米電子書籍市場3.2倍に 廉価版ペーパーバック抜く公算
10年見通し、790億円
【シリコンバレー=奥平和行】米調査会社のフォレスター・リサーチは9日までに、2010年の米国の電子書籍市場が前年比3.2倍の9億6600万ドル(約790億円)に達するとの予測をまとめた。米アマゾン・ドット・コムが割安な専用端末を発売するなど電子書籍を読むための環境が整いつつあり、手ごろな価格で人気を集めたペーパーバックの売上高を上回る可能性が高まっている。
米出版社協会(AAP)によると、スーパーや空港などで販売する割安な「マスマーケット・ペーパーバック」の市場は09年に10億4200万ドルだった。10年は8月まで6カ月間連続で売上高が前年同月比で2ケタ減になるなど市場縮小に歯止めがかからず、この基調が続くと電子書籍に抜かれる可能性が高い。
フォレスターが4~6月期に過去6カ月間に1冊以上の書籍を読んだ成人約2800人を対象に調べたところ、本の入手手段は「図書館での貸し出し」(38%)などが多く、「電子書籍を購入」は7%にとどまった。
ただ、専用端末の所有者は閲覧する本の66%を専用端末を通じて読み、紙の本を読む割合を大きく上回るという。アマゾンが今夏に139ドルのキンドルを発売するなど、割安な製品が増加。米アップルの「iPad(アイパッド)」なども追い風となり、フォレスターは15年には電子書籍の市場規模が28億1300万ドルまで拡大するとみている。
米国では今年のクリスマス商戦で電子書籍専用端末の人気が高まるとの見方が多い。アマゾンは割安な価格の商品を投入。従来はインターネットを通じた販売のみだったが、米家電量販最大手ベストバイの店舗を通じた販売を今秋から始めた。米書籍販売最大手バーンズ・アンド・ノーブルやソニーなども専用端末の販路拡充を進めている。
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