李香蘭と張愛玲

張愛玲の「対照記――看老照相簿」(in『重訪辺城』*1、pp.165-244)は、張愛玲が自分及び家族の写真にコメントを付したもの。元々台湾の『皇冠』雑誌に1993年11月から1994年1月まで連載されたもの。
さて、その中に張愛玲と山口淑子aka李香蘭*2 とのツーショットがある(p.221、図四十一)。コメントによれば、1943年に某園遊会で偶々李香蘭を見つけて、記念写真を頼んだ(p.220)。張愛玲の身長があまりに高いのでバランスを取るために、李香蘭は立ち、張愛玲は椅子に座って足を組んでいる。また、李香蘭の視線は鋭く張愛玲の視線は虚ろである。それから驚いたのは李香蘭と張愛玲は同年齢であるにも拘らず、李香蘭の方が遥かに老けて見えることだ。張愛玲が小姐なのに対して、李香蘭の方はどう見ても太太だ。新潮文庫から出ている李香蘭の自伝の表紙の写真よりも老けて見える。また、この自伝に張愛玲と会ったことが言及されているかどうか。今手許にないが、その記憶はない。張愛玲のコメントの後半では、李香蘭のことは語られず、自らが着ていたワンピースのデザインがコメントされている。

李香蘭 私の半生 (新潮文庫)

李香蘭 私の半生 (新潮文庫)