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Eテレ、闇が深過ぎる“大人の人形劇”で次なる挑戦か

  • 『ねほりんぱほりん』MCの山里亮太(C)ORICON NewS inc.

    『ねほりんぱほりん』MCの山里亮太(C)ORICON NewS inc.

 「民放の深夜でもやらない…ゲスすぎる」「ぶっこんでいくスタイルが好き」「ぐっさり刺さる、いい番組だな」等々、ネットをざわつかせているテレビ番組がある。毎週水曜23:00〜23:30放送の『ねほりんぱほりん』(NHK Eテレ)だ。「人形劇×赤裸々トークショー」をコンセプトに、ぬいぐるみに扮した出演者と“訳ありゲスト”がちょっぴり刺激の強いトークを繰り広げるという内容で、各回のタイトルも「元国会議員秘書」「二次元しか本気で愛せない女たち」…といったディープなもの。Eテレらしい実験精神に富んだ内容となっている。

訳ありゲストにも遠慮なし 真っ黒な闇を深堀するトークショー

 ブタやカエルのぬいぐるに扮した訳ありゲストとトークするのは、モグラのぬいぐるみのねほりん(声・山里亮太)とぱほりん(声・YOU)で、山里いわく「人の顔色をうかがわないで何でも喋れる空間」を作り出していく。そもそもは2015年、『ねほりんはほりん』(当時、“ぱ”は“は”だった)という名の特別番組として、「プロ彼女、没落社長」と「芸能スクープ記者・カメラマン」の2回を放送しているが、今年の10月からレギュラー化された。

 その第1回目の「偽装キラキラ女子」では、キラキラ女子アカウント(すべて“自称”だが、美人で育ちがよくハイスペックな彼氏がいるけど合コンも欠かさないとツイートをしているアカウント)を持つアカウント名「港区わがままOL」のリコさん(仮名)が登場。プロフィールは、「綺麗なものと甘々な言葉が大好物。両親に甘やかされて育ってしまいました」だが、リアルな姿は関西の“ド田舎”に暮らす年収250万円の地味OLで、東京に来たことは数回しかないという、完全な偽装アカウントだった。

 土地勘と写真は月額540円(税込)のグルメサイトから引っ張ってきたというから、“真っ黒”すぎるのだが、「私はかわいくなかったから子どもの時から誰にも見向きもされなかったが、人気者の話にはみんな納得していた。大事なのは“何を”言うかではなく“誰が”言うかだ」といったリコさんの言葉は、“真理”を突いているとも言えるし、ネットでの「闇が…深い…深すぎる」という反応にも納得できる。

Eテレの十八番・人形劇が本音を引き出すエッセンスに

「この手の“知られざる裏の世界の実態を暴露!”的な番組は民放にも多いですが、たいがいは本人の声をわからなくしたり、顔も出しません。どこか殺伐とした雰囲気が漂うのが普通です。そこにE テレさんは“人形劇”という形式も持ってきた。そもそも人形劇はNHKさんの得意技です。過去には『ひょっこりひょうたん島』や『プリンプリン物語』など、名作と言われる人形劇が多くありますから。この『ねほりんぱほりん』も、MCが可愛いモグラとブタなので“生々しさ”が消されます。話自体は相当えげつないんですが、訳ありゲストにしても、どこかリラックスしてしゃべっている。話自体の“闇”とポップな“絵”とのギャップが、ちょっと“薄ら怖さ”を感じさせるときもありますが…」(バラエティ番組制作会社スタッフ)

 そうした“人形劇効果”は、例えば「元薬物中毒者」の回で、薬物中毒ながら子育てしていたエリさん(仮名)がハイテンションで当時を語ったあげく、「また薬物やる?」とモグラに聞かれると、「やりたくないと言ったら嘘になる」とつい本音を吐いてしまったりするところに現れている。しかし、そもそも「教育テレビ」とも呼ばれていたEテレで、こんなに過激な番組をやって大丈夫なのかと心配になるほどだ。

挑戦を続けるEテレだからこそ生まれた人形劇の未来系トーク番組

「今や他局からすればE テレさんは“いろいろ遊べてうらやましいな〜”という局なんです。例えば、今年10月に『香川照之の昆虫すごいぜ!』という番組が放送されましたが、あの名優・香川さんがカマキリの着ぐるみを着て、バッタのすごさを凄まじい熱量で語ったり、地面を這いつくばってバッタを捕獲したり…という、誰が見ても度肝を抜かれるシュールな映像が繰り広げられたんです。しかもきっかけは、他番組で『Eテレで昆虫番組をやりたい』と熱く語っていたのをスタッフが見て、実際にオファーしてしまったというんですから、フットワークが軽すぎます…その他にも民法ではありえないユル〜い番組も多いんですね」(前出・スタッフ)

 もちろん、そうした背景には、広告収入なし・受信料徴収・交付金といったビジネスモデルの違いもあるだろう。しかし、今のNHKがテレビ界の視聴率競争において“勝ち組”であることは間違いないし、E テレの数々の実験番組は民放を圧倒しているようである。E テレの『ねほりんぱほりん』に対する冒険も、新たなトークバラエティ番組、さらには新たな人形劇の未来系を提示しているのかもしれない。

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