「発達障害」甲府に新拠点 31年度「3カ月待ち」改善へ

 発達障害の子供の育児に悩む親が増えていることを受け、県は25日、県内初の「児童心理治療施設」と特別支援学校を含む新拠点を平成31年度、甲府市住吉に設けると発表した。28年度12月補正予算案に基本設計費など約1億1700万円を計上する。

 新拠点は、後藤斎知事が同日に発表した「子どもの心のケアにかかわる総合拠点整備基本構想」の中心的な施設となる。

 県は現在、県福祉プラザ(甲府市北新)内の発達障害などの相談・診療施設「こころの発達総合支援センター」と、児童虐待などを扱う「中央児童相談所」で対応している。

 これらを新拠点に移転し、同センターの常勤医師(2人)の倍増など機能を拡充する。現在は非常勤4人を含め、医師6人で対応しているが、相談、診察ともに約3カ月待ちの状況という。

 このほか、相談室を5室から10室へ増設し、血液・尿検査室を新設する。

 一方、発達障害や虐待を受けた小中学生などの治療を行う新設の「児童心理治療施設」は、入所定員を30人、外部からの通所定員を15人とする。治療はこころの発達総合支援センターの専門医が兼務。入所者は隣接する特別支援学校に通学できる一体的な運営を行う。また、中央児童相談所は移転時に規模を拡充し、虐待の被害を受けて保護する子供の定員を、現在の12人から16人に増やす。

 24年の文部科学省調査によると、県内で発達障害の可能性がある子供は、推定約1万人(18歳以下の6・5%)とされている。

 また、特別支援学級「自閉症・情緒障害学級」の子供の数は27年に469人に達し、この10年で約6倍に増えている。同課は「自閉症は発達障害のひとつ。発達障害が増えているのは明らかで、体制拡充が必要と判断した」と説明する。

 後藤知事は会見で「同じ敷地にセンター、治療施設、相談所を整備するメリットを生かし手厚い支援体制を提供する」と述べた

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