サイエンス

「CERNだけど何か質問ある?」でCERNが「シュタインズ・ゲート」に触れ大盛り上がり

By chippa

オンラインのニュースや面白い記事を提供するネタ板であるredditの1コーナーで、数々の著名人に直接質問を行うことができる「AMA(Ask Me Anything)」に、世界最大の粒子加速器である大型ハドロン衝突型加速器を擁し、数々の世界的研究プロジェクトを行っているCERN(欧州原子核研究機構)のスタッフが参加しました。「タイムマシンの研究は?」という質問に対し、CERNスタッフが「それはSERNに任せたよ」とまるで想定科学アドベンチャーゲーム・アニメのSTEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)を思わせる回答を寄せたことから、作品のファンを含めて大きな反響を呼んでいます。

We are scientists working at CERN, home of the Large Hadron Collider and birthplace of the World Wide Web! Ask Us (Almost) Anything! : IAmA
http://www.reddit.com/r/IAmA/comments/27s863/we_are_scientists_working_at_cern_home_of_the/

シュタインズ・ゲートには実在する「CERN」の名称をもじった研究機関として「SERN」が登場しているわけですが、今回のやり取りではCERNのスタッフも同作品とその中に登場するSERNの存在を把握しているということが明らかになっています。それが明らかにされたのは、タイムマシンに関する下記の一連の質問の中でした。


◆Q01:極秘の研究は行っているのですか?

A01:
CERNは学術的な研究を行う場所で、私たちは研究結果や技術的設計を発表することに日々を費やしています。軍事関連の研究は一切行っていません。そのため、一部の例外、たとえば公表前に真偽性を確認している研究結果などは別にして、CERNで秘密に行われている研究は存在しません。もちろん、スタッフの給与明細書や健康診断結果、各種パスワードや会計上の情報など、明かされない情報はあります。

この回答に対し、ある閲覧者が「タイムマシンの研究とか。」というコメントを残したところ、CERN側から「あぁ、でもそれはSERNに任せました」と作品中の固有名詞をそのまま引用したコメントが書き込まれました。これに対し、閲覧者からは、「ワオ、CERNがシュタインズ・ゲートのことを話題に出したよ。こいつぁすごいや」や「このマッドサイエンティストめ!」といったコメント、主人公の岡部倫太郎が話す口ぐせ「El Psy Congroo(エル・プサイ・コングルゥ)」をぼそっとつぶやく人が現れました。

そしてさらに、

◆Q02:Okabe Rintarou(岡部倫太郎)という名前に心当たりはありますか?

という質問に対しては、「たしか、シュタインズ・ゲートだったでしょうか?しかし、まだタイムマシンはやってません。昨日もう一度質問してください。5年以内に何も変わってなければね」というさらに踏み込んだコメントが返され、明らかにCERNの中の人にも作品のファンが存在していることが明らかになっています。

この回答に対し、スレッドではふたたび「エル・プサイ・コングルゥ」と口走る人や「泣いた」と書く人、「誰も牧瀬紅莉栖に触れないんだな」「クリスティーナアアアアアアアアアアアアアアア!!!」「ティーナじゃないわよ!」などのコメントが寄せられています。

しかし残念ながら(?)、同作品について触れたスレッドは上記のみとなっており、後のやり取りは主にCERNの本来の目的に沿ったものとなっていました。

◆Q03:これまでCERNで関わった仕事の中で、最もCoolと感じたものは何ですか?(粒子どうしをぶつけるヤツとは別に)

A03:
私はレゴがとても好きなんですが、GoogleがCERN内部のストリートビューを撮影しに来た時にこっそりと内部にレゴの人形を忍ばせておいて、後にレゴのフィギュア探しのイベントを開催したのはとても楽しかったです。もし興味があるのなら、ココから挑戦してみてください。答えはココで発表しています。

と、なかなか遊び心タップリの回答が寄せられており、一般の閲覧者からも「スーパークールだ!リンクをありがとう!」というコメントが寄せられています。


また、別のCERNスタッフからは、「2013年7月4日にヒッグス粒子発見の発表の場で、フランソワ・アングレール博士ピーター・ヒッグス博士の後ろに座ってライブツイートを行っていた時はとても素晴らしかったです」とのコメントがあり……


さらに、「しかし、CERNの中で『クールなもの』ということであれば、世界最大の大型ハドロン衝突型加速器でしょう。これは世界最大の『極低温システム』であり、世界で最も低温(クール)な場所の一つとなっています」という回答が寄せられ、意外とお茶目な一面を見ることができます。

◆Q04:政治的な圧力や介入はどの程度あるものですか?CERNにはさまざまな国からの援助が行われていますが、それによる摩擦は発生していないでしょうか?

