やっぱり7インチがベストサイズ! Googleから登場した次世代タブレット「Nexus 7」


 今年の6月に開催された「Google I/O」でデビューしたGoogleブランドのタブレット「Nexus 7」が、ついに国内でも入手可能になった。すでに発売された海外では、発売まもなく16GB版が売り切れになるほど販売が好調だっただけに、国内での販売にも期待がかかるところだ。なぜ、そんなに人気なのか? 実機でその実力を確認してみた。


すぐに、そしてジワジワ伝わるその魅力

 Nexus 7には、手に取ればすぐに感じられる魅力と、使っているうちにジワジワ伝わってくる魅力の2種類の魅力が混在している。

Googleから発売された7インチタブレット「Nexus 7」。持ちやすく軽いサイズでありながら、見やすく実用的な液晶を備え、しかも安いというお買い得な製品

 前者は、ハードウェアの完成度の高さによってもたらされる「軽さ」、「画面サイズ」、「軽快さ」であり、後者は、最新のソフトウェアによってもたらされる「使いやすさ」だ。

 それぞれの具体的な点については後述するが、こういった初見と継続的な利用のどちらの印象も良い製品というのも珍しい。先行して販売された海外では、発売後、16GB版が早々に品薄となったが、その原因は249ドルというリーズナブルな価格設定だけに原因があったわけではなく、このような製品の「中身」がきちんと評価されたことが原因だろう。

 そんなNexus 7が、ようやく国内でも入手することが可能となった。Google Play、および家電量販店、大手ISPなどでの販売が開始され、国内でも16GBモデルで1万9800円という非常にリーズナブルな価格設定がなされている。圧倒的なコストパフォーマンスの高さというNexus 7の魅力が損なわれることなく、国内での販売に至ったことは大いに歓迎したいところだ。

 では、具体的に、Nexus 7の魅力がどのような点にあるのか、実機を触りながら、評価していくことにしよう。


軽く、見やすく、そして何よりサクサクと

 まずは、Nexus 7のスペックを確認しておこう。以下に簡単にまとめておいたが、Nexus 7の液晶サイズは7インチ。3.5~5インチのスマートフォンと10インチのタブレットの中間的なサイズとなる製品だ。

CPUNVIDIA Tegra 3 Quad-core 1.3GHz
OSAndroid 4.1 Jelly Beans
液晶ディスプレイ7型ワイド TFTカラー IPS液晶(10点タッチ対応、400cd/m2)
解像度1280×800
メインメモリ1GB
記憶容量16GB(eMMC)
通信機能IEEE802.11n/b/g
Bluetooth 2.1
NFC
カメラ120万画素インカメラ
インターフェイスmicro USB、マイク/ヘッドホンジャック×1、ドッキングピン(4ピン)×1
センサーGPS、電子コンパス、光センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、磁気センサー
バッテリー4325mAh(連続動画再生約9.5時間)
サイズ幅198.5×奥行き120.8×高さ10.45mm
重量340g

 7インチのタブレットは、これまでにもいくつか製品が存在したが、Nexus 7で評価したいのは、中間的なサイズの製品にありがちな「帯に短し、たすきに長し」という中途半端間がまったくなく、むしろ7インチこそタブレットの真価を発揮することができるベストサイズだと感じさせられる点だ。

 まず、なんと言っても「軽い」。スマートフォンとまではいかないものの、わずか340gという軽さは、片手でしばらくホールドすれば、そのありがたさがすぐに実感できる。

正面
背面
側面
底面には充電用のUSBポートを備える側面は電源ボタンと音量ボタンのみのシンプルな構成カメラ(120万画素)はフロント側のみに搭載

 現在主流の10インチタブレットは、高画質と長時間駆動との引き替えに、残念ながら軽さを失ってしまった。「そうはいっても、650g前後の10インチタブレットであれば、340gのNexus 7と大差ないのでは?」と感じるかもしれないが、片手で長い時間ホールドして使う端末にとって、この300gの差は、実は相当に大きい。

 実際、10インチのタブレットは、片手では5分間ホールドするのも厳しい。電車などの移動中につり革を持ちつつ片手で利用したり、ソファやベッドに横になりながら使うのが苦痛で、両手でしっかりとホールドしないと耐えられない。しかし、Nexus 7であれば、この負担がグッと軽減され、片手で長時間利用することも現実的となっている。

