Redmine Backlogsで簡単スクラム!スクラムマスターや開発チームとして使う編

800px-Scrum_process-de.svgScrum Process via Lakeworks in the Wikipedia

前回はプロダクトオーナとしての使い方を調べてみた。今回は、スクラムマスターの使い方をRedmine Backlogs :: Usage Scrum Masterを元に調べてみる。

スプリントバックログは、プロダクトバックログの上からチームのベロシティ分選択していくだけでよく、選び出されたストーリーにポイントを付け、スプリント内でストーリーが消化されるようにチームを支援するのがスクラムマスターの仕事になる。上の図だと全体にかかわるお仕事なのだが、Redmine Backlogsではスプリントバックログやスプリントが、舞台の中心になるのだと思う。

スクラムマスターとして使う

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ストーリーの調整はプロダクトオーナーともチームとも相談する必要がある。Backlogsではスプリントごとのベロシティも簡単に確認することができるため、ベロシティを安定させるのもスクラムマスターのがんばりどころ。入力はシンプルで、開始日、終了日はスプリントのものになるので入力は必要ないという考え方。進捗率も必要なくステータスの入力だけになる。

さらに、チームがストーリーを実現するためのタスク洗い出しのサポートを行っていく。Backlogsはこの作業を楽にできる作りになっている。

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タスクへの分割は、タスクボードの画面で行うことができる。それぞれのストーリーをチームと相談しながら作業分割し、ここで優先順位と担当者も決めてしまう。「Remaining Hours」という項目があるが、「残り時間」という意味だろうか?作業者と相談して記録していくこともできる。この数字をどんどん減らしていくようにみえるが、タスクの移動で状態がわかるので、なにもしなくていいのかも。タスクは担当者ごとに色が変えることができ、MyAccountから色を設定できるのも素敵。

また、タスクボードの上部には「スプリントの障害になるもの(Sprint Impediment)という欄があり、

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そこにタスクを作る場合は「Blocks」にこの問題にブロックされているタスクやストーリーのIDをカンマ区切りで入れる。これすごく面白い。これはチームからスクラムマスターへのリクエストになるので、スクラムマスター専用のタスクと考えることができる。ナイスアイデア。

タスクはストーリーと分けて考えられているので、タスクにポイントを付けることができない。ただ、バーンダウンチャートでタスクの残り時間を確認できるので、ポイントと一緒に確認できる。

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RedmineやTracを使っていて困るのがタスクボードの役割。タスクボードを壁に貼っておくと、リアルとRedmineの同期に手間がかかる。

そこで登場するのが「Sprint cards。

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しかし、Backlogsだと「Sprint cards」からPDFでストーリーやタスクをPDFでダウンロード可能。これをはりつけることでストーリーやタスクはある程度同期ができる。日本語は残念ながら文字化けしてしまう。

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Velocityなどの情報は統計画面(http://localhost:3000/rb/statistics)から確認できる。Velocityは自動計算され、平均のスプリント期間やふりかえりをやっていないスプリントの割合まで、統計情報を確認できる。Backlogsは丁寧に使えばいろいろな情報を見える化できる。

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Redmineをスクラムのプロセスに合わせて使う場合、僕の場合はバックログは「期限が設定されていないチケット」をフィルタして確認していた。しかし、Backlogsの場合は見た目にも分かりやすく、チームにとっても、スプリントのストーリーやタスク、ベロシティの確認もすごく分かりやすい。

800px-Scrum_process-de.svgScrum Process via Lakeworks in the Wikipedia

最後にチームメンバーとしての使い方を調べてみる。上の図だとくるくるとスプリントを回すところが中心。説明はUsage: Team Memberに書かれているが情報量が少ない。また、最後に、このプラグインを使った感想もまとめてみる。

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メインとなるのはタスクボードの画面だろう。ストーリーとタスクが整理されて表示できるので、この画面をメインに状況を見える化することができる。さらに、Redmineのチケット一覧を表示することで、自分のタスクを従来通り一覧形式で確認も可能。

Redmine Backlogsの場合、開発者はタスクボードとRedmineのチケット画面をみるだけで事足りてしまう。ものすごくシンプル。

感想

このプラグインの対象しては

  • Redmineを使ってみたい人
  • Redmineの使い方に悩んでいる人
  • Redmineをアジャイル開発(特にスクラム)で使ってみたい人

におすすめだとおもう。

Redmineを使ってみたい人にとっては、シンプルでわかりやすいプラグインであるBacklogsはとても始めやすいと思う。使い方に悩んでいる人にとっては、Backlogsによってスクラムベースのプロセスがナビゲートされるのでやりやすくなるはず。また、Redmineは高機能だが、使われない機能ももちろんでてくるはず。「たくさん機能があってわかりにくい」という悩みも解決するかもしれない。

アジャイル開発を初めている(始めたい)人にとっても、作業ログとしてデータを残すことができるBacklogsは使い始めやすいプラグインだと思う。使ってみて、すごく良く考えられている印象を持った。

その他、以下の点が特徴と言える。

  • ストーリーに開始と終了という概念がなく、スプリントの開始と終了ベースになっている
  • トラッカーは、ストーリーとタスクのみで運用可能
  • ぐりぐりと直感的にストーリーを操作できる
  • バーンダウンチャートの使い方が謎(使いながら調べるしかなさそう)
  • RedmineのDBを拡張するので、Redmineのバージョンアップリスクが高くなる
  • インストールが手間
  • 統計画面がまだまだ弱いので、これが拡張されれば、もっと見える化できるだろう

アジャイル開発に登場するツールをオンライン化したくなるのは人情だけれど、それがすべてではない。きっと、タスクが増えると見難くなったりするのは仕方がない部分でもある。しかしながら、小さなチームで気軽に始めるにはちょうどいいプラグインだと思う。スクラムのプロセスを体験できるという点で、このBacklogsはRedmineのアジャイル関係のプラグインの中で過去最高のできなんじゃないかなと思った。

時間があったら統計情報の画面を作ってプルリクエストしてみよう。

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