上司と部下は、なかなか折り合いがつきにくいもの。そして部下が上司に求めるものは、上司の目に映っていない場合も少なくありません。年齢や立場が違うのだから仕方なくもありますが、少しでも部下の気持ちをくみ取れることは、上司の必須条件かもしれません。

あなたが部下から求められているシリアスな50のこと』(濱田秀彦著、実務教育出版)が、悩める上司の助けになりそうです。マネジメント、研修講師として年間150回以上の講演を行っている著者が、研修で出会った1万人の若手社員の本音を集約している一冊です。

本記事では第1章の「人生の先輩として尊敬される『人間力』」から、部下に尊敬されるために必要なポイントをいくつか抜き出してみます。■ 上に強い人でいてほしい(15ページより)

部下が望む上司への要望で、いちばん多かったのがこういった回答なのだそうです。上司にはさらに上の指示に従う義務もあるので難しいところですが、自分より上の立場の相手に強く出られる管理職には、共通した特徴があるといいます。それは、上位識者との信頼関係を築いた上で交渉力を発揮しているということ。つまり、普段から上の人間と信頼関係を築いているから、いざというとき強く出られるわけですね。また、すべてにおいて、先手を打つことも大切だとか。とういうのも、そうすることで多方面に対して折り合いがつけやすくなるからです。

ピンチの時に動じないでほしい(19ページより)

どんな職場にもピンチはつきもの。そんなとき、部下がいちばん見たくないのは上司がオロオロする姿です。当然ですが、オロオロする上司とデンと構えている上司では、印象が大きく変わります

ピンチに強くなるためには、最悪の場合を想定するのがいいそうです。「別に誰が死ぬわけでもない」くらいの気持ちでいれば、気持ちを落ち着かせることができるわけです。そして問題が発生する前段階の「転ばぬ先の杖」、そして問題発生時の<プランB>を考えておくことも忘れずに。

器が大きい人でいてほしい(26ページより)

部下は、(マイナス要素を含め)受け入れてくれる上司を求めているそうです。たしかに、それは大切です。上梓としては、部下をひとりのの人間として受け入れるべきなのでしょう。

ただし、なんでも許せばいいというものではないとも著者はいいます。部下はなんでも許すだけの上司を「器の大きい人」、「包容力のある人」とは見ないものだからです。人間的には受け入れて、仕事の局面では必要な指導をしなければならないということですね。それから、苦情や愚痴まじりのネガティブな話を穏やかな表情で聞くことも重要だとか。丁寧に聞いた上で、適切に指導すればいいのです。

ブレない姿勢を示してほしい(36ページより)

上司の意見が変わると部下は「ブレた」と判断するものですが、上司は経営方針などに従う義務があるので、必ずしもぶれているとは限らないものです。それでも誤解されるのは、職場に一貫したグランドルールがないからだといいます。だからこそ、管理職としての思いを込めたグランドルールを作り、その一点について貫くことが大切だそう。

また、状況が変わって指示を変える場合は、きっぱり「変更する」と明言することがポイント。「本質は変わっていない」などと力説すると、ブレたと思われがちだからです。

「責任はオレが取る」と言ってほしい(53ページより)

部下がチャレンジする際、背中を押してくれるのは「責任はオレがとる」という上司の言葉だそう。上司にとってもリスクが伴う言葉ですが、ここで注目すべきは、なにかが起きたとしたら、管理職はどのみち責任を取らなければならないものだということ。つまり管理職になった瞬間から「責任はオレが取る」ことになっているので、だとしたら堂々と言った方がいいということになるわけです。

この他、「マネジャーとして仕切り、プロとして実行する『仕事力』」、メンバーが働きやすい環境を整える『職場力』」、「部下をやる気にさせ、次のステージへといざなう『育成力』も紹介されていますので、部下の気持ちをつかむには最適。部下との関係を改善したいなら、ぜひ手に取ってみてください。

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(印南敦史)