 鞄などに入れたときの負担もほとんど感じられない。10インチのタブレットも持ち運びはさほど苦にならないが、Nexus 7の場合、鞄に入れたことすら忘れてしまうほど、持ち運びの負担がない。

 モバイルという用途を考えると、この「軽さ」はやはり大きな武器だ。一度、この軽さに慣れてしまうと、600gの世界には戻れないし、1kgを超える端末をよっこらしょと持ち歩いていたかつての自分を褒めてやりたいほどだ。

 もちろん、「軽さ」だけがNexus 7の魅力ではない。この7インチという絶妙な画面サイズによって実現される「見やすさ」も大きな魅力だ。スマートフォンを利用している人であれば、経験があるかもしれないが、最大でも5インチというスマートフォンの画面は、最適化されたサイトやアプリを利用する分には問題ないものの、PC向けのウェブサイトの閲覧や電子書籍、特にト書き(状況説明)が多い漫画を読む際には目を酷使しなければならないことが少なくない。

 同じ電子書籍でも、小説であればフォントサイズを大きくすれば済むのだが、漫画の場合は文字だけ大きくすることができず、拡大すると紙面イメージの一部しか画面に表示できなかったり、コマ単位で読まなければならなくなってしまう。

 これに対して、7インチという一回り大きな画面に、1280×800ドットという高い解像度を持つNexus 7は、拡大したり目を酷使しなくても、十分にPC向けのウェブサイトや電子書籍を楽しむことが可能だ。これなら、タブレットで読書を積極的に楽しもうという気にもなる。A4サイズが基本となる仕事関係のドキュメントもこの大きさなら読みやすい。

 また、400cd/平方メートルという高い輝度の液晶は、屋外でも非常に見やすく、動画などを再生してもスムーズかつ鮮やかに表示することができる。Google Playでは映画のレンタルなどをHQ画質で楽しむことができるが、そうした用途にもNexus 7は適していると言えそうだ。

電子書籍も読みやすい。漫画などは、拡大しなくても文字を無理なく読める(著作権保護のためモザイク処理しています。モザイクのかかっていない一部の文字でご確認ください)

 さらに、全体的な動作もとにかく「軽快」だ。スワイプによる画面のホーム画面の切り替えはスベるような感覚となるうえ、アプリ画面をスワイプしてウィジェット画面に切り替えたときに、背面から浮かび上がるようにして画面が表示される効果も実にスムーズだ。

 標準ウェブブラウザーとして搭載されているChrome for Androidの影響もあるが、ウェブブラウザーでページをスクロールさせたり、ピンチ操作で拡大縮小するような操作も、画面の読み込みさえ完了していれば、ひっかかるような感覚がなく、流れるように操作できる。

 Nexus 7では、最新のOSとなるAndroid 4.1(Jelly Beans)が搭載されているが、このバージョンから画面の描画処理が60fpsに強化されており、スクロールやページ切り替え、アニメーション処理などが、とにかくスムーズ。クアッドコアでGPUも搭載したTegra 3との組み合わせによって、そのパフォーマンスの良さが十分に発揮されている。わずか1万9800円のタブレットとは思えない快適さだ。

 もたつきによって、思い通りに操作できないなど、これまでのタブレット端末にあった「もどかしさ」を感じることがないのもNexus 7の大きな魅力だ。

Android 4.1(Jelly Beans)を搭載。60fps描画の恩恵もあり、とにかく動作は軽快、スムーズウェブブラウザーにはChromeを搭載。こちらも動作が非常に軽く、PCとの連携でブックマークも共有できる。PC版サイトを見るのも快適


ジワジワくるAndroid 4.1の使いやすさ

 このように、「軽さ」、「見やすさ」、「軽快さ」は、触ればすぐに実感できるNexus 7の魅力だが、これ以外に、しばらく使っていることで、ジワジワと伝わってくる良さもNexus 7にはある。

 代表的なのは、Android 4.1で追加された新機能の「Google Now」だ。まだ実験的な機能とも言えるが、現在地やカレンダーに登録された予定から、関連する情報をカードとして表示してくれる秘書のような機能だ。

