食品放射能調査 第2回目:冬のお魚調査

記事 - 2011-11-17
前回の調査に引き続き、大手スーパーマーケット5社で調査を行ったところ、放射能汚染された商品が広く販売されていたことを確認しました。

放射能測定室 シルベク 食品放射能調査
第2回目:冬のお魚調査

(三陸・関東編)

前回の調査に引き続き、大手スーパーマーケット5社で調査を行ったところ、放射能汚染された商品が広く販売されていたことを確認しました。

前回の調査ではブリやカツオ、今回の調査ではマダラやメバチマグロなど、大型魚からの放射性物質の検出が目立ちます
また、缶詰(サバの水煮)からも、放射性物質が検出されました。

調査結果

  • 一般に販売されている魚介類に放射能汚染された商品が幅広く混入していることを確認。 (対象5社全てのスーパーマーケットで放射能汚染された魚介類商品を確認。全75サンプル中27サンプルから放射性物質を検出)
  • 冬の鍋に欠かせないマダラや、年末年始に多く消費されるメバチマグロなど、季節の魚で広く流通されているものから汚染が確認された(サンプルは季節の魚を中心に購入)。
  • 商品の外見や表示(ラベルなど)からは汚染度合いを見分けることができず、消費者が知らないうちに汚染された魚介類を口にしている可能性が高い。
  • 汚染度合いが最も高かったのはユニーで購入したマダラ(北海道産)で47.3Bq/kg(セシウム134,137)。
  • 缶詰:サバの水煮から、放射性物質を検出(国産)。
    表示義務がないため、原料の汚染度合いはおろか、何サバ(マサバ?ゴマサバ?それとも?)なのかも、どこの海域でいつ獲られた魚なのかも、購入時に把握することができない。
  • マダラ:7サンプル中5サンプルから放射性物質を検出(岩手県、宮城県、北海道産)。
  • メバチマグロ:5サンプル中全てから放射性物質を検出(宮城県産)。
  • カツオ:5サンプル中全てから放射性物質を検出(宮城県産)。

第三者機関からの検査結果報告書>>



放射性セシウムが検出された缶詰(国産さば使用さば水煮)に関して、多くの方からお問い合わせをいただきました。
商品情報は下記の通りです。
製造者である株式会社宝幸には、グリーンピース・ジャパンから結果を報告しています。
  • さば水煮・天日塩使用
  • 【原材料名】 さば、食塩
  • 【内容総量】 190g
  • 【製造者】 株式会社 宝幸 八戸工場 青森県八戸市大字市川町字尻引前山31-203

調査の背景


  • cKazuya Hokari/Greenpeace
    東京電力福島第一原子力発電所の事故により、魚介類が放射能汚染され続けている
  • 流通規制の強化や食品安全の保障は、本来であれば政府が早急に行うべきですが、行政指導が消費者の安全性を確保しきれていない
  • グリーンピースは政府に対し迅速かつ適切な対応を要請していますが、依然として政府の対応がきわめて遅いままで、東京電力による情報開示は満足に進まず、その間に大量の魚介類が広く流通され、消費者の口に入っている
  • この現状で、魚介類消費における安心確保に最も敏感に動き出せるのは、流通経路の中で消費者に一番近い位置にあり、消費者にとって最大の魚介類購入先である、大手スーパーマーケット
  • 2011年11月17日現在、大手スーパーマーケットで、魚介類の自主検査の実施、検査結果の公開、自主流通基準の策定を公表している企業は、イオン一社のみしかない
  • 自主検査の実施や、流通規制の策定を行っていない大手スーパーマーケットが拠り所としている行政指導は、消費者の安全性を確保しきれるものではない
  • 多くの消費者は「暫定規制値以下かどうか」だけではなく、実際に魚介類がどれほど汚染されているのか、その具体的なベクレル値を知りたがっている

調査内容

  • 調査期間: 2011年10月12日~11月8日
  • 対象スーパーマーケット: イオン、イトーヨーカドー、ユニー(アピタ)、ダイエー、西友
  • 対象地域: 神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、福島県、宮城県の店舗
  • 対象サンプル: 季節の魚で、東日本太平洋側そ産地とする魚介類商品を中心に、各スーパーマーケットで15商品ずつ購入。
  • 検査方法: 「グリーンピース放射能測定室 シルベク」で、NaIシンチレーション検出器を用いてスクリーニング検査の後、第三者機関(株式会社エフイーエーシー、株式会社エコプロ・リサーチ)で、ゲルマニウム半導体検出器を用いて検査。

<スクリーニング検査について>


c Kazuya Hokari / Greenpeace

「シルベク」で行うスクリーニング検査(精密検査前の簡易検査)には、短時間(30分前後)でセシウムなどの放射性物質が食品に含まれるかどうかを迅速に検査できる、NaIシンチレーション検出器(Berthold Technologies社製 LB 2045)を使用しています。
また、この検査器で正確な計測を行うために必要な以下の作業を、ACRO(フランスの放射能測定専門機関)の協力のもと、導入時から定期的に行っています。

  • 検出器の校正:測定のずれを把握して補正する
  • 計数の更新:検出器から得られる計数率(※)を放射能(ベクレル/kg)へと換算する際に必要な計数を補正する

計数率とは
単位時間当たり(秒や分など、計測器・方法・目的によって異なる)に検出器に入射した放射線の数。

グリーンピースの活動

東日本大震災以降、グリーンピースは多くの消費者の方々と共に、政府と大手スーパーマーケットと対話を続け、魚介類商品における放射能汚染の対応強化を要請してきました

具体的要請は以下の3点:

  1. 魚介類商品の独自の放射能検査を実施し、その結果を公表することで、消費者が選択購入できる十分な情報を提供する(2011年11月17日現在、大手スーパーマーケットで、魚介類の自主検査の実施や検査結果の公開を公表している企業は、イオン一社のみ)。
  2. 政府が定める暫定規制値を安全基準とせず、独自の流通基準を設け公表することで、消費者に安心を提供する(2011年11月17日現在、自主流通基準の策定を公表している企業は、イオン一社のみ)。
  3. 水産庁による「東日本沖の太平洋側で獲られる、魚介類商品の産地表示を『水揚げ港』ではなく『漁獲海域』に徹底する」よう求める通知に従い、消費者に選択購入の基準を提供する

成果

  • 2011年11月8日: 最大手のイオンが、魚介類を含む食品において、放射能検査の品目数拡大と分析結果の公開、そして流通基準の厳格化を発表しました。
  • 2011年10月5日: イオンが、サンマやカツオなど4種の秋の魚における、放射性物質の自主検査の開始を発表しました。
  • 2011年10月1日: 水産庁が、東日本沖の太平洋側で獲られる魚介類の産地表示について、「水揚げ港」ではなく「漁獲海域」の徹底を求める通知を出しました。

私たち消費者ができること

業界最大手イオンは、グリーンピースの要請に加え、6,000件の消費者の声を受けて変わりました
他の大手スーパーマーケットも政府ではなく消費者の方向を向いて放射線汚染問題に取り組むよう、毎日行くスーパーマーケットや変わってほしいスーパーマーケットに「お客様の声」を届け、その成長をサポートしてください!

 

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