A04:
ありがたいことに、政治的な圧力や介入は存在していません。我々が行っているのは、純粋な科学そのものです!

◆Q05:すでに明らかにされている実験結果で、本来はもっと注目されるべきであるものはありますか?

A05:
我々は非常に多くの研究を行っており、これまでに100件以上の目ざましい研究成果を発表してきましたが、残りの多くはブログやリリースで発表されることがないものです。それらの研究成果とは、私たちの自然がどのような仕組みで成り立っているのかを根底のレベルから解析するものであり、現在このレベルの研究はCERNのような施設にしかできないものとなっています。我々の役目は、CERNのような機器を活用することで自然がどのような仕組みになっているのかという理解を大きく発展させるための基礎作りを行うことにあります。

このスレッドでは閲覧者から「実験を行う加速器が一つだけという状況において、実験データの間違いや改ざんという状況が起こることはないのですか?」という質問が寄せられたところ、別の閲覧者から「大型ハドロン衝突型加速器にはATLAS検出器CMS検出器など大小の装置が複数あり、それぞれの検出結果から検証は可能だと思います」という意見が寄せられています。


◆Q06:大型ハドロン衝突型加速器の電源を入れたら、どんな音がするんですか?(真面目な質問です)

A06:
実験を行う際は加速器は立ち入り禁止になるのですが、いったんドアがクローズされると、機器を制御するコンソールからビープ音が鳴り始めます。そして機器類のタイミングを同期させるための調整が始まると、各段階の進捗を知らせるアナウンスが再生されるようになっています。

私たちがいるコントロールルームは加速器から離れた場所にあるので実際の音を聞くことはできませんが、CERNにある別の加速器であるISR(Intersecting Storage Rings)にいる同僚は、検出器に粒子が衝突する「ブーン」という低い音を聞くことができる、と言っています。


◆Q07:CERNに関しては、例えば「地上にブラックホールを作っている」などの誤解が多くありますが、他にも誤解されているものはありますか?

A07:
「ブラックホールメーカー」以外の誤解としては、原子レベルの研究を行っていることから新しい「危険な道具」を作っているというものや、「次世代エネルギーの開発」というものがありますが、どちらにもCERNは携わっていません。

◆Q08:毎月の電気代はどのぐらいですか?

A08:
私が聞いているかぎりでは、一日あたり最大で180メガワットの電力を消費しており、その大部分は加速器で使われているということです。

この数値をもとに閲覧者が試算したところ、スイス側に支払っている場合の料金だと月額で2450万ユーロ(約34億円)・一年間で2億9400万ユーロ(約400億円)、フランス側での料金でも月額1600万ユーロ(約22億円)・一年間で1億9200万ユーロ(約265億円)という莫大な金額になることがわかりました。実際にCERNがこれほどの金額を支払っているかどうかは不明のようです。

◆Q09:近いうちに起こりそうな大発見は何ですか?早く明らかにしたいものは?

A09:
まだまだ解き明かされなければいけない課題のパズルはたくさん残っています!最も興味がある分野の一つは暗黒物質(ダークマター)の解明でしょう。


◆Q10:CERNで研究したいと考えている学生にアドバイスをもらえますか?

A10:
もちろん!CERNには学生向けのプログラムがいくつか用意されているので、夏休みを利用したプログラムに参加するのがいいでしょう。プログラムではCERNの職員からのレクチャーや実地体験などを行うことができます。興味のある人はこのページから申し込んでみてください。

◆Q11:量子力学と重力の統一理論まで、あとどのぐらいですか?

A04:
まだまだ先は長いでしょう……。これは非常に広い研究分野で、多くの研究者が関わっている分野です。いくつかの面で成果は見られますが、まだまだ解明すべき点はたくさんあります。

◆Q12:なぜCERNは公式に用いる字体を「Comic Sans」に変更したのですか?

A12:
これは、CERNの首脳陣と世界最高のウェブデザイナーが数週間に及ぶ検討をもとに導き出した結論に基づくものです。

また、別のスタッフからは、「だって、Arialってダサいし」という回答が寄せられていますが、これはもちろんジョークのネタ。2014年のエイプリルフールでCERNが発表した内容をネタにした質問となっていました。

このほかにも数多くの興味深い質問と回答がかわされているAMAのやり取りは、以下のリンクから全文を読むことができるようになっています。

We are scientists working at CERN, home of the Large Hadron Collider and birthplace of the World Wide Web! Ask Us (Almost) Anything! : IAmA
http://www.reddit.com/r/IAmA/comments/27s863/we_are_scientists_working_at_cern_home_of_the/

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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