 たとえば、現在地の天気予報を自動的に表示したり、カレンダーに予定が登録されている場合は移動時間なども考慮して予定のアラートを表示することができる。国内では、まだ利用することができないが、駅の近くに移動すると自動的に公共交通機関の運行状況を表示するといった機能も搭載されているため、本格的なサービスが開始されれば、かなり便利に使えるだろう。

新機能のGoogle Now。ロック画面やホームボタンを上にスワイプすることでいつでも表示できる。現状はまだ使える機能が少ないが、移動時間なども含めてカレンダーの予定などを表示できる

 もちろん、外出先で利用するのであれば、モバイルルーターなどと組み合わせて通信可能にする必要があるが、わざわざ情報を検索しなくても、必要だと思われる情報を自動的に表示してくれるのは非常に便利だ。この機能に慣れてくると、積極的にNexus 7を持ち歩いていたいと思えてくる。4325mAhというバッテリー容量も実用性は十分で、連続9.5時間というカタログスペック通り、ほぼ一日持ち歩いて使ってもバッテリーは十分に残っている。

 また、通知領域の改良も地味ながら便利だ。たとえば、新着メールを受信すると、その件数分の差出人とタイトル、内容(新着メールが少ない場合)が、通知領域から確認できる。このため、急ぎのメールをすぐに確認できるし、受信したメールが特に重要でなければ、通知領域からのメール確認だけで事足りてしまう。

 このほか、文字入力も地味にやりやすい。前述した7インチというサイズのおかげもあり、縦方向に両手でホールドすると、画面上のキーを両手の親指で無理なくタイプすることができるのだ。キーの大きさもちょうどよく、タッチミスもほとんど起こらない。日常的に使うことを考えると、こういったよく使う機能でストレスを感じないのは、本当にありがたいところだ。

 画面が広いため、地図も非常に見やすい。解像度の高い7インチの画面でストリートビューを確認すれば、出先から急に行ったことのない場所へ向かうような場合でも、迷うことはなくたどり着けるだろう。

 なお、現状は英語のみの対応となるため利用できないのだが、オフラインでの音声入力にも新たに対応することになった。Wi-Fiでの接続しかできないNexus 7では、こういった強化は地味だがありがたいところだ。前述したGoogle Nowの交通情報などに加え、今後、使ってみたいサービスが多数搭載されているのも、Nexus 7の魅力と言えるだろう。

通知領域で新着メールの内容まで確認できるようになったキーボードも縦方向で使うと、両手の親指でタップするのにちょうどいい


せっかくの性能を生かせる回線も用意しよう

 以上、Googleから発売されたNexus 7を実際に試してみたが、海外での人気ぶりも納得の完成度と言って良いタブレットとなっている。7インチという絶妙なサイズを活かした実用性の高さに加え、リーズナブルな販売価格からは考えられないほどの高スペック。とにかくストレスフリーで、さまざまなシーンに活用することができる。

 また、最新のAndroid 4.1も「0.1」という、わずかにプラスされたバージョン番号以上に進化しており、非常に使いやすいOSになっている。このOSを最適化されたハードウェアで利用できるのも、Googleのリードデバイスとして選定されたNexus 7ならではのメリットと言えるだろう。

 しかしながら、Nexus 7を使う上でひとつ注意したいのが、やはり回線だ。せっかくの高性能なタブレットも、通信環境が整っていない状況では、実力を発揮することができない。モバイル用にWiMAXやLTEなどの高速回線を用意したり、家庭内でもできれば光ファイバーの高速かつ安定した回線を利用したいところだ。でないと、せっかく高速なウェブページのスクロールや動画がスムーズに再生できる性能が端末側にあっても、通信速度がボトルネックになって、今ひとつ感動を味わえない。

 Nexus 7は、Google Playのほか量販店でも購入可能だが、ISPなどで回線契約者向けにNexus 7をプレゼントするキャンペーンなども行なわれるようだ。具体的にはたとえば、ニフティがキャンペーン期間中に光回線を契約するとNexus 7が当たるキャンペーンを開始している。

 単体で購入しても十分にお得感のあるNexus 7だが、光回線に乗り換える計画があるなら、こうしたキャンペーンを活用するとさらにお得だろう。なお、ニフティのNexus 7(8GBモデル)のプレゼントキャンペーンは最大100名様とのことで、申し込むなら早めに申し込んだ方がよさそうだ。


関連情報

2012/9/26 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。