【8月26日 AFP】「世界最悪の修復」でサルさながらに変貌してしまった102年前のキリストの肖像画を見ようと、スペイン北東部ボルハ(Borja)を訪れる人々が数百人規模に急増している。

 この肖像画はスペイン人画家エリアス・ガルシア・マルティネス(Elias Garcia Martinez)が1910年に描いた「Ecce Homo(この人を見よ)」で、ボルハ市内の教会の柱に直接描かれている。傷みが目立ち始めたため、年齢が80代とされるセシリア・ヒメネス(Cecilia Gimenez)さんが善意で修復を試みたところ、オリジナルと似ても似つかないとして地元住民から苦情が殺到。静かな町だったボルハに、世界中のメディアの注目が一気に集まった。

 肖像画は本来、いばらの冠をかぶせられたイエス・キリストの姿を描いたものだったが、「修復」後は顔色の悪いサルのようで、目鼻立ちはバランスが悪く、頭を毛皮が覆っているように見えるありさま。一部メディアはこれを史上最悪の修復と伝えた。

 25日には教会の外に、興味津々の訪問者の行列ができた。公共テレビ放送のインタビューに応じたある女性は、「以前の絵も大変素晴らしかったけれど、わたしは本当にこれ(修復後の肖像画)が気に入っています」と語った。

 ボルハ市に原画を復元する計画を思いとどまるよう求めるオンライン嘆願書には、既に1万8000人もの署名が集まっている。(c)AFP