サポートセンターはIT業界の中でも最も熾烈な領域です。罪無き人々が罵倒され罵られるなんて、世界広しと言えども、この業界くらいのものではないでしょうか。

例えば、こんなシチュエーションを想像してみましょう。

今日はあなたと彼女の初デート。彼女は写真好きなので、この日のために最新型のデジカメを買ってきました。しかし、実際にカメラを使う場面になって、肝心のカメラが動きません。どうやってもレンズシャッターが開かないのです。

結局、その日は写真を1枚も取れず、散々な1日。それ以来、彼女はあなたの元を離れていってしまいました。歯を食いしばって悔しがるあなた。もしあの日、あの時、デジカメがうまく動いていたらこんな目には遭わなかったのに……。

そう考えるとヒシヒシと燃え上がってくるのが製造元への怒りです。ちくしょう!この○△□社製のタイマーめっ!

そうやってメーカーのサポートセンターに電話したのですが、混み合っているようで、なかなかオペレータにつながりません。10分以上も自動音声案内を聞かされた挙句、ようやくオペレータが電話口に出ました。

この瞬間、あなたはいったいどんな口調で話しますか?

私のこれまでの経験では、10人に9人は終始オペレータに対して攻撃的な発言を口にしています。さらにそのうちの半数は怒りをあらわにし、口々にメーカーの悪口を述べていました。中には、オペレータ自身を威嚇している人も。

あなたにしてみれば、大切なイベントをぶち壊しにされた挙句、わざわざ問い合わせたサポート先で今度は長時間待たされるわけです。IT業界やサポート業界に詳しくない人なら、誰でもこの時点で怒りが沸騰するのではないでしょうか。

一方、サポートセンターのオペレータにしてみればたまったものではありません。何一つ自らに非がないにも関わらず、会社の代表としてひたすら顧客の怒りに耐えねばならないのです。

そのストレスたるや、想像を絶するほど。事実、サポートセンターで働く人の回転率(?)は非常に早く、数ヶ月で精神的にダウンしてしまう人も続出しています。このため、サポートセンターには激昂した顧客を専門に対応する担当者が存在する場合があります。彼らはプロフェッショナルですから、どのように対応すれば最もスムーズに物事を解決できるかを知り尽くしています。

例えば、顧客の怒りが収まるまではひたすら相手の言葉を聞き続け、時折相槌をうち、相手が怒鳴ることに疲れ果てたところを見計らって謝罪の言葉と解決案を提示する。その絶妙の間は、まさにプロフェッショナルという言葉にふさわしいです。

とは言え、やはり人の子。これまたストレスだけはどうにもならず、胃を悪くしている人が少なくないと伺っています。最近はコンタクトセンターとして機能充実が著しいサポートセンターですが、今後も人材不足の悩みは尽きないのでしょうね。

著者紹介

吉澤準特 (ヨシザワジュントク)

外資系コンサルティング会社に勤務。守秘義務を破らない範囲でIT業界の裏話をつぶやきます。ファシリテーション、ビジネスフレームワーク、人材教育など執筆多数。日本能率協会、秀和システムそれぞれから書籍刊行。執筆依頼/インタビューお引き受けします。こっそりITIL Manager (v2)資格保有。

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この記事は吉澤準特氏のブログ「IT業界の裏話」の過去記事を抜粋し適宜加筆・修正を行って転載しています。