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映画大手が映画館でコンサートや演劇などの映像の上映を増やしている。東宝は2012年2月期に映画以外の上映作品数を2割程度増やすほか、松竹も4割増やす。映画館に来場する観客の裾野を広げ、収益源を多様化するのが狙い。各社は東日本大震災の影響で公開を延期することになった作品を抱えており、映画館の稼働率低下を抑える狙いもある。

東宝の映画館運営子会社、TOHOシネマズ(東京・千代田)は「ODS(アザー・デジタル・スタッフ)」と呼ばれる映画以外の作品の上映本数を今期は60本と、前期より10本増やす。歌手やお笑い芸能人のライブが中心。売店での関連商品の販売を含むODSの収入を10億円と、前期比1割増やすのが目標だ。

映画部門は前期の連結売上高と営業利益のそれぞれ約6割を占める稼ぎ頭。ただ作品によって観客動員数や連結業績が大きく変動しやすい。ODSを上映する際の入場料は2千~3千円と映画(1266円)を上回る一方、広告宣伝費は映画より少ない。新しいコンテンツを取り込んで、映画興行が不振な時も収益の落ち込みを可能な限り抑える。最近では人気アイドルグループ「AKB48」のメンバーをランク付けするファン投票の模様を地方で同時中継した。

松竹は今期に歌舞伎や海外オペラなど15本程度を上映し、ODSの興行収入を6億円と前期比5割増やす考えだ。11年2月期は、歌舞伎を含む演劇事業の営業利益が、映画を含む映像関連事業を上回った。歌舞伎のファンを開拓し、歌舞伎座などへの来場者を増やす狙いもある。米メトロポリタン歌劇場の最新オペラも公開する。

東映傘下のティ・ジョイ(同・中央)は興行関連売上高に占めるODSの割合を12年3月期に15%程度と、前期(約10%)より引き上げる方針だ。上映本数は人気劇団による演劇やミュージカルなど25本程度と、前期より2割増やす。

映画各社は近年、上映設備のデジタル化投資を相次いで実施。映画以外の作品を上映し、回収を早める。

— 「戦略分析:映画大手、コンサート・演劇の上映拡大 東宝・松竹が2~4割増 収益源を多様化 映画館の稼働率維持」