写真●記事編集機能を強化したMovable Type 5.2
写真●記事編集機能を強化したMovable Type 5.2
[画像のクリックで拡大表示]

 ブログ・コンテンツ管理システム(CMS)の大手ベンダーであるシックス・アパート(Six Apart)は2012年7月18日、CMSの最新版である「Movable Type 5.2」を発表した。同日から、オンラインでベータ版の試用サービスを始める。正式販売開始は9月を予定している。

 最新版では、ブログを更新する際に使う記事編集画面を刷新する(写真)。HTML(ウェブ記述言語)の知識がない人でも文字を強調する、写真を貼り付けるといった編集作業を容易にできるようにした。画面デザインを規定するCSS(スタイルシート)関連の機能も強化し、CSSで装飾した状態で記事を編集できる。

 技術面では、高速化とクラウド対応が最新版の特徴である。高速化のため、コンテンツ管理用のHTTPサーバーソフトウエアに、従来のApacheではなく、ロシア製のnginx(エンジンエックス、関連記事)を採用した。nginxは高速動作を売り物にして急速にシェアを伸ばしている。PSGI(Perl WebServer Gateway Interface)という内部処理高速化技術も組み合わせることで、従来製品と比較して2~3倍の動作速度を得られるという。

仮想サーバ用イメージで手間省く

 さらに、クラウド上の仮想サーバーにMovable Typeをインストールする時の作業・設定の手間を省くため、Movable Type 5.2では「仮想サーバーイメージ(VMイメージ、ISOイメージ)」での購入を選択できる。Amazon Web Services(関連記事)などでMovable Typeを利用する場合、OS(基本ソフト)やnginxなどがすべて含まれたイメージをそのまま仮想サーバー上に展開できる。対象とする仮想サーバーの種類は現在検討中だが、なるべく多くの環境に対応し、設定を担当する企業の情報システム部門やウェブ制作会社などが使い慣れた環境でMovable Type 5.2を利用しやすくする。

 ベータ版による試用サービスは無償で利用できるが、30日間の有効期限がある。Movable Type 5を購入済のユーザーは、無償で5.2へとアップデートできる。5.2を新規購入する場合の価格は6万3000円(税込み、1サーバー・5ユーザー分)から。仮想サーバーイメージで提供する場合の価格は検討中だが、設定作業を省略できる利便性分を織り込んだ価格設定になる予定である。

 シックス・アパートは米国発祥の企業で、ブログ管理ソフトの老舗。2011年2月から帝人グループのシステム会社であるインフォコムの完全子会社になり、現在は日本を中心拠点として事業展開している。Movable Type 5.2はサーバーにインストールして使うハイエンドユーザー向けの製品。個人や小規模事業者向けには、物理・仮想サーバーを用意しなくてもブログによる情報発信ができるサービス「Lekumo(ルクモ)」(旧ブランド名はTypePad)を今後も提供していく。