木走日記

場末の時事評論

アニメ映画『この世界の片隅に』プロモを報道できないこの国のマスメディアのどうでもよいチンケな理由

 今回は小ネタです。

 さて、東宝は24日、アニメ映画「君の名は。」の興行収入が164億円を超えたと発表しました。宮崎駿監督の作品「崖の上のポニョ」や米映画「アバター」を超え、国内の歴代興行収入で9位、邦画では歴代5位にランクインです。

 報道によれば、上映スクリーン数は今も増えており、動員客数のさらなる上乗せも見込めそうとのことであります。

(参考記事)

アニメ「君の名は。」、興行収入が邦画歴代5位に
東宝「164億円超す」
2016/10/24 19:10
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ24I2Z_U6A021C1TI5000/

 ジブリ作品以外でのこのヒットですが、これだけの動員力は驚きです、日本アニメの底力といいますかクオリティの高さがまた証明されましたね、また、アニメというジャンルがこの国の幅広い世代で観賞に耐えうる娯楽作品と認められ完全に市民権を得たことの証左でもありましょう。

 さてアニメの当たり年ともいえる本年の、締めの作品と言ってよろしいんでしょうか、一部でやたら前評判のよろしい作品が、来月11月12日に、全国公開されます。

 片渕須直監督のアニメ作品『この世界の片隅に』であります。

 公式サイトはこちら。

■公式サイト

http://konosekai.jp/

 ネットでの前評判は、まあこんな感じ。

(参考記事)

この世界の片隅に」が「本年度ベストワン!!」と言われる理由。
https://cinema.ne.jp/recommend/katasumi2016102407/

 構想六年間、単なる戦争映画としてではなく、当時の時代考証を徹底的に細部に渡るまでおこない、1945年の広島の街並みとそこに生きる人々の生活を史実に忠実に復元しており、時間をかけたその丁寧な”仕事”ぶりがアニメ通の評判を得ているようですね。

 当ブログは別にアニメに詳しくもないのですが、機会があれば観賞してみたいと思いました、興味深いです。

 で、ここからが本題です。

 さて、この全国公開アニメ映画『この世界の片隅に』なのですが、公開まで一か月を切った同映画のプロモーションが、テレビ・ラジオ・新聞等のこの国のマスメディアで一切報道されない(正確にはNHK以外で)、という珍現象が起きているのであります。

 民放テレビ局やスポーツ紙はこれをまったく取り上げていないのです。

 8月に当映画の主演(女優:声の出演)などが発表された際も、「リアルサウンド」「クランクイン!」「Billboard Japan」といった一部ネットニュース媒体が報じる一方で、通常であればこの手のニュースにいち早く飛びつくオリコンや、日刊スポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知、サンケイスポーツ、デイリースポーツといった主要スポーツ紙が完全スルーいたします。

 また、この時、情報番組『めざましテレビ』(フジテレビ系)は、出演予定者として前日に告知していたにもかかわらず、なぜかオンエアに主演女優の姿は見られず仕舞いです。

 今日に至るまで、NHKを除いて、日テレ系列、TBS系列、フジ系列、テレ朝系列、全民放のワイドショー、並びに、日刊スポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知、サンケイスポーツ、デイリースポーツほか、すべてのスポーツ紙にて、このアニメ映画『この世界の片隅に』のプロモーション関係が、完全に”黙殺”されているのでございます。

(関連記事)

のん(能年玲奈)『おはよう日本』出演で「NHKの朝に帰ってきた!」民放総スルーも、NHKが復活後押しか
https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12122-88725/

 で、この”黙殺”の理由は何か?

 この映画の主演女優がのん(本名:能年玲奈)さんであり所属大手プロダクションと独立騒動を起こしているためだというのです。

 大手プロダクションのご機嫌を損ねたくないテレビ各局は”自主的”に報道を控え、臆病にも系列スポーツ新聞までもが一斉に”沈黙”を守っている、というのが現状なのであります。

 読者のみなさん。

 まったくひどい話です。

 これだけの話題性があり報道価値があると思われる日本のアニメ映画を、マスメディアを挙げて、声優の一人が所属プロダクションともめたという、作品の評価とはまったく関係のない、どうでもよいチンケな理由で”黙殺”しているのであります。

 マスメディアの実にくだらない保身のために、このすばらしい作品が世間から”隠ぺい”されてしまっているのです。

 これがこの国の良識あるマスメディアの振る舞いなのであります。

 なんという志の低いスケールの小さな”偏向報道”なのでしょうか。

 ふう。



(木走まさみず)