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 チャンネルAJER更新しました。

『三橋貴明のギリシャ紀行(前編)①』三橋貴明 AJER2012.10.16(1)

http://youtu.be/-DMuL-m1yyQ

『三橋貴明のギリシャ紀行(前編)②』三橋貴明 AJER2012.10.16(2)

http://youtu.be/CrLZtDxQaj0

今回は結構面白いと思います。
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【10月28日(日)経営者向けプレミアムセミナー「激変の世界経済の中で日本の経営者はどう判断すべきなのか!?」】
http://ideafactory.web.fc2.com/
 日時:2012年10月28日(日) 12時45分開場 13時~18時 
ゲストは何と中野剛志さま!)

【10月31日(水)「真冬の向日葵」刊行記念講演会・サイン会」】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_39.html#Obihiro
 演題:メディアの大罪がまた始まった
 日時:2012年10月31日(水)
   午後6時~午後8時(開場:午後5時30分)

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藤井先生が講師を務められる「桜ゼミナール 11月」のお知らせです。

 演題:列島強靭化論 ~日本国家の繁栄のために~

 講師:藤井 聡 氏(京都大学教授)

 日時:平成24年11月17日(土)午後6時~

 場所:護国会館(栃木県護国神社)

 参加費:1,000

 詳細は↓↓↓↓

http://chsakura.com/event/sakura_seminar.html


 ギリシャの宗教はギリシャ正教、すなわち「オーソドックス」です。オーソドックスとは、正統派という意味があります


 395年にローマ帝国が東西に分裂して以降、キリスト教もまた東西で異なる道を辿るようになり、次第に交流が疎遠になっていきます。そして1054年にローマとコンスタンティノープルの教会が互いに互いを破門しあい、東西分裂が決定的になりました。ローマ教皇を首長とするカトリック教会と、東方のオーソドックス(正教会)に分かれたわけです。
 ちなみに、カトリックは「普遍的」という意味を持ちます。西が「普遍的」キリスト教、東が「正統派」キリスト教というわけでございますね。


 先日、ローレンス・サマーズ教授のコラムをご紹介いたしました。

コラム:IMFは緊縮策の弊害回避を=サマーズ氏
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE89F03M20121016?sp=true
 
 上記の中でサマーズ氏が、現在の世界で繰り広げられている新古典派対ケインズ的政策派の争い(正しくは「セイの法則」対「セイの法則が成立していないじゃん」の争いだと思いますが)について、以下のように書いています。


『(前略)短期的には成長の促進や雇用拡大を重視し、長期的には債務を抑制する必要があることについては誰でも見解が一致しているが、その方法をめぐっては各国内、および国ごとのどちらの面でも、見解に大きな隔たりがある。

 「オーソドックスな見解」は、公的および民間セクターによる過度の借り入れが現在の問題を招いたと考え、長期的に債務の増大を抑制する必要性を強調する一方、緊縮的な財政政策や金融政策を重視し、成長を刺激するため需要喚起を目指す短期的な措置よりも長期的な構造改革が必要だと指摘している。
 それに対し、「需要サポート見解」は、債務の増大を抑制し、インフレ率の上昇を食い止める必要性を認識しながらも、景気を押し上げ、所得拡大、雇用創出、金融セクターの強化という好循環を生み出すため、短期的に需要を拡大する措置が必要だと強調している。
 過去2―3年、経済に関する世界の議論は、この2つの見解の間で揺れ動いてきた。2009年春や現在のように成長に対する不安がとりわけ強い時期には、すべてではないにしても、国際通貨基金(IMF)をはじめとする金融・財政当局は需要を喚起する政策を重視する傾向が高まる。しかし、成長を取り巻く霧が晴れ始めれば、早々に「オーソドックスな見解」が盛り返し、緊縮財政策や長期的な金融の健全性に関心がシフトしてきた。(後略)』


 「オーソドックス」というのは、言い得て妙だなあと思ったわけです。オーソドックスの新古典派経済学者たちは、まさに自分たちを「正統派」と考えているようで、セイの法則を前提にした政策ばかりを提唱し、世界に多大なる迷惑をかけています。


「緊縮的な財政政策や金融政策を重視し、成長を刺激するため需要喚起を目指す短期的な措置よりも長期的な構造改革が必要だと指摘している。」

 これこそが、日本の財務省や「構造改革派」が、97年の橋本政権以降(本当はそれ以前から)さんざんに「実験」し、失敗を繰り返してきた「デフレ期のインフレ対策」でございます。


 オーソドックスな人たちの考え方の特徴の一つに、
「公的および民間セクターによる過度の借り入れが現在の問題を招いた」
 があります。

 現在の南欧諸国(特にギリシャ)において、長期金利が上昇し、民間企業の資金コストが跳ね上がり、経済成長のための投資がほぼ不可能になっているためです。そのため、格付け会社のご機嫌をとる緊縮財政を強行し、「債務返済の信頼性を高め(何と言うか、定性的ですが)」金利を引き下げ、企業が投資をしやすい環境をつくらなければならない。よって、緊縮財政だ


