今年、2010年は国民読書年である。
様々なメディアで読書が推奨され、本の紹介などもさかんに行われた年だった。


今年も残すところあと1カ月ほど。さて、どれくらいの本を読んだだろうか。
図書館に「今年、本を借りる人は増えたか」と質問してみたところ、「増えたのは増えましたが、読みきれず返される方も増えましたね」と、言う。
読まなくては、という気持ちばかりが焦り、手当たり次第に本を借りる人が多い。もしくは、根本的に本の読み方がわからないと言う人も増えているそうだ。

そこで最近は本屋さんや図書館に、とある資格を持つ人が増えている。

それは“読書アドバイザー”。
小説やノンフィクションなどの好みのジャンルだけでなく、出版業界全般、つまり本を取り巻く全てのことを学んだ人間だけが取得できる資格のこと。

この資格が誕生したのは平成5年。読書活動の推進。つまり、本を読む楽しさを広めるのが目的。
資格取得方法はテストでは無く、スクーリングと通信教育でカリキュラムを勉強して取得するシステムだ。

何を受講するかといえば、本の歴史・印刷と製本・出版と流通・情報収集と検索・読書推進運動などなど。

取得資格は満18歳以上で読書推進に興味がある人。スクーリングや課題レポートの提出など、決められた基準を受講期間中にクリアすると修了証書が与えられる。
現在どれだけの取得者がいるかといえば、昨年度までで1700名にもなるそうだ。
取得者が就く職で多いのは、書店、出版社などの出版業界。ついで司書や学校教諭などでも取得する人が多いと言う。

とはいえ取得した=すぐ職に結びつくといった類の資格ではない。
しかし本の仕組みを知ることで本を活かすことを考え、そして結果的に本を読む楽しさを広げる草の根運動の一端となり、「読書の効用を世の中に広め、読書推進運動に参加してほしい」……と、協会さんは期待を寄せている。

次回の申し込みは23年5月以降を予定。詳細はまだ不明だそうだが、本が好きなら取得を考えてみても。
(のなかなおみ)