前回ご紹介した「遅延型フードアレルギー」に続き、最終回は「鼻呼吸」についてです。

鼻呼吸が健康に良いとされている事をご存知の方は多いと思います。しかし、それでも年々口呼吸の人は増加しており、それに伴い、いびき・口臭・アレルギーなどの症状でのお悩みも増えているようです。関連の対策グッズの商品数が増え、売り上げも増加傾向にあります。意識的な鼻呼吸をクセづけると、花粉症予防にもなるので、これを機会に口呼吸の方は鼻呼吸に変えてみてください

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 ■鼻呼吸が良い理由

鼻には粘膜や繊毛があり、アレルギーを引き起こす原因となる空気中の細菌やウイルスを除去してから、キレイな酸素を肺に摂り込ませる重要な役割があります。鼻呼吸なら、鼻腔を通る間に空気が浄化されるだけでなく、乾燥した空気がほどよく加湿されてから肺に送りこむ事ができるので、酸素が吸収しやすいわけです。鼻は、フィルターと加湿器の両役割を果たしてくれます

■口呼吸がおススメできない理由

本来、ほ乳類の呼吸器官は「口」ではなく「鼻」です。口は食事をして栄養を摂り込むという大切な役割を担う器官で、ほ乳類の中で口呼吸ができるのは人間だけだそうです。これには二足歩行が深く関連しており、食べ物の誤飲のリスク減少が一番の理由だとのこと。食事しながら呼吸をする際に楽な口呼吸がクセづいて、普段から鼻呼吸をしなくなる方が増えています。

赤ちゃんは口呼吸ではなく鼻呼吸をしています。大人と比べて免疫力が低いため、細菌やウイルスが体内に入れないよう、おっぱいやミルクを飲みながら、鼻呼吸を覚えるのです。おしゃぶりも上手な鼻呼吸を習慣づける訓練の一環にもなっています。ところが、最近では離乳食の時期が早まり、乳幼児の時に楽な口呼吸を覚えます。ほ乳類は、もともと口が呼吸器ではないので、口呼吸では空気を浄化できる仕組みになっていません

口呼吸では汚れている空気が直接喉に触れ、白血球をつくる扁桃腺を直撃するため、免疫力が低下したり、風邪をひきやすくなります。楽に感じる口呼吸がクセになると、無意識のうちに鼻呼吸を面倒に感じてしまい、鼻呼吸へ戻す事が大変です。さらに、口呼吸は口が乾燥するため、口臭や舌苔の増加、いびきを引き起こすとも言われています。以上の事から、口呼吸はオススメできません。

花粉症やアトピー性皮膚炎、哨息など、さまざまなアレルギーが原因の病気を、実際に鼻呼吸を実行させることで治療している医師もいるようです。花粉症になり、鼻がつまってしまうと鼻呼吸をする事が難しくなります。本格的な花粉症の症状が出る前に、鼻呼吸をクセづけてアレルギーに悩まされない体作りをしていきましょう。

今回一連の記事でご紹介した花粉症・アレルギー対策は、今すぐ簡単にお試しいただける事ばかりですので、是非トライしていただければと思います。

境貴子