企業より動きが早い自治体、武雄市。2/7、日本初!?の自治体ホームページのFacebook化、日本フェイスブック学会発足。


また武雄に行って来た。去年の8月に日本ツイッター学会を立ち上げ、日本で初めて全職員がツイッターのアカウントを持つということをやってのけた町、武雄。その武雄で、今度はいま話題のFacebookの講習会をやるという。それだけ聞くと、武雄を知らない人にとっては、ただ、Facebookセミナー(講習会)が行われるだけと、思われても仕方がないんだけど、その場に居合わせたい、ここで何かが起きるんだという、何かを呼び寄せるものが、武雄にはある。九州の人口5万人の小さな町だけど、武雄はそんなことを感じさせる町だ。


親しくさせてもらっている、杉山隆志さん(フライトシステムコンサルティング)、加藤たけしさん(ループス・コミュニケーションズ)、うめけん(ディグナ)が講師として登壇するということもあって、僕は武雄に行くことにした。武雄で再会したい人もたくさんいたし。


2/7。前日に博多入りして、開演1時間半くらい前に、市役所に到着。何人くらい参加するんだろうと思って、会場でのんびりしていると、続々と人が集まってきた。開演時間の19時。驚いた。



200人近く人が集まって、会場に人が入りきらない。立ち見も多数。集まった人の数もすごいけど、何より驚いたのは、今旬のFacebook自体への注目度だけでは片付けられない、会場のその熱気。たぶん、同じ人数が東京で集まっても、同じような熱気にはならないと思う。ここから何かが変わるというのを感じる強い熱気だ。あとで聞いたら、それもそのはず。県外からもたくさんの人が駆けつけたらしい。メディアの取材もたくさん入ってた。


でも、想像してみて下さい。自分の町で同じ企画が自治体主導で行われたとする。同じくらいの人が集まるかどうか。同じくらいの盛り上がりを見せるかどうか。そして、これを、東京でもなく、地方の主要都市でもなく、地方の一都市がやっていることが本当に意義深いなと思うんです。ソーシャルメディアの登場とともに、「個」の時代ということが盛んに言われるけど、本当の意味で、既存のパワーバランスが崩れつつある。新しい時代に向かっていることを再認識する瞬間だった。


twitterで既に多くの人がつぶやき、発信している武雄。その下地があったからこそ、この日のこの盛り上がりがあったんだよなあと思うんだけど、おそらく、今回をきっかけに、Facebookもうまく取り入れて、市民主体としてさらに発信力をつけると思う。それがこの写真に現れているわけです。


さてさて、実際の講習会の中身はというと、当日は初級、中級(2コース)、上級の計4コースに分かれていて、各自、希望のコースが受けられる(無料)ことになっていたんだけど、それに先立って、まずは全員集合してキックオフ。



武雄市の樋渡市長から挨拶があると思いきや、スペシャルゲストということで、佐賀県・古川知事がご挨拶。知事も映画『ソーシャル・ネットワーク』を観たらしい。なんか、そのフットワークの軽さが僕は好きなんだけど、さらにその気持ちを強くしたのが、この後、知事も受講者として、他の参加者と一緒に講習会を受講したということ。挨拶だけで帰っちゃう来賓が少なくないですよね、ふつう。「私も、アカウントを作っただけになってしまって…」とコメントされていた。樋渡市長もそうだけど、このフラットさ加減にも、時代の変化を感じるわけです。共感する力、共感される力は、きっとこういうとこから生まれてくるんだよなあと改めて思う。


古川知事の挨拶の後、樋渡市長が挨拶。そして、講師の紹介。講師が紹介されて早々に、2つ目のサプライズが発表されます。それが、「日本フェイスブック学会」設立の宣言。「なぜ、武雄で?」「昨夏に日本ツイッター学会を立ち上げたばかりなのに?」「学会ってちょっと違うんじゃない?」twitter上でも、いろんな声が聞こえてきました。でもね、僕は思うんです。この人口5万人の地方都市から、この新しい動きが始まること自体が、僕はソーシャルらしいことじゃないかって。誰もが手を挙げて、発信できる時代。良い悪いとかではなくて、何かがここから変わりだそうとしているのは事実。考えると同時に動き出していることに意味がある。



そして、市長の発案らしいけど、この筆文字のFacebookがイケてるんだよなあ。ちゃんとFacebookカラーの青字。ちょっとしたことだけど、これが黒字か、青字かの差は大きいなと思う。


