シリーズ石原慎太郎- 都政に石原知事は不要だ

都政に石原知事は不要だ<1>

親バカも ここまでくれば ただの“ボケ”

石原知事の「四男」である石原延啓(のぶひろ)に対する公費支出がこれほど問題になっているのに、マスコミは延啓のコメントをまったくとれない。40歳 にもなる大人の男を父親が“余人をもって代え難い”とは噴飯ものだが、父親の陰に隠れて一言も発しない息子には首をかしげたくなる。

ことの発端は2004年1月、都知事の石原が、スイスのダボスで開催された「世界経済フォーラム年次総会」(ダボス会議)に出席した際、現地で開いた知 事主催のパーティーでの太鼓演奏の舞台背景製作者として延啓が同行し、2回分の旅費約120万円を公費から支出していたという。

しかし、延啓が渡航した費用の支出を決めた都の契約書類には延啓の名前が一切記されていなかったといい、こちらの概要は、本稿の読者にはすでに承知だろう。

この件に関して親バカの石原知事は昨年12月5日「そんなこといちいち口に出す必要はない。断っておきますけどうちの息子は立派な絵描きですよ」といいながら「余人をもって代え難い」とも言った。
四男 延啓 四男の芸術
 40歳にもなって父親の庇護の元に
公金をフトコロにした、といわれる
四男延啓(日テレより)
これが“余人をもって代え難い”
四男延啓の「芸術

「いちいち(延啓が)口を出す必要はない」と言いながら「余人をもって代え難い」というのは矛盾しているのではないか。石原知事はこのとき「違法性があるなら指摘してもらいたい」と記者らに開き直った。

石原知事が“トップダウン”で始めた若手芸術家の支援事業「トーキョウワンダーサイト」(TWS)には息子の延啓が深くかかわっていただけに、これは都政の私物化といえる。
この「TWS」館長は今村有策(建築家)で都の“参与”であり、副館長を務めているのは今村有策参与の妻で、石原知事の孫は、この妻が開いている私塾に 通っているのだからあきれた関係だが、この人事についても「余人をもって代え難い」と言い切っているのだから、もはや孫可愛さの“ボケ老人”。

『日刊ゲンダイ』(06・12・26)によると、延啓の友人でもある今村参与と石原知事はプライベートの飲み食いも、都の“交際費”で何度も支払っていたことが暴露されている。
東京都では、公務員同士の懇談に公費の支出を認めていない。

これだけではない。この「TWS」というあまり知られていない若手芸術家支援事業では、中止になった「能オペラ」に、都と関連団体が2,400万円支出 していたという。しかもこの「能オペラ」は石原知事が脚本を書いたが、著作権を巡る作曲家とのトラブルで03年に中止になっていた。予算には石原知事への 脚本料100万円も盛りこまれていた。

ちなみに「能オペラ」に出演予定だったドイツの室内楽団を都の「歴史文化財団」が招いて04年に演奏会を開きその際1,998万円を都が支出したが、チ ケット収入はたったの393万円で1,600万円もの赤字を出している。都民の税金を何と心得ているのか。

石原慎太郎 06・12・26 日刊ゲンダイ(クリックで拡大)

06・12・26 日刊ゲンダイ(クリックで拡大)
曇っているのはメガネではなく、
貴公の心だぞ

06・12・18 朝日(クリックで拡大)
06・12・18 朝日(クリックで拡大)


“オリンピック誘致”は知事選のエサ

このところ石原知事は逆風にさらされている。その悪いイメージを払拭するためにテレビのバラエティ番組などに軒並み出演し、「日本テレビ」の“波乱万 丈”では石原裕次郎とのエピソードなどが盛りだくさんだったからイメージアップにはなったことだろう。

一方『週刊文春』や『週刊ポスト』のインタビュー記事では“釈明”につとめ、“仕置人”が“親バカも、ここまでくれば、ただの“ボケ”などと年賀状に書いた件でも「反省してます」と殊勝に頭を下げている。

「2期はやる」と知事は初当選のころ述べていたが、この度3期目を目指していることを表明し、東京を10年後のオリンピック開催候補地として名乗りを上げた。

これで参与の元副知事 浜渦武生がダーティな動きをするだろうし、“石原とは親友”と言い回っている“希代の悪党”糸山英太郎も利権獲得に奔走するだろう。糸山には息子宏高の選挙で応援してもらっているし、その応援してくれた経営者の中に、あの「水谷建設」社長もいたのだから、石原ファミリーは限りなく黒ずんだグレー。

