2016年前半に出そろうハイエンドなヘッドマウントディスプレイ3種。Facebook傘下のOculusのOculus Rift、ソニー・コンピュータエンタテインメントのPlayStation VR、HTCとValveのHTC Vive。いずれも高いクオリティのVR体験が可能になります。
VRに興味はあるが、全てを買う人はなかなかいないのではないかと思われます。そこで、Mogura VRではこれまでの体験等を踏まえ、購入時の比較の参考になる情報をまとめてみました。
そもそもハイエンドだと何が違うのか?
ハコスコやGoogle Cardboardなどスマートフォンで手軽に体験するVRデバイスも多く登場しつつある中、ハイエンドのデバイスが注目されているのはなぜでしょうか。
それは、「高品質な体験が可能になる」からにほかなりません。
どのデバイスも快適なVR体験ができるようにチューニングされています。頭を振っても違和感なくまるで周りに別の世界があるかのように錯覚してしまうほどの、滑らかで自然なVR体験が可能です。
また、目や耳から入ってくる情報だけでなく、空間におけるプレイヤーの位置を検出するポジション・トラッキングや手をVR内で思い通りに動かせるハンドトラッキングなど、さらにVRにいる感覚が増す機能もあります。
一覧
まずはひと目で変わる比較表がこちら。詳細は説明していきます。
なお、不明な情報は判明次第更新していきます。
※2015年2月29日0:30 HTC Viveの価格等を更新しました。
※2015年3月16日10:00 PS VRの価格、発売日等を更新しました。
※2015年10月13日19:00 Oculus Touchに関する記述、HTC Viveの価格、PS VRの情報等を更新しました。
※2月29日17:30 PS Cameraの記載を「赤外線カメラ」としていましたが「2基のHDカメラ」のため修正いたしました。
Oculus Rift | PS VR | HTC Vive | |
国内価格(税込) | 94,600円 | 48,578円 | 107,784円 |
発売日(予約) | 3月28日 | 10月13日 | 4月5日 |
同梱物 | Xbox Oneコントローラー トラッキングカメラ Oculus Remote” |
イヤホン プロセッサーユニット |
Steam VRコントローラー(2本) ベースステーション(2個)” |
画面解像度 | 有機EL 1080×1200 2枚 | 有機EL 1920×RGB×1080 | 有機EL 1080×1200 2枚 |
リフレッシュレート | 90Hz | 120Hz, 90Hz | 90Hz |
視野角 | 110度 | 100度 | 110度 |
ヘッドホン | “3Dヘッドホン一体型 (着脱可)” |
イヤホンのみ | イヤホンのみ |
ポジショントラッキング | 赤外線カメラ付属 | “PlayStation Camera (2基のHDカメラ、不明)” |
“Lighthouse付属 最大、対角線5mまで” |
ハンドトラッキング | Oculus Touch(別売、23,800円、2016年12月6日発売) | PS Move コントローラー(別売) | SteamVR コントローラー(付属) |
メインマシン | Oculus Ready PC (10万円以上目安) |
PlayStation 4 (税別29,980円) |
SteamVR Ready PC (10万円以上目安) |
プラットフォーム | Oculus Store Steam ほか |
PS Store | Steam Vive Port |
予約時同梱タイトル | 『Eve:Valkyrie』 『Lucky’s Tale』 |
『The PLAYROOM VR』 | 『Tilt Brush』 『Job Simulator: The 2050 Archives』 『Fantastic Contraption』 |
さっそく各項目の比較をしていきます。
価格
現時点で国内での販売価格が判明しているのはOculus Riftのみ、送料・税込で94,600円(アメリカでは599ドル)となっています。HTC Viveは税込・送料込107,784円(アメリカでは799ドル)、国内販売が行われているため、注文後すぐに発送されるほか、店舗でも販売されています。PS VRは税込で48,578円です。
さて、本体の価格以上に気にしなければいけないのは、メインマシンや付属機器を合わせた総価格です。特にOculus RiftやHTC ViveはPCに接続して体験することになりますが、要求されるスペックがあります。それぞれ、基準となるスペックが明らかになっていますが、運が良くて10万円弱、基本的には10万円以上というのが目安になります。PS VRはPlayStation 4を使用するため税別29,980円です。
また、周辺機器に関しては一覧表のとおりです。ヘッドホンの有無やハンドトラッキングできるコントローラーの有無がポイントとなります。
http://www.moguravr.com/cv1-spec/
http://www.moguravr.com/htcvive-pc/
