英BBC番組、二重被爆者「運が悪い男」と笑いの種に
大使館が抗議
【ロンドン=共同】広島と長崎で二重に被爆し、昨年93歳で死去した山口彊(つとむ)さん(長崎市出身)について、英BBCテレビのお笑いクイズ番組が昨年12月、「世界一運が悪い男」などとジョーク交じりに紹介、在英日本大使館がBBCと番組制作会社に書面で抗議していたことが分かった。大使館と関係者が20日までに共同通信に明らかにした。
複数の在英邦人から寄せられた抗議に対し、番組プロデューサーは「不快にさせて大変残念」と電子メールで謝罪。日本人の感情を「今後考慮する」とした。第2次大戦中の欧米人の悲惨な経験についてもお笑いクイズ番組で「しばしば取り上げてきた」とし、日本人だけを差別的に扱っているわけではないと釈明している。
問題になったのは、昨年12月17日に放送された金曜夜の人気番組「QI」。山口さんが広島に出張した際、原爆で大やけどを負ったと司会者が紹介すると、ゲストの一人が「で、長崎の病院に入院したのか?」と突っ込み、スタジオから笑い声が漏れた。
さらに司会者が「山口さんが長崎に戻ったら再び原爆が投下された」と説明すると、笑い声が上がった。スタジオにはきのこ雲や山口さんの顔写真が掲げられた。
大使館は在英邦人の指摘を受け、今月7日に「山口さんをこういう形で取り上げるのは不適切で無神経」と担当公使名で書簡を送った。
プロデューサーは同18日、抗議した在英邦人に「日本人の(原爆)問題に対する潜在的な敏感さを軽視したのは明らか。お気楽な番組で扱うには不適切と日本人が見なすのは想像に難くない」などとするメールを送った。