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犬を訓練するセラピー

ハイビジョン特集「プリズン・ドッグ 僕に生きる力をくれた犬」を見た。アメリカの刑務所で、若い受刑者に犬の訓練をしてもらうプログラムの話。

アメリカの青少年刑務所で実施されているプログラム、“プリズンドッグ”。重罪を犯し心がすさんでしまった受刑者に犬の世話をさせ、再び人としての温かい心を取り戻させようという取り組みである。受刑者の多くは、恵まれない環境で育ってきた。犬たちもまた、人間に虐待されたり、捨てられたりして動物保護センターに引き取られた経験がある。何も信じられなくなってしまった受刑者が、犬との交流を通じて心を通わせるようになり、やがて人とも心を通わせるようになり更生の道へと歩む姿を描く。

NHK コンクール受賞番組

罪を犯した人にとにかく厳しい目にあってもらうのでは更正は望めない。より弱い立場の犬を世話することで、自分の考え方も変化していく様子がていねいに描かれていてよかった。

このように、犬の訓練を通して自分について考えさせるという話は以前「地球ドラマチック」でも放送された。「めざせ世界一のドッグショー 〜“負け犬”たちの挑戦」というもの。

 犬の訓練を通じて、若者たちは何かを学ぶのでしょうか?

学校は中退、仕事も続けられずに遊んでばかり。そんな無気力な十代の若者たち6人が、世界最大のドッグショーと言われるイギリスの「クラフト」に挑むことになりました。ペアを組むのは、保護施設に保護されている野良犬6匹。虐待を受けたり、まともなしつけを受けたことのない犬たちです。

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NHK 地球ドラマチック | これまでの放送:めざせ世界一のドッグショー 〜“負け犬”たちの挑戦(前編)

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日々の訓練は毎朝のフン掃除から。しかもこの犬たち、まともなしつけをほとんど受けたことのない、手に負えない犬たちなのです。トレーナーは、「犬は飼い主の鏡」と言います。若者たちは、思い通りにならない犬にいらだったり、壁に突き当たりながら、自分自身とも向き合うことになります。

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NHK 地球ドラマチック | これまでの放送:めざせ世界一のドッグショー 〜“負け犬”たちの挑戦(後編)

犬のトレーニングを更正プログラムやセラピーとして成立させるにはサポートが大変そうだけれど、犬の訓練方法はほかの動物よりも発達しているだろうから、こういう応用がしやすいのかもしれない。それに犬は素直だし飼い主を好きになるとそのことがわかりやすいから、世話をするかいもあるというものだ。

「プリズン・ドッグ」のほうでは、訓練を受けた犬は別の飼い主に引き取られていく。その際犬がまたひどい目にあったりしないよう、応募者が飼い主にふさわしいか審査するし、犬といったん引き合わせてみるなどもあるしっかりしたプログラムだった。「地球ドラマチック」でも、ドッグトレーナーがついて訓練の方法をみっちりと仕込んでいた。こういう手厚いサポートがあってうまくいっているのだろう。

人生の道を一度外れてしまっても、犬の訓練を通じて成長していく。未来が開けるような気持ちになって意欲を得られれば、回り道から戻って社会全体の益にもなるだろう。