エタノールは体内で代謝されることによって、アセトアルデヒド→酢酸へと
変化していきますが、同様にメタノールは体内でホルムアルデヒド→蟻酸へ
変化します。
この時生成されるホルムアルデヒド・蟻酸は人体にとっては猛毒となりますので、
メタノールを誤飲すると最悪死亡することもあるわけです。
死ななかったとしても、ご質問の通り失明する可能性は極めて高いのですが、
その理由としてアルコール脱水酵素(メタノールをホルムアルデヒドにする)が
肝臓に次いで眼球の網膜に多く存在することが原因です。
では何故、眼球にアルコール脱水酵素が多いのか?
若干余談ではありますが、簡単に視覚のメカニズムについても説明します。
網膜では外界からの光を感知し、それを脳に伝えて映像化するための処理が
行われていますが、この処理は全て化学反応で成り立っています。
その反応は緑黄色野菜の栄養素として有名なβ-カロテン、これを
真中から真っ二つにすると2つの「レチノール」というアルコールになります。
網膜ではこのレチノールをアルコール脱水酵素が脱水して「レチナール」という
アルデヒドに変え、このアルデヒドを変形させたものを視細胞内で光と反応させる
ことで「光を感知」しています。
つまり光を感知するためには「レチノール」→「レチナール」という、アルコールを
アルデヒドに変化させる反応酵素が必要不可欠なわけです。
当然、メタノールも体内では脱水酵素が多く存在する眼球でホルムアルデヒドに
変化し、その際に視細胞が破壊されてしまうので失明する、という事になります。
更に余談ですが、メタノールを誤飲した場合は「エタノール(酒)を飲ませると、
失明の危険性が低下」します。
体内の代謝優先度はエタノール>>メタノールなので、エタノールを分解している
間に、メタノールは分解されず肺から呼吸で外に放出されます。
もっとも、全く分解されないわけではないこと、急性アルコール中毒の可能性が
高まることから、病院に直行は避けられませんけど。