こうしたダーティーな人脈は中曽根康弘、浜田幸一、中尾栄一、松田九郎、小林興起、松岡利勝、徳田虎雄、亀井静香、野中広務ら政界関係と樋口広太郎、宮内義彦、前野徹らの財界人脈。そして、石原藩の6奉行が特別秘書の兵藤茂、参与の浜渦武生、鹿島営業統括部長の栗原俊記、高橋松作、今岡又彦、岩崎純など。

銀行の外形標準課税では実質敗北。その腹いせに「東京新銀行」を設立したが、これも思惑はずれ。またカジノ、後楽園競輪、東京湾に原発などとぶち上げているが、どれもこれも利権を漁るダーティーな人脈が舌なめずりをするための事業に見えてくる。

確か石原知事の若い頃の文学は既成のモラルをぶち破るという文学的要素があったが、都政にそれを持ち込まれては都民が困惑する。
“ペニスを障子に突き立てる”というような奇想天外な発想は、文学の世界では通用しても行政では通用しない。どだい石原知事は俗物すぎるし、判断能力はすでに枯渇している。
都政に石原知事は不要だ<2>

“公金横領まがい”のキザな奴

石原知事は、自選小説集『石原慎太郎の文学』(文芸春秋社刊・\5,985)全10巻の刊行を開始した。

この「刊行の辞」に<退屈に生きているなどということは出来はしまい>とある。それはそれで結構だが、作品の良し悪しを別にすれば、よくもこれだけの作品の量を生み出すものだとやっかみ半分で驚嘆に値する。

“仕置人”が最近知り得た著作だけでも『老いてこそ人生』や田原総一朗らとの対談本、そして前記した全10巻の全集。他にも、<1>で も記したように都と関連団体が2,400万円支出し石原知事自身の脚本料100万円を予算に盛り込んでいた“能オペラ”。そして「読売」、「日テレ」、 「東映」が4億づつ出し合って制作を進めている“俺は君のためにこそ死ににいく”という5月に封切りする映画では製作総指揮・脚本を手がけている。そして 「芥川賞」の選考委員までこなしている。年2回「文芸春秋社」の関連である「財団法人日本文学振興会」が授与するが、候補者がしぼり込まれているとはい え、相当数の作品を読むだけでなく“批評”も加えなければならない。


石原知事のホームページにあるキザなPR
都政そっちのけでは困る。作家活動だけにしたらいいものを・・・


 これほど作家活動が好きならばそちらに専念すればいいものを都知事という立場で名前を売り、ここぞとばかりに作家活動 を展開する“権威主義の権化”に堕ち入った石原慎太郎は、都知事と作家両方に足をかけ“又裂き”に合うのも知らずに、また知事選挙に立候補する意志を明ら かにした。

何しろ都知事というポストは、1週間に1日ていどの出勤でも税金から給与や手当をもらえるので、あとは“チンピラやくざ風”の参与 浜渦武生(前副知事)のコワモテで都政を牛耳ればいい。これでは“公金横領”といわれても仕方あるまい。

石原知事自身のホームページの“人生論”の中で<人生における方向転換は、その時期が遅くなればなるほど困難になる>とある。
ところが都知事の現実的うま味に毒された“俗人”石原慎太郎は“虚飾”にまみれて、晩節を汚していることに気づいていない。

晩節を汚しつづける石原のどこが「颯爽たる青春、芳醇なる人生」なのか
(2007.2.1 週刊文春より)
都政に石原知事は不要だ<3>

糸山からの“金銭授受疑惑”で特捜が重大関心

海外出張に同伴した夫人の旅費も、「四男」啓宏の芸術活動にも“公費”が使われていた問題と、ほぼ同時期に噴出したのが「三男」宏高(42・衆議院議員)への「裏ご祝儀」問題で、しかも“仕置人”が“希代の悪党”と称している糸山英太郎を介してのものだった。

「三男」宏高が衆院選に当選したのが05年9月11日。その3日後の14日に、東京の「吉兆」という高級料亭で一同に会した面々は石原慎太郎、その息子 で当選した宏高と先ごろ逮捕された「水谷建設」(三重県)元会長水谷功、そして糸山英太郎、埼玉の石材屋の社長と、現金500万円を糸山の秘書に渡した、 とする女社長の I ら7人。


