今週の注目トピックは、市場リサーチ企業1010dataによると、Amazonのプライベートブランド（PB）商品は2015年9月〜2016年8月の期間で、電池やスピーカー、幼児向けおしり拭きでオンライン上のトップシェアを獲得したことだ。

Amazonは今年2月、ファッションブランド7つを開始し、衣料品・アクセサリーのPB商品の販売をはじめた。今年5月ごろからPB製品のラインナップを各種の食品、ベビーフード、ビタミン製品のほか、紙おむつや洗濯用洗剤といった日用品まで広げていた。

Amazonはマーケットプレイスという立場だが、自社ブランド製品をもつようになっている。Amazonは、広範なPB商品群をもつ既存の大手小売店と同様の展開をEコマースに持ち込んでいる。

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PB製造業者協会（PLMA）のレポートによると、全米におけるPB商品の売上高は2015年1184億ドル（約11兆8000億円）に達し、前年比22億ドル（約2200億円）増だった。PB商品の利益率はマーケティングやブランド開発の費用を負担せずに済むため、メーカーブランドより高いと言われる。

Amazon PB商品、ハッピーベリーのコーヒー豆

Amazonは消費者の豊富な購買データをもっている点が強みになる。米国内に食品スーパー2000店舗を開店することを検討したり、音声アシスタント「Echo（エコー）」により自宅内のタッチポイントも確保したり、動画や音楽の配信、自社ブランドのモバイルデバイスを販売したりと、消費者のリアル行動部分を包括的に掴む戦略をとる。この広大なタッチポイントから、消費者に渡される商品がAmazonブランドになっていくという画だろうか。

以下、その他のトピック。

■好調持続、Facebookの第3四半期決算

Facebookが3日発表した第3四半期決算によると、収益は70億1000万ドル（約7000億円）、月間アクティブユーザー（MAU）は17億9000万人。うちモバイルを含むデバイスでFacebookを利用するのが16億5800万人。

しかし、Facebook株は一時8％下落。一部報道では、CFOのデイブ・ウェーナー氏は成長が限界に達しつつあると説明したことが下落の要因と言われる。米国の1人当たり収益は横ばい傾向が出ており、Facebookの広告事業は成熟しつつあるようだ。来年以降は新規領域への投資を拡大する時期になるとCFOは語っている。

■マイクロソフトが「対Slack」アプリ開発

マイクロソフトは3日、ビジネス用チャットのSlackに対抗するチャットアプリケーション「Teams（チームス）」の開発を公式に発表した。Facebookも同様のビジネス用チャットアプリ「Workplace（ワークプレイス）」を契約企業1000社に対し提供を開始している。

Slackは2013年創業。エンジニアら開発部門向けに開発されたが、ビジネスシーンに浸透。評価額は38億ドル（3800億円）と言われるが、巨人2社の参入に対しどう対応するか。

■インスタグラムで買い物ができる？

Facebookは2日、インスタグラムのフィードから買い物ができるようになる機能のテストを、米小売ブランド数社と開始したと発表した。ユーザーはインスタグラム上のオーガニック投稿（広告以外の通常の投稿）に含まれる商品について詳細に調べられる。プレスリリースによると、テストでは投稿した写真の左端に「タップして確認」のアイコンが表示され、アイテムが価格情報とともに表示される、という。

■ヤフージャパンとSizmekが提携

両社は2日、デジタルマーケティング領域における戦略的パートナーシップを発表した。リリースによると、ヤフージャパンはSizmekの広告管理プラットフォーム「Sizmek MDX」の販売総代理店として、国内の販売を強化。Sizmek MDXを活用して、国内最大級のメディアYahoo! JAPANへ配信できる広告の種類を拡充する。

■トヨタが米カーシェアスタートアップと提携

トヨタ自動車が米サンフランシスコのカーシェア・スタートアップGateround（ゲートラウンド）と協働し、カギを利用しない「カーシェア」システムをテストすると発表した。5月にライドシェア大手の米ウーバーテクノロジーズとも提携。日経の名古屋発の報道によると、「自動車はIT化が進み、ソフトの塊になりつつある。IT企業が参入するのは当然の流れだ」とトヨタ自動車の専務役員、友山茂樹氏は語った。テック企業の自動走行車/ライドシェアに対する危機感があるという。

Written by 吉田拓史
Photo via Amazon.com