米ニューヨークに本拠を置く世界最大規模の人事マネージメント・コンサルタント会社・マーサーの調査で、「離職を考えている工場労働者」が2004年の調査に比べて倍増するなど、企業に対する「忠誠心」が大幅に減少していることが分かった。中国メディアは衝撃を受け、「日本式の経営を見習え」と主張する記事も発表された。中国新聞社などが報じた。

 マーサーによると、2011年版の調査として、世界17地区の工場労働者3万人の意識を調べた。うち中国大陸では2000人を対象にした。

 中国大陸では工場労働者の34%が離職を真剣に考えていた。2004年の調査では18%で、6年間でほぼ倍増した。24−29歳の年齢層では70%の高率に達した。

 企業に対する忠誠心では、生涯に獲得できる給与額だけでなく、中間管理職に部下を思いやる心情が欠落していることが大きな問題と分かった。上司との衝突が、労働者が忠誠心を失う大きな原因になっているという。

 同調査結果に、中国の各メディアは大きな衝撃を受けた。経済参考報は、企業経営者などにみられる従来型の「老板」という意識が問題と指摘した。「老板」とは「店の主人」の意で、従業員を「食わせてやっている」といった考えが強く、従業員を酷使することになる。同記事は経営者が従業員に対して「ビジネスパートナーという意識を持ち、尊重する必要がある」と主張した。

 雲南信息報は、日本式の経営意識を見習うべきと主張した。日本企業は「従業員の忠誠心を高めるため待遇に配慮する。企業が困難に直面した場合も解雇には慎重」などと指摘。企業幹部はまず、自分の報酬をカットし、次に中間管理職などの給与をカットする。一般従業員の給与カットは最後で、「人員整理は他に手段がない場合だけ実施」と紹介した。

 同記事は、労務問題について日本企業は「(従業員向けに演技する)名優だ」との見方を示しつつ、「たとえそうだとしても、衣食を与える父母のようにふるまっているのは事実」と指摘。「従業員も恩義を感じ、企業に対する忠誠心が養われることになる。日本企業の労働者に接する方法は、われわれも参考にして学習すべきだ」と主張した。(編集担当:如月隼人)