右から慎太郎、16歳少女淫行の糸山、
目つきが異常な宏高、逮捕された水谷とどれも金で結びついている

この問題は、週刊誌などですでに報じられているので概略だけ記すが、宏高の“当選祝い”に2,000万円を贈りたいという糸山からの持ちかけで女社長 I が“ピン札”で500万円を糸山に届け、「吉兆」で食事をした。その際、糸山は高級焼酎<森伊蔵>の箱に2,000万円を入れたというが、これは糸山の言ってることだから当てにはならない。しかし女社長 I は「500万円は糸山の秘書にピン札で渡した」と断言しているにもかかわらず石原親子は「もらっていない」というものだから女社長 I はえらく立腹して「返還請求訴訟」も辞さないけんまく。

ところがこの“ご祝儀”は宏高の選挙区である“自民党支部”と“石原ひろたかの会”の「収支報告書」に記載されていない。また石原慎太郎の「収支報告 書」にも同様に記載されていなかった。ならばこれは明らかな“政治資金規正法違反”ではないのか。そこで「吉兆」に出席したメンバーに対して東京地検特捜 部が「重大な関心」を示しているのは至極当然のことで、今のところ この500万円~2,000万円は忽然と消えてしまったことになっている。


実勢価格5億円ともいわれている 田園調布の石原知事の豪邸

“驕れる者久しからず”「葬送行進曲」が耳鳴りの中から聞こえている石原都知事

都政に石原知事は不要だ<4>

「収支報告書」にみる石原と糸山の仲

“仕置人”は糸山英太郎を“稀代の悪党”と呼んでいる。しかし石原知事は糸山を「株の天才だ」と誉めそやし「僕は好きですが」(週刊文春 07/1/14~11)と言ってのけた。

どうも「金をくれる者なら、どんな人物からでも受け取る」と言う点では石原知事の面目躍如のようだが、何故糸山英太郎が知事に“献金”を続けるのかは賢明な読者はお分かりだろう。詳しくは<希代の悪党!糸山英太郎>を参考にしていただきたい。

“吉兆事件”で、「三男」宏高の“当選祝い”として糸山に「2,000万円を石原に渡すから」と言われて女社長の I はピン札500万円を届けたとされ、同席した埼玉県在住の“石材屋”も500万円を渡したとされているが、2,000万円も1,000万円も500万円も 石原慎太郎、宏高親子の「収支報告書」には記載されていない。記載がないどころか石原父子は「貰っていない」と否定している。「森伊蔵」の焼酎の箱の中に は金が入っていなかったのか。

ただ常識的にみて、「吉兆」という高級料亭に都知事と代議士を呼び出して焼酎2本だけと言うことはないだろうし、部屋から“人払い”までして石原と糸山2人きりになる必要もない。

糸山とズブズブの関係の石原は
糸山を「好きだ」と言った

“親の七光”で、選挙戦最終日に
小泉前首相や安倍現首相が応援に来て
やっと当選したが・・・

前回の都知事選直前の03年3月22日に2,000万円、その5日後の3月27日に1,000万円と計3,000万円を石原知事は糸山英太郎の政治団体 「新日本政経育成会」から受けている。またこのころ「中部石原慎太郎の会」という政治団体からも石原は7,000万円の資金提供を受けている。知事選の直 前とはいえ、「東京都薬剤師連盟」、「東京都石油人政治連盟」、「全日本不動産政治連盟」などからも3,000万円の資金を受けている。

また「三男」で代議士の宏高も糸山の息子や“吉兆事件”の女社長や石材屋社長、また「トライ」や「幻冬舎」などからも資金を受けている。

それにしてもかつて“義妹”を暴力団に襲わせて、“義妹”の会社を乗っ取ったり、3年ほど前には「16歳少女淫行事件」を起こしている糸山英太郎の多額 な献金は、警視庁の予算を握る都知事を“利用”している証左ではないのかと推測することができる。

