米エバーノートは2012年7月28日、同社が主催する開発コンテスト「Evernote Devcup」の審査結果を公表した。同コンテストは、Evernote APIを利用したサービスが対象で、応募時点で未発表の製品に限定している。

 今回発表したのは、5個のファイナリスト(最終候補作)と、オンライン投票による「People’s Choice」、そして日本からの応募者を対象とした「Japan Prize」である。受賞者には賞金が授与されるほか、8月24日にサンフランシスコで開催される開発者イベント「Evernote Trunk Conference」に招待される。

 発表によると、ファイナリストはフィーチャーフォン向けのEvernoteクライアントソフト「EV」、iPhone向けWebページのクリッピングアプリ「EverClip」、Evernoteで作成したノートを自動整理するWebアプリ「KustomNote」、Evernoteに保存したノートを共有するツール「LiveMinutes」、位置情報を記録するためのiPhoneアプリ「PlaceMe」の5個。People's Choiceは、ディナーやスポーツなどのイベント支援のためのツール「Spotwish」だった。これら6作品の制作チームは、Evernote Trunk Conferenceでそれぞれのアプリをプレゼンし、トップ3を競う。金賞は2万ドル、銀賞は1万5000ドル、銅賞は5000ドル。

全体賞への日本作品の課題は「説明ビデオなどの表現力」

 Japan Prizeについては、日本から応募があった28件の中から「memogram」が獲得した。memogramは、Evernote上のノートを直感的にグループ化、カテゴリ分類できるiPadアプリケーション。付箋紙やメモ用紙のような一覧性が評価された。

 同アプリのほか、名刺管理アプリ「CardFul」、レシピサイトのレシピを見やすくして保存するChromeエクステンション「レシピノート」、iPhone向けの軽量Evernoteクライアント「SmartEver」、Webページを自動的にクリップするiPhone用ブラウザアプリ「AutoEver」、女子高生が情報を届けてくれる「萌ever」(Moever)が優秀作品として選ばれ、同社のサイトで審査員のコメントとともに紹介されている。

 Japan Prizeの選考には、ドコモエンジニアリング社長の辻村清行氏、楽天執行役員のジェームス・チェン氏、コンセント代表取締役の長谷川敦士氏、エバーノートジャパン会長の外村仁氏とゼネラルマネージャーの井上健氏が参加した。

 Evernote Devcupでは、「完成度」「Evernoteとの連携」「実用性」「オリジナリティ」の4点を重視して最終候補者を選考した。Japan Prizeについては、上記の4項目に加えて、モバイルの利用環境が多い、サブカルチャー的な要素があるなど「日本らしさ」も加味した。全体賞のほかに日本枠を用意しているのは、「日本でのEvernoteの利用が多いこともあるが、日本の開発者による、世界で通用する製品作りを応援したいと考えているから」(エバーノートジャパンの井上氏)という。

 今回は全体賞のファイナリストに日本からの作品が入っていない。この点について井上氏は「作品が劣っているわけではない。違いがあるとすれば、説明用のビデオなどの表現力。説明用ビデオを見て参考にしてほしい」としている。

[ファイナリストとPeople’s Choiceの発表資料]
[Japan Prize発表資料]