発売時期、予約状況
発売日は、Oculus Riftが3月28日の出荷開始ですが、現時点からの予約では7月の出荷になります。またHTC Viveは日本時間3月1日0時より予約開始、4月1日より出荷を開始します。PS VRは2016年前半という発表のみで発売日は未定です。
ディスプレイとしての性能と体感
ディスプレイには、いずれも有機ELパネルを使用。解像度はPS VRがフルHD、Oculus RiftとHTC Viveが両目合わせて2K相当となっています。比較をしてみると、PS VRの解像度は確かに若干粗く感じることもありますが、コンテンツのグラフィックが綺麗に作り込まれていればあまり気にはなりません。また描画の滑らかさを表すリフレッシュレートは90Hz以上。90Hzでも十分なめらかですが、PS VRの120Hzは群を抜いています。頭の動きを反映するヘッドトラッキングの性能も、頭を振り回しても気にならない程度です。
しかしPS VRの場合、コンテンツにより90Hzのもの。また120Hzだが処理側では60Hzのものをソフトウェアを使って120Hzにしているため動きの速いコンテンツの場合、若干の詰まりを感じる場合もあります。
ポジション・トラッキング
位置のトラッキングに関して、Oculus RiftとPlayStation VRは正面にカメラを設置します。また、HTC Viveは体験するスペースの対角線上にベースステーションと呼ばれるレーザー装置を取り付けます。
プレイヤーの位置の把握はいずれの方法でも問題ありませんが、手にコントローラーを持った際、1つのカメラでトラッキングをする際は死角(反応しない場合)が生じるため注意が必要です。OculusはOculus Touch向けにさらに追加でカメラを用意しているという話もあります。
一方、HTC Viveは対角線で5m相当四方をトラッキングできるため、範囲が最も広くなっています。実際に体験してみると圧倒的に自由な空間が広く、歩けることに感動を覚えます。
左の2枚がOculus RiftやPlayStation VRのトラッキング領域、右の1枚がHTC Viveのトラッキング領域
参考:Oculus Connect 2: Being There: Designing Standing VR Experiences with Tracked Controllers (Owlchemy Labs)
ハンド・トラッキング
現実の手を同じようにVR内でも手を動かすことのできるハンド・トラッキング用のコントローラーは各デバイスごとに用意されています。
Oculus Rift向けのOculus Touchは、棒を握るタイプではないため、最も自然に手の動きが反映されます。しかし発売時期はOculus Riftの発売から遅れることが明らかとなっており、2016年中とされています。価格も不明です。
PlayStation VR向けのPS Moveコントローラーは、1本3,790円で既に発売中。PS VRにも対応します。PS VRに同梱されるかは不明です。
HTC Vive向けのSteam VRコントローラーは両手分2本がセットで組み込まれてきます。
いずれも棒を握っているという感覚はあるため、剣などを持っているときは自然ですが、コップなどを掴むとなると違和感が生じます。筆者の個人的な感想としてはOculus Touchは現実の手と勘違いするほどに「本物の手」らしいものでした。
http://www.moguravr.com/oc2-matome2/
http://www.moguravr.com/oculus-touch-tgs2015/
装着感
装着感は人によって個人差があるものです。筆者が装着感が最も軽かったのはOculus Riftでした。しかしパーツの顔への当たり具合がよくないといった問題もあるとのこと。いずれのデバイスも基本的には眼鏡をつけたまま装着が可能です。
顔に接する部分の感触などは試してみないと分からないものです。
コンテンツ
各プラットフォームで発売が決定しているタイトル等はMogura VRのこれまでの記事をご参考ください。
ここでは配信プラットフォームの比較を行います。Oculus RiftはOculus Sotreを通じた配信を行うほか、他の配信プラットフォームを禁止していないため、SteamやImagine VRなど様々なプラットフォームからコンテンツをダウンロードできるようになります。HTC ViveもSteamからのダウンロードになりますが、Steamはあくまでもゲームの配信プラットフォーム。他のプラットフォームの利用も可能になります。
一方、PS VRはPS4のコンテンツと同様にPS Home、PS Storeからコンテンツを楽しむようになります。3つのプラットフォーム全てにリリースを予定しているコンテンツもありますが、各プラットフォーム固有のコンテンツも数多く出てくる見込みです。
今後、Mogura VRではリリースされるコンテンツの紹介にも力を入れていきます。
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