そして、3つ目のサプライズが、武雄市役所ホームページのFacebook

武雄市役所ファンページ(Facebookページ)はこちら


個人的には、僕はこれが一番インパクト大きかったサプライズ。考えてみれば、自治体のホームページって、もう昔ながらのつくりのところが多い訳で、恐らく10年以上時代からは遅れている感じ。見にくくて、分かりにくくて、とにかく静的で、そこには双方向性のかけらもないわけで…。そんな時代からは遅れている存在だった、自治体のホームページが、今回それを取り返すどころか、時代の最先端まで追い越して進んだわけですよ。これってすごい。


Facebookって流行って来たけど、うちの会社どうしようね?」

きっと、そんな企業がまだまだ少なくないはず。そんな議論までもいっていない企業も多い。そんな中で、行政が率先して取り組む意義。革命的といってもいい。普通だったら、一般に広く広まった上、企業がさんざん取り入れた上で、それを後追いするのが常の行政。行政がイノベーターって、なかなかあり得ない。アーリーアダプターも珍しい。(参考:イノベーター理論)でも、武雄市というところは、いいと思ったら率先してやる。それが本当に素晴らしいなと思うわけです。


そして、肝心の中身。市役所のホームページのコンテンツがことごとくFacebookのこのページに集約されてるわけだけど、期せずして、スマートフォンからも綺麗に見れるというのも意義深い。

そして、それより何より、市役所が発信したコンテンツに、「いいね」という声が集まる。コメントが集まる。市役所のホームページが市民はじめ色んな人とつながる。人口が決して多くない地方都市が、そういうみんなの力で盛り上がっていく。本当に参加型な自治体のホームページがここに誕生したわけです。僕はね、それにワクワクする。ああ、本当の意味で、こういうのがソーシャルな動きなんだよなって、そんなことを感じて、感激するわけです。


市役所の存在が変わりますよね。ぐっと近くなる。市民参加のまちづくりなんて、もう古くから言われているわけですけど、「いいね」ボタンがきっと、その敷居をぐっと下げるし、「いいね」ボタンでどれだけ、市の職員の人たちの励まされることか。


既に公開されて数日が経つ訳ですけど、市のお知らせに、市長や市民がコメントをつけていたりして、静的な内容が動的に広がりを見せてるし、やりましょう&できましたリストのコーナーがあったり、今後が本当に楽しみ。ぜひ、いいねボタンをクリックして、世にこの事例広めましょう!きっと、真似する自治体増えると思うし、多いに真似て欲しいなと思うから。


武雄市は、実際、この武雄市役所のファンページをやろうと決めて、1週間足らずで作ってしまったとのこと。


日本で初めて市役所の全職員がツイッターアカウントを持ったのも武雄。そこには、樋渡市長はじめ市役所の職員のアイデア力&実行力、チームワークがあるからこそできることだと思うんですけど、間違いなく、ここ武雄で新しい何かが起きてます。(4つ目のサプライズとして、4月から武雄市役所に「つながる課」を創設しますというニュースも、樋渡市長から発表された。)


<各会場のUST中継のアーカイブはこちら。>

◎初級:フェイスブックって何?
(講師:藤川陽子さんhttp://ustre.am/tIvb

◎中級:ここがヘンだよ日本のフェイスブック
(講師:杉山隆志さん梅崎健理さんhttp://ustre.am/tIv8

◎中級:お友達の作り方
(講師:ヒミオカジマさんhttp://ustre.am/961T

◎上級:フェイスブックの可能性
(講師:加藤たけしさん


※あいにく上級はアーカイブされてないんですけど、代わりに、上級・講師の加藤たけしさんが企画・運営に携わっている、Looops.TV(毎週火曜日19時〜)がオススメ。最新のソーシャルメディア事情がわかります!


最後は、みんなで「いいね」で締めくくり。



企業より動きの速い自治体、武雄。
何かが起きる武雄。
ツイッターフェイスブックの町、武雄。


大げさな意味でなく、この動きは、ただ武雄を変えるだけでなく、日本を変える動きと僕は思ってます。
だからこそ、この町に注目したいんです。


春から夏にかけては、また武雄でtwitterFacebookを絡めた数日間かけてのイベントを予定しているとのこと。
USTで参加するのも良いけど、ぜひ、この空気を武雄で直で感じることをお勧めします!僕もまた行きますよー!


<参考>

日本フェイスブック学会 Facebookページ http://www.facebook.com/fsj2011

日本ツイッター学会 公式アカウント http://twitter.com/TSJ2010

武雄市長物語(樋渡啓祐市長のホームページ)http://hiwa1118.exblog.jp/