一枚の割れた窓ガラスを放置しておくと、割られる窓ガラスがさらに増え、やがて街や地域全体の荒廃に繋がっていく...という理論(割れ窓理論、破れ窓理論:ブロークン・ウインドウズ・セオリー)があります。小さな事柄の放置が大きな犯罪の温床になるという、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング博士が提唱した理論です。実はコレ、日常の生活にも当てはまります

 例えば、お部屋の片づけにもこの理論は当てはまります。ちょっと片付けが面倒だからと、ぱっと脱ぎ捨てたシャツや靴下、はたまた飲み終わったビールの空き瓶や空き缶などをそのままにしておくと、そこから秩序が崩れはじめます。部屋のカオス度が増していき、次第に汚さが気にならなくなり、片付けるのが億劫になって、いずれ散らかり放題の立派な汚部屋となることでしょう。今日できることを、ついつい明日に先延ばしにしてしまう人は少なくありませんし、何気ない小さなところから「荒れ」始めていくのも事実です

「部屋は住む人の心を映す鏡」ともいいますが、逆も真なりで、これらの無秩序な部屋の状態が心に影響を与えるということもあります。部屋が散らかって見えると、「このくらいはまあいいか」と自制心がゆるゆるになってしまいがちですが、逆にいつもキレイな状態を保っておくと、散らかす事でバツの悪い思いをし、汚しにくくなるものです

このように、身の回りの環境を綺麗な状態に保つ上で、「割れ窓理論」の考え方は、アーチ状の建造物の頂点に位置し、建造物の構造を保つ「キーストーン(要石)」のように、重要な役割を果たしてくれます。とはいえ、長年身についた習慣は、良くも悪しくも私たちに深く根付いています。

一念発起して部屋を徹底的に片づけても、結局は散らかった状態に戻ってしまう...。今度こそ! と心に誓ったはずなのに、しばらくすれば元の木阿弥だったという経験はありませんか? では、すっきりキレイな暮らしを持続するにはどうすればいいのでしょうか? よい習慣に改めるのは、早いにこしたことはありません。割れ窓理論状態の悪循環から抜け出し、今より汚くしないために、まずは身の回りの小さなことから、コツコツ頑張りましょう。

整理整頓術に特化したブログ「Unclutterer」でErin Dolandさんは、生活上のルールを無視しないため、片付け習慣の物忘れ防止のため、1日の終わりに今日の生活を振り返るチェックリスト「クロージング・リスト」を作ることを薦めています。出した物は元の場所に戻す、食事後の食器洗いなど、毎日の決まった雑用をリスト化し、やるべきことをすべてやったかどうか、寝る前やオフィスを出る前に確認してください。やり忘れた事があれば、後回しにせずに、ちゃっちゃと片付けることが大切です。悪しき芽は早々に摘み取るのが肝要。とにかく面倒なことであればあるほど、事細かに具体的に決めておくのが、粛々とタスクを消化するためのコツです

ネタ元によると、「出したら戻す」が面倒にならないように適材適所、収納スペースを設けて片付けやすくすると、出しっぱなし・置きっぱなしの悪い流れを断ち切れるとのこと。物の置き場は、「楽に出し入れできる」を基本に、使う場所の近くに配置しましょう。郵便物をチェックする場所の近くにシュレッダーやゴミ箱があれば、不要なダイレクトメールなどを溜め込まずにその場で廃棄できます。よく脱ぎ散らかしてしまう人は、着替えそうな各部屋にカゴを置き、脱いだものはすこに入れましょう。

大雑把な処置でもだいぶ変わると思います。このほかにも、日頃のお買い物の際に、あらかじめ必要なものをピックアップした「ショッピング・リスト」を利用すると、無計画な買い物で発生する「ダブり買い」「空間をムダに占拠」などの無駄を防ぐことができ、効果的です。こうした毎日のちょっとした積み重ねで、キレイなお部屋をいつも維持することができます。部屋作りの一歩として、日々の暮らしの行動に取り入れてみませんか?

たかが部屋、されど部屋。これらを実行すれば、最悪でも現状キープはできるはず。とにかく汚れを溜めてしまわないことです。ここまで読んだだけで、掃除をする前に何だか心折れそうな方は、過去記事「お掃除スケジュールを作成して己の怠慢と戦う」や「掃除の効率アップを目指す52選」も参考にしてみてください。キレイで当たり前、快適で当たり前となるように、健闘を祈ります。

The Keystone Demise | Unclutterer

David Galloway(原文/訳:kiki)