原発輸出「商談遅れる」 国際協力銀の渡辺・経営責任者
国際協力銀行(JBIC)の渡辺博史・経営責任者は13日の定例記者会見で、同行が進めるインフラ輸出支援の対象に原子力発電所が含まれていることについて、福島原発事故の影響で「商談のスピードが遅くなる」と述べた。ただ新興国が電力需要の急増に対応するには「原子力は避けて通れない選択肢」とも述べ、輸出機会は失われていないとの見方を示した。
渡辺氏はベトナム、トルコ、ヨルダンなど輸出先の国から、福島原発事故の原因について問い合わせを受けたことを明かし、日本が科学的な検証結果を明らかにする必要性を強調した。ただ日本の原発技術については「世界で提供されている中でベストであることは疑いない」と述べた。
JBICは2012年4月に日本政策金融公庫の1部門から独立し、政府が全額出資する特殊会社になる。今月12日に新たな業務範囲を閣議決定し、現行では途上国向けに限られる輸出金融を、発電インフラや船舶、人工衛星などの大型案件に限り、先進国向けでも手がけられるようにした。