現実に「16歳少女淫行事件」では、警視庁管内の久松警察署が本格的な捜査本部を設置していたのに“圧力”によって解散されたという事実がある。

また青山墓地をめぐる問題で石原知事や側近らが1,500万円を受け取ったという噂もあり金に食いつくダボハゼのような石原知事は、都民にとっても早や無用の長物だろう。

石原知事は、糸山から多額な資金を受けていることから、この逆風の最中去る1月20日にもガードマン5人ほどに守られ“糸山塾”に講演に出かけた。これをみても、“吉兆”では金額は別にして金銭の授受があったとみるのが妥当だろう。




糸山から3,000万円を受け取ったことが記載されている石原の「収支報告書」





糸山が石原に3,000万円資金提供したことを記載した「収支報告書」
“訴訟沙汰”になった<TSL>(115億円)に無責任な東京都

“小笠原に空港を”にストップをかけた石原知事は、国交省と組んで東京⇔小笠原村を結ぶ高速船<TSL>(テクノスーパーライナー)を就航させるべ く、<国土交通と東京都は連携して、当該欠損の解消を図る>という「確認書」を交わしたのが平成13年9月19日。

「確認書」には<国土交通省と都は、小笠原航路へのテクノスーパーライナー(以下「TSL」という。)就航にあたり、TSLによる交通アクセスの改善が 来島者の利便性の向上、及び島民生活の一層の安定並びに産業振興に大いに寄与するとの観点から、以下の通り協力して対処するものとする。

1. 国土交通省は、TSLリース料の減額等による運航コストの圧縮に勤めることとし、東京都は、観光振興を図ることとする。
2. 通常運航により、TSL運行事業に欠損が生じた場合、国土交通省と東京都は連携して、当該欠損の解消を図る。両者の負担割合は、それぞれ2分の1とする。
3. おがさわら丸は伊豆諸島航路に配転させることとし、東京都と国土交通省は、これに必要な措置を講ずることとする。>

というもので、「国土交通省海事局長 安富正文」と「東京都副知事 福永正通」両名の氏名と印が押されてある。

しかし、この“海の新幹線”を時速80㌔として、これまでの25時間30分を17時間で航行する高速船「TSL」は、平成17年10月に完成しているにもかかわらず、今だに岡山県玉野市の「三井造船」の岸壁に係留されたままでいる。

全長140mで14,500tの「TSL」は、年間45,000人の乗船客を見込んでいた。しかし、東京都は90,000人乗せると試算していた。


わが国の造船技術を海外に示すミレニアムプロジェクトとして平成元年に開発に着手した「TSL」の1号船は、造船業界らが出資した関連会社 「TSW」(テクノ・シー・ウェイズ)が「日本政策投資銀行」などから資金を調達して「三井造船」に発注した。
順調に推移していれば、平成17年11月には就航していた筈だが、燃料の高騰などで年間20億円以上の赤字が見込まれることから、国土交通省と東京都は互いの負担額が折り合わない、などの理由で支援をとりやめにしたという。

国交省と東京都が積極的に進めたプロジェクトを、当初の予想より赤字幅が大きくなったということで「やーめた」というのでは、船を発注した「TSW」、 傭船する「小笠原海運」、船を建造した「三井造船」の3社は2階に上げられて梯子を外されたようなもの。ならばこの3社が結束して国交省や東京都を相手に 争えばいいものを、「TSW」は船の引き取りを拒否している「小笠原海運」に対して、とりあえず10億円の損害賠償請求訴訟を昨年12月、東京地裁に起こ した。

「TSW」に言わせれば「小笠原海運が“リース契約を破棄し、偏船しないというから訴えた”といい、「小笠原海運」は“まだ「TSW」は船を引き取っていないじゃないか”と反論する。

国交省海事局造船課では「東京都が引いてしまった以上、こちらもどうしようもない」というし、東京都小笠原振興課は「これほど原油価格が高騰するとは思 わなかった」というが、「赤字が出たら支援する」と国と都が“確認書”まで交わしているのにこれではあまりにも無責任すぎる。

現在は原油も値下がりの傾向にあり、就航したとしても年間20億円も赤字が出るとは思えない。

ましてや国交省と東京都が進めたプロジェクトで公益性の高い交通手段の一つであってみれば採算を度外視してでも実施しなければならない。この「TSL」 の就航は、観光客の増加にも繋がるだろうし、「TSW」「小笠原海運」「三井造船」の3社のためにも、いつまでも腕をこまねいているべきではない。

東京都が乗り出せば国交省は受けるだろうから、石原もこれまでの罪ほろぼしに「TSL」の支援を再考したらどうだろうか。