ザックジャパンVS関塚ジャパンの夢の対決が実現する。日本代表とU-22(22歳以下)日本代表が、8月30日に対戦することが29日、分かった。A代表と五輪代表が対戦するのは史上初めて。アルベルト・ザッケローニ監督(58)の強い要望で実現した。両代表は8月29日から3日間、合同合宿も実施。同監督の目に留まった若手は、9月2日から始まる2014年W杯ブラジル大会アジア3次予選メンバー入りの可能性もある。

 目前のW杯予選、3年後のW杯ブラジル大会に向け、ザッケローニ監督が動いた。9月2日のW杯アジア3次予選第1戦(日本ホーム、相手未定=7月30日抽選)直前に、U-22日本代表との対戦を要請し、実現することになった。A代表と五輪代表の対戦は史上初。

 8月30日に首都圏開催で準備に入り、埼玉スタジアムが有力。観客を入れるかどうかは未定。スタミナ抜群のDF長友と、快足FW永井の迫力あるマッチアップや、圧倒的なキープ力のMF本田に、才能豊かなボランチ山村がどれだけ通用するかなど見どころ満載。

 U-22代表は8月29日から3日間、A代表と合同合宿を行い一時解散。A代表は同日集合し、9月2日にW杯予選の初戦、同6日に第2戦(アウェー)を戦い解散。日本協会幹部は「対抗戦と練習で、ザッケローニ監督が下の年代の選手を手元に置いて実力を見極め、A代表メンバーにけが人が出たり、出場停止者が出たら、若手を追加招集する可能性はある」と話した。場合によっては、U-22代表FW永井、MF清武、山村、DF酒井宏らが、W杯予選に投入されることも考えられる。

 過去にA代表と五輪代表が対戦したことはない。Jリーガーが同時期に大量招集されることに、Jが難色を示し組みづらかった。日本協会は、翌年のスケジュールを組む際、Jを配慮し極力、A代表と五輪代表の日程が重ならないよう調整してきた。また、過去の代表監督は下の年代との対戦より、Aマッチや大学生との調整試合を優先してきた。

 3月の大震災で予定が大幅修正された。これが偶然を呼び、両代表合同合宿と対抗戦が可能になった。ザッケローニ監督は前向きで、原強化担当技術委員長は「国内の若手に、ザックの考えを注入できる機会を作りたい。Jとも話をしている」と言い、今日30日のJ強化担当者会議で、各クラブに伝える予定だ。

 U-22代表にも収穫は多い。同代表は9月21日にロンドン五輪アジア最終予選初戦(日本ホーム、7月7日抽選)を控え、A代表との対戦は大きな刺激になる。飛び級でのA代表入りもあり得るため、モチベーションも上がる。

 なにより、3年後のW杯本大会の主力になりうる年代だけに、ザッケローニ監督から直接指導を受け、対戦することは、またとない好機。ロンドン経由ブラジル行きの切符をつかむ大きなチャンスといえる。

 合宿の中で兄から弟へ、過去の経験など伝えられることもある。A代表として、若手相手に下手な試合はできない。それぞれブラジル、ロンドン行きを決めれば、今後も対抗戦は継続される可能性がある。対抗戦は、今後の日本サッカー強化へ大きな試金石になる。