文字の洪水に溺れながら

人生初心者、でも人生のハードモードぐらいを生き抜きたい人間。

「働く」の現状を知らないで就職活動なんかできるわけない

キャリアのみかた -図で見る109のポイント-

を読み終わったので紹介。結構良い本でした。

就職の前に「働く」ことについて学ぼう

この本のテーマは単純で、日本のキャリア、すなわち「働く」という事に関しての客観的なデータ・図表を紹介するという物です。

大学3年生は今の時期になって急に「就職口を探すのだ!」という就活生にチェンジさせられて焦りますが(実際の僕がそう)その雰囲気に飲みこまれて冷静に考えれないまま他の人と同様に働き口を探すことだけに血眼になりがちな気がします。

そんな、なかでこの本はキャリアについての基礎的な知識から、意外な事実まで教えてくれます。巷にあふれている就活対策本よりもずっと正しい知識を手に入れるという意味でお勧めです。もちろん、これを読めばどこかに受かるというわけではないでしょうが。

大企業と中小企業の賃金格差はどれくらい?

例えば、日本では大企業が中小より凄く人気です。一般的にその理由は安定性といわれています。その一方で、もしかしたら中小企業のほうが若くして責任ある仕事、やりがいのある仕事につけるのが早いかもしれません。

では実際に中小と大企業ではどれくらいの賃金格差が発生しているか答えれますか?

本来なら、この数値を答えられないと職選びの段階で中小と大企業の天秤にかけて考える事ができないはずです。

「中小企業は大企業と比べて賃金が〜〜%安い、でもそれぐらいなら、やりたい仕事のためにリスクを取れる」

このように正しいデータがあって初めて将来的な戦略が立てれるはずです。でも、実際はほとんどの人が知らない。こういう基礎的なデーターをこの本は示してくれます。

ちなみに答えは以下の表の通りです。

企業規模人数(人) 5-29 30-99 100-499 500-999 1000-
大企業と比較した賃金平均(%) 51.2 63.7 76.2 91.8 100

データーはここからデータブック国際労働比較2010)引っ張ってるみたいです。

このデーターを考えると、賃金は約半分でもいいから出世したいと思えば迷わず5-29人の小企業を探せばいいわけですね。逆もまたしかりです。

社長になるのは誰?

意外な事実だって結構乗っています。

新入社員ならだれだって目指してみたくなる社長の椅子。ではこの社長の座についているのは新入社員から頑張ってきた社員なのでしょうか?

答えは否です。この本によると、全部の会社の中で生え抜きで社長になったわずか31%しかいません。全国の社長の中で社員出身の社長はわずか3分の1しかいないのです。残りの3分の1は創業者親族、そしてもう3分の1が法人出身(つまりほかの会社から移行してきた)です。

この事実を知ったら少し前に話題になっていた就職がないから企業するという話もあながち嘘じゃないと思えてきますよね。だって、頑張ったって社長になれる可能性は最初からなかったりするかもしれないんですから。

まとめ

この本には他にも「働き方の変化」とか「企業は毎年何人採用しているのだろうか」とか「新卒vs中途」とか「大学進学はどれくらいお得なのか」とか「誰が管理職なのか」とか「労働時間と結婚の関係」とか「人事政策としての法定外福利厚生」とか「人員調整にはコストがかかる」とか「定年退職金はいくら?」とか「様々なキャリア」とか魅力的で興味深いデータと分析が載っていました。

この本で「働く」という基礎知識をまずは仕入れてみてから、就職活動に臨んでみませんか?