【10月20日 AFP】第二次世界大戦(World War II)中にナチス・ドイツがユダヤ人から接収した美術品2万点あまりの情報がデータベース化され、18日にネット上で公開された。

 このデータベースは、ナチス・ドイツに奪われた資産の返還に取り組む「Conference on Jewish Material Claims Against Germany」と米国ホロコースト記念資料館(United States Holocaust Memorial Museum)が共同で、略奪美術品を正当な所有者に返還することを目的に2005年から作成していた。

 同団体のジュリアス・バーマン(Julius Berman)会長は「歴史上、類を見ない貴重な美術品の大量略奪から数十年を経て、やっと元の持ち主の家族たちが失われた家宝を探し出す手がかりができた」とデータベース化の意義を語った。さらにバーマン会長は、「今後、博物館や美術商、競売業者らは責任をもって、扱う美術品がホロコーストの犠牲者の所有品でなかったかを確認する必要がある」と付け加えた。

 データベースはナチスが略奪した美術品の目録作成の任に当たった「ローゼンベルク特捜隊(Einsatzstab Reichsleiter RosenbergERR)」が1940年から44年に作成した文書を元に構築された。データベースにはモネ(Claude Monet)、ゴッホ(Vincent Van Gogh)、ピカソ(Pablo Picasso)、シャガール(Marc Chagall)など、巨匠の作品も登録されている。これまでに約260点の美術品と所有者269人が判明したという。

 ナチスが略奪したユダヤ人の美術品に関しては2009年6月、チェコのプラハ(Prague)で国際会議が開かれ、奪われた資産をユダヤ人に返還し、困窮しているホロコーストの生存者には社会的支援を行うとの決議に46か国が署名した。この決議に法的拘束力はないが、これによると、ユダヤ人から奪われた170億ドル(約1兆4000億円)相当の資産のうち、これまでに回収または返還されたものは、ごく一部にすぎないという。(c)AFP/Paola Messana

【参考】ナチスが略奪した美術品のデータベース(英語)