.01mm」に変更される、という理解しがたい挙動も確認された。

このような結果になるのは、Wordが内部的にデータを記録する際に「ポイント」を基本単位としていることが原因であると予想される。試しに単位を「ポイント」に変更してからサイズを指定してみると、「20.18pt」→「20.15pt」といった具合に、0.05pt未満の指定が切り捨てられる結果となった。ここから想像するに、Wordにおける最小単位は「0.05pt」であると考えられる。

そこで、1ポイント=1/72インチ≒0.35278mmとして先ほどの例を計算してみると…、

サイズ変換の様子(予想)

上記のような結果になり、先ほどの例と一致することを確認できる。Wordの開発者ではないので確証はないが、おそらくこのような仕組みで単位の変換と表示が行われているのであろう。ちなみに、0.05ptは約0.0176mmとなり、0.01mmよりも大きいことになる。よって、0.01mm単位でサイズを指定(表示)すること自体に無理があると考えられる。

切りのよいサイズを指定できないのは悩ましい現象ではあるが、根本的な解決法が見つからない以上はどうしようもない。あえて解決策を示すと「細かいことは気にしない…」ということになる。実際問題、0.01mm程度の誤差を目で確認するのは不可能であるし、そもそもプリンタの解像度がそのレベルに達していないはず。要するに、微細な誤差を気にすること自体が無意味なのである。Wordを利用するときは、ある意味、このように割り切って考えることも大切なポイントとなるだろう。