出張で初めて訪れた土地で地元・神奈川のソウルフード、「サンマーメン」が食べたくなってしまった。理由は以下の通り。
仕事柄出張する機会が多い僕。つまらない出張のなかで唯一の楽しみといえばご飯。僕が出張先で選ぶ料理は2種類ある。ひとつはその土地特有の料理。いわゆる郷土的な名産や特産を生かした料理。もうひとつは、僕の地元(神奈川)発祥の料理。その土地土地で僕がよく知っている料理がどのように伝わって、アレンジされているのかを楽しむのである。
過日。具体的な名称は割愛させていただくが、出張で初めて訪れた某土地、某店で出されたサンマーメンに対して、僕は、怒りで震えるカラダを抑えることが出来なかった。サンマーメンのアイデンティティである餡がぬるく、ゆるかったのである。一言で言えばスルスルと食べやすかったのである。
口の中を火傷するかどうか、タイトロープな戦いを繰り広げるのが真のサンマーメンである。
まだ、秋刀魚が乗っていた方が許せた。最近、加齢更年期のせいで怒りっぽくなっているのは認めるが、僕は、どうしても、その偽サンマーメンを許すことはできなかった。大人な僕は、釈然としない気持ちを抱えながらも、クールにその店を後にしたのだった。
偽サンマーメンで汚されたカラダを清めるために向かったのは地元のお店「つるや」である。藤沢駅から徒歩数分にある「奥田センター飲食街」は昭和を感じさせる、昔と変わらない味を出してくれるお店が並ぶナイススポットである。お目当ての「つるや」は営業しているかわからない地味さ、敷居の高さが魅力。最近は「入りやすい」「利用しやすい」「無料Wi-Fi使えるよ」といったユーザーインターフェースに優れたお店ばかりでどうにもおもしろくない。
久々に訪れたつるやさんは外見も中身もまったく変わらなかった。赤色のテーブルとカウンター。写真のない文字だけのメニュー。以前と違うのはオッサン2人に加えて平成感のある謎の長身イケメン店員がいることぐらいだ。君はフー?猜疑心の強さからイケメンを睨み付けるが涼しげな目線で返されただけであった。いかん。惚れてしまいそう。
迷わず、すかさず、サンマーメンを頼む。出てきたサンマーメンはザ・サンマーメンで嬉しくなる。ありがとうと言いたくなる。たっぷりの餡がトロトロで熱々。これなんだよ!たっぷりの野菜。もちもちした細麺。少し濃いめの醤油スープ。餡のトロトロと野菜のシャクシャクした食感。これらを濃いスープに絡めて食べるだけで幸せになれる。
餡で蓋がしてあるのでスープが冷めづらいので寒い日には最高だ。熱々すぎて口の中を火傷する、餡のトロ味で一気にすすることが出来ないのもサンマーメンの魅力。「変わらないことは変わるよりも難しい」とはインスタントコーヒーの宣伝文句だけども、つるや食堂さんのサンマーメンは正にそれ。自信とプライドがないと出来ないサンマーメン、超おすすめなのである。
なお、お店を訪れた日、この連載でアシスタントを務めていただいている妻とは一時的に別居していた。フォトに彼女の姿がないのはそのためである。「なにが夫婦前菜だ!タイトル嘘じゃないか」というクレームは僕の心情を察して控えていただきたい。極めて私的な理由で冷え切っていた僕の心と体をサンマー麺は優しく温めてくれたのである。是非是非。
昭和感のある町並み。
魅力あふれすぎ。
つるや食堂のシンプルな外観。
タイムスリップしたかのような店内。テーブルが赤い。
サンマー麺なのかサンマーメンなのか。
とろとろの餡にたっぷりの野菜が最高。
餡と野菜と麺を濃い目のスープに絡めて食べる最高のひととき。
急いで食べると火傷するぞ。でもおいしい!サイコー!
完食!(健診の結果が思わしくないのでスープは飲みきれないのです)
最高のサンマーメン。是非食べてもらいたい。
今回のお店
書いてる人
フミコフミオ
海辺の町でロックンロールを叫ぶ不惑の会社員です。90年代末からWeb日記で恥を綴り続けて15年、現在の主戦場ははてなブログ。内容はナッシング、更新はおっさんの不整脈並みに不定期。でも、それがロックってもんだろう?ピース!
ブログ「Everything you've ever Dreamed」:http://delete-all.hatenablog.com/