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ターメリックで肝代謝のバランスを整え、解毒を促進

2011/04/25

 こんにちは、酒井美佐子です。春の陽気に従って、急に代謝が活発になってきたように感じます。花粉症やアトピー性皮膚炎が悪化するこの時期、今回は肝臓の解毒プロセスに作用して、こうした不調を和らげるハーブをご紹介します。

 肝臓は、ほとんどの代謝プロセスにおいて、重要な役割を果たしています。体内で生産されたものや外界から取り込まれたものなど、広範囲な有害化学物質を中和する働きがあるのです。この解毒プロセスは、第1相と第2相の2段階になっています。

 解毒プロセスの第1相では、チトクロームP450酵素群(CYP、約50~100の酵素により形成されています)によって、多様な有機化合物を酸化します。その結果、有害物質の水溶性が高まり、腎臓から排出されやすくなります。この過程ではフリーラジカルが産生されますから、グルタチオンなどの抗酸化物が十分に存在していないと肝臓は損傷を受けてしまいます。
 
 そして第2相では、第1相反応による代謝物や、CYPによる代謝を受けなかった物質が、抱合代謝されます。抱合代謝にはグルタチオン抱合、アミノ酸抱合、メチル化、硫酸化、アセチル化、グルクロン酸抱合などがあります。その結果、毒性が中和されたり、尿中や胆汁中に排泄されやすくなります。
 
 この第1相と第2相の過程がバランスよく働かないと、生体内に有害な物質がかえって滞ってしまうことがあります。例えば、アルコールやタバコ、ダイオキシンなどの有害性は、これらが代謝プロセスの第1相を活発にするために増強されると考えられています。第1相反応で生じる代謝物(有毒な中間代謝物)の産生速度に、第2相の抱合代謝の速度が追いつかず、有害な中間代謝物が滞る、という図式です。

著者プロフィール

酒井美佐子(社会医療法人財団古宿会 水戸中央病院[茨城県水戸市]薬剤科部長)
さかい みさこ氏 1992年東邦大学薬学部卒。同大医療センター佐倉病院、カナダ・アルバータ大学、米・コロラド州立大学を経て、2003年から医療機関内の自然療法部門でサプリメントやハーブ、アロマなどを取り入れた自然療法を行っている。薬剤師・保健医療学博士。

連載の紹介

酒井美佐子の「ハーブ&アロマの知恵袋」
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