新鮮な生肉なら安全なの?

と畜から食肉の加工、流通まで、公衆衛生に詳しい @Mandarinia さんのつぶやきをまとめました。 「生食用食肉が流通しないのは」 http://togetter.com/li/131282 の続きです。
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@Mandarinia

作っていただいたまとめ http://bit.ly/kPjYtE (@mogu__ さん、わざわざありがとうございました!)に対して、はてブでついたコメント数件に対して意見を述べておきたいので、今夜も連ツイします。40代の女性が亡くなってしまいましたね。

2011-05-04 20:10:09
@Mandarinia

① まず、諸外国の現状について。 アメリカではO157による食中毒が問題となっております。原因食として、日本と同じく、生焼けのハンバーグなどの結合肉があります。アメリカでは放射線照射(γ線…注射器なんかを滅菌するのに使う技術です)が食品に対し認められていますが、日本では

2011-05-04 20:12:04
@Mandarinia

② 認められていません。日本でγ線照射が認められているのは、じゃがいもの発芽を防ぐ目的だけです。CODEXによる安全性の評価などは終わっているので、放射線の照射は、生肉食に対してはよい対策になるかもしれないなと個人的には思っています。

2011-05-04 20:13:36
@Mandarinia

③ なお、ユッケと言えば韓国ですが、韓国も日本と同様に腸管出血性大腸菌による被害は出ています。もともとこの菌、東アジアで常在していたものではなく、ここ30年ほどの間に、じわじわと勢力を伸ばしてきた、いわば輸入しちゃった菌です。

2011-05-04 20:14:50
@Mandarinia

④ 流通の多様化、人の往来の増加などによって、いつしか、このような菌が輸入されてしまい、家畜の中に定着してしまったものと思われますが、定かではありません。なお、東南アジアでは下痢症はそもそも重要視されていないため、東南アジアの浸漬状況は明確ではありません。

2011-05-04 20:16:55
@Mandarinia

⑤ また、これが大事で、これだけは言っておきたいのですが、腸管出血性大腸菌、カンピロバクターといった、肉の生食に付きものの食中毒菌は、新鮮であるかそうでないかとはあまり関係がありません。何故か、ということを次のツイートから述べます。

2011-05-04 20:18:09
@Mandarinia

⑥ 卵の食中毒で有名なサルモネラ菌は、体内に10万個が侵入しなければ、感染を成立させることがむずかしいですが、カンピロバクターは100個から、腸管出血性大腸菌は50個から、それぞれ感染する可能性があります。このことから、後者の2菌は、食品中で増加→感染、というものではなく

2011-05-04 20:22:24
@Mandarinia

⑦ ものすごく少ない菌を口の中に入れ(菌の世界では100個っつったらむちゃ少ないんです)、腹の中で増えたり、毒素を出すことによって、感染するという種類のものです。サルモネラ菌など、感染に菌数が必要なものは、古いほど危ないですが、O111や157はむしろ新しいと危ない。

2011-05-04 20:25:28
@Mandarinia

⑧ 何故なら、新しいぴちぴちした菌は、それだけ、腹の中でがんばっちゃうからです。がんばって毒素を作ったり、増えたりしてしまう。むしろ鮮度が高いほど危険も増すという皮肉な状況。

2011-05-04 20:28:00
@Mandarinia

⑨ 魚の食中毒菌として有名な腸炎ビブリオなんかは、まず食べ物の中でふえて、その後、それを食べられることで感染します。なので、古いほど危ないわけです。だいたいのものは古いほど危ないわけですが、肉の生食は違ってきちゃうんですね。

2011-05-04 20:29:39
@Mandarinia

⑩ 鮮度が高くても危険度は変わらない。ここが、私の強調したいところです。飲食店なども誤解をしている店が少なからずあり、『新鮮だからうちの店の肉は安全だ』という店も多いですがこれはちがいます。勘違いです。なので、鮮度には惑わされないでください。

2011-05-04 20:31:38
@Mandarinia

⑪ 特に、鶏の生肉に起因する食中毒で有名なカンピロバクターは、空気に弱いので、一定時間以上空気に触れていると死んじゃいます。いっそ古い方がいいんじゃないの(こと、食中毒起因菌に関しては)とすらなっちゃうこの皮肉。まあ、古いと別のものが増えてくるんですけども。

2011-05-04 20:35:02
@Mandarinia

⑫ さいご。『何故、馬ではOKなのか?』ですが、これは、馬では、カンピロバクター、サルモネラ、O157など食中毒起因菌が腸内で常在しにくいためと思われます。O157なんかは馬にも見つかることがあるのですが、生レバーからの検出率はずいぶん違います。

2011-05-04 20:38:43
@Mandarinia

⑬ 馬の消化管内の細菌についてはぱっと出るものが少なくて http://bit.ly/ioc26n このくらいしか見当たらなかったのですが、大腸菌については、馬もレバーを汚染されることがある、というのがわかります。しかし、カンピロバクターの保菌は、ありません。

2011-05-04 20:46:58
@Mandarinia

⑭ http://bit.ly/mjZUOi このブログの真ん中やや下くらいに、牛のレバー、牛肉、鶏肉、馬肉に関しての菌数調査があります。また、http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/01.html#1-3 このページに、過去3年の菌数調査が。

2011-05-04 20:53:06
@Mandarinia

⑮ 特筆すべきは、鶏たたきにおける、カンピロバクター汚染度の高さです。馬刺しもけっして安全だとは言い切れませんが、鶏たたきと比較すれば、まだ安全度は高い。なお、O157、O111などに関しては、鶏はあまり危険度高くないですね。

2011-05-04 20:55:22
@Mandarinia

⑯ 馬刺しについては、馬肉のみ、生食基準に対応した処理専用のと畜場があるんです。牛にはそういったと畜場はありません。

2011-05-04 20:58:30