 大雑把に書くと、上記のような「理屈」になっています。「債務返済の信頼性」を高めるには、経済成長や経常収支黒字化しかないと思うのですが、なぜか彼らは緊縮財政を主張します。

 とはいえ、世の中には公的債務が膨らみ続けているにも関わらず、金利が上昇しない日本やアメリカといった国があるわけです。というか、厳密には金利が上昇しなくても、企業が投資をしようとしない国になりますが。


「金利が低いのに、企業が投資を拡大しないなど、有り得ない! 何かの間違いだ!」
 などと、オーソドックスな経済学者たちは考えるのかも知れませんが、それは彼らの頭の中に「セイの法則」があり、
投資をしてモノを生産すれば、需要が生み出される(客がいる)
「よって、企業が投資をすれば、経済は成長する」
「企業に投資をさせたいときは、金利を引き下げればいい」
「あるいは、法人税を引き下げ、企業の余剰資金を潤沢にすれば、投資が増える」
「富裕層に減税し、貯蓄を潤沢にすれば、金利が下がり、企業が投資をする」
 などなど、現在の日本には全く当てはまらない空論に取り込まれてしまっているためです。


 日本は政策金利がゼロ、長期金利が0.77%であるにも関わらず、ちっとも投資が増えません。しかも、日本企業は輸出が拡大していったアメリカ不動産バブル期ですら、設備投資をそれほど拡大してくれませんでした。


【日本の輸出と民間企業設備の推移(単位:億円) 】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_39.html#Toshi2


 理由はもちろん「デフレ」のためですが、顧客が増えてすら企業が投資を増やそうとしない「環境」が、この世にはあるのです。すなわち、バブル崩壊後の国々です。


 それにも関わらず、オーソドックスな経済学者たちは「成長」や「需要」よりも、なぜか「政府の負債削減」に重点を置こうとし、南欧諸国は逆効果の緊縮財政を強いられ、状況が悪化していっています。しかも、共通通貨建て国債と自国通貨建て国債を混同する(わざと?)わけですから、始末に負えません。


スペイン:5四半期連続のマイナス成長、首相に救済要請迫る
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCC7ZL6KLVRS01.html
 スペイン経済は7-9月(第3四半期)に5四半期連続のマイナス成長となった。ラホイ首相に救済要請を迫る圧力が強まった。
 スペイン銀行(中央銀行)が23日公表した月報によると、7-9月期の国内総生産(GDP)は前期比0.4%減。マイナス幅は4-6月(第2四半期)と同水準だった。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト10人を対象にまとめた調査の中央値では0.7%減と見込まれていた。前年同期比では1.7%減。 (中略)
 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が8月に国債購入の構想を示した後、スペイン債利回りは低下。このため、ラホイ首相は今のところ差し迫った救済の必要はないとの姿勢を示している。しかし、先週の欧州連合(EU)首脳会議で同国への追加支援が協議されなかった後、スペイン債相場は下落。借り入れコスト上昇はリセッション(景気後退)に伴う税収落ち込みとともに、赤字削減の取り組みを難しくする。 (後略)』


 スペイン政府は失業率が25%を上回っている状況であるにも関わらず、省庁などの政府部門の支出を8.9%削減すると発表しています。結果的に、政府の税収は3.8%増加するという、まさしく橋本政権まんまの「不思議な試算」をしているのです。


 政府の緊縮財政により金利が下がり、企業が投資をすることで成長路線に戻り、税収が増えるという皮算用にもならない皮算用をしているのだと思います。何しろ、スペイン政府は赤字削減に向けた予算執行を監視する独立機関の設置も計画していますので、
「財政赤字を削れば、格付けが上がり、金利が下がり、経済が成長し、税収が増える」
 と考えていることは明らかです。↑これはまさに、オーソドックスな経済学者さんたちが好む発想になります。


 とはいえ、現実には、
財政赤字削減努力が名目GDPを縮小させ、税収を減らすことでさらに財政が悪化する
 となってしまいます。と言いますか、すでになっています。

 政府が間違えた政策を採り続けることで、国民は高失業率、所得減少の中で苦しみ続けています。現在の日本も同じですが、スペインの場合は何しろユーロ加盟国ですので、自国で採れる手段がほとんどありません。それに対し、日本(及びアメリカも)は「正しいデフレ対策」を打てばいいだけなのです。


 大袈裟でも何でもなく、日本は「世界のために」正しいデフレ対策を率先して実行に移し、バブル崩壊後に新古典派チックな経済政策を実施することは、オーソドックスだろうが何だろうが「間違えている」ことを証明する必要があるのです。そのためには、まずは政権交代が必要になるのですが、現在はわたくし達日本国民の選択が、日本どころか世界の運命をも左右してしまう「過渡期」という話です。

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