次第に大規模化とミッション・クリティカルへの対応が進むサーバー仮想化環境。今後は,その管理が重要性を増す。そのために有効な新技術は徐々に登場してきている。キーワードはインタフェース統合と,管理の自動化。今回は,その最新動向を紹介する。

宮下 徹/奈良 昌紀
ネットワンシステムズ応用技術本部 第5応用技術部
DCエンジニアリングチーム

 仮想化技術の進歩とともに,今後,サーバー統合はさらに進む。1台のハードウエア上で稼働させられる仮想マシンの数や,マルチプロセッサ/マルチコア・プロセッサ環境で一つの仮想マシンに割り当てられるCPUの数が飛躍的に増えるからだ。同時に,ユーザーはミッション・クリティカルなアプリケーションまで仮想化環境で動かすようになり,仮想マシンの重要度も上がっていく。

 ただし一方で,仮想化したシステムの運用管理の難易度も次第に上がっていく。とりわけネットワークまわりは構成が複雑になり,1枚のNIC(network interface card)を複数の仮想マシンで共有することからトラフィック管理も難しくなる。

 こうしたシステムを安定的に運用するには,管理効率を高める取り組みが欠かせない。今回は,そのような管理に関して今後鍵を握ると見られる技術について,物理ネットワーク,仮想ネットワーク(仮想スイッチ)の両面から解説する。

仮想化でニーズがより高まるFCoE

 仮想化技術によって複数のサーバーを統合すると,ハードウエアの構成はシンプルになる。ただ,そこにつながるネットワークは,むしろ構成が複雑になる。必要になるI/Oケーブルが増えるからだ。

 具体的に言うと,サーバーには管理用(管理OS用,ライブ・マイグレーション用),仮想マシン用(本番用,バックアップ用),NFSやiSCSI,ファイバ・チャネル(FC)を使ったSANといった共有ストレージ用のネットワークが別々に必要になる。ミッション・クリティカルな環境で使用するのであれば,それぞれのネットワークを冗長化する必要も出てくる。こうなると,1台の物理サーバーに10本近くものケーブルがつながることになり,目視管理さえ困難になりかねない。

 さらにCPUのマルチコア化が進むと,1台のハードウエア上で稼働する仮想マシンの数は今よりも増える。その際,現状のイーサネット(1Gビット/秒),FC(4Gビット/秒)では帯域が足りなくなる可能性が出てくる。

 そこで注目を集めている技術が,「FCoE」(fibre channel over Ethernet)である。一言で説明すると,10Gイーサネットの環境でFCを使用できるようにする技術だ。イーサネットとFCの2種類のインタフェースを統合して物理ネットワークの数を減らせるため,運用管理が容易になる。