Macユーザ待望の『OS X Lion』が、いよいよリリースされました! 250もの新機能をひっさげ、Appleらしい未来型のパソコン環境を実現。ユーザエクスペリエンスが改善され、使いやすくパワーアップしています。また、iOSデバイスを意識した機能が多く見受けられるのも特徴です

そこでこちらでは、冒頭動画で紹介されている機能も含め、OS X Lionの注目ポイントをまとめてご紹介しましょう。

 ■OS機能

1: Mission Control

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Exposé、Spaces、Dashboardは、すべて新機能「Mission Control」に統合。また、Exposéがアプリケーションごとにウィンドウを分類して表示するようになったので、一度に多くのアプリを開く場合には、従来よりもスッキリするでしょう。また、ウィンドウを完全に開かずとも、クイックビューが可能。マルチタッチジェスチャーで、特定のアプリからウィンドウを開くこともできます。Mission Controlでは、スペースがスクリーンの上に表示。ウィンドウは、スペースにドラッグしてクリックするだけで、どのスペースにでも移動できます。ちなみに、Dashboardは、従来どおり画面上に表示されています。


2: Launchpad

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iOS形式のアプリランチャー「Launchpad」は、過小評価されている感が...。もちろん、従来どおり、Finderでもアプリを閲覧できますが、Launchpadなら、DockにあるLaunchpadアイコンをクリックするだけで、アプリケーションに瞬時にアクセスできるので、Finderやスタートメニューよりも便利です。Quicksilverを利用しているユーザさんは、Launchpadを使うことはないかもしれませんが、OSにこれほど便利なアプリランチャーがビルトインされているのは評価できるでしょう。ちなみに、フォルダは典型的なiOS形式のアイコンで表示されます。


3: オートセーブとバージョン

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ドキュメント作成においては、「早めに、マメな保存」が基本ですが、作業に集中してしまうと、うっかり保存し忘れ、数時間の努力が消えた...なんてこともよくある話。そんな悲しい出来事からサヨナラできるのが、「オートセーブとバージョン」です。作業中のドキュメントを自動保存し、バージョン管理。さらに秀逸なのは、ドキュメントを保存するごとに、ファイルの新しいバージョンを保存してくれること。「現バージョンより、旧バージョンのほうがいいな」というときは、旧バージョンに戻ることができ、ボタンをクリックするだけで、Macのバックアップ機能「Time Machine」に似たインターフェイスでファイルの履歴を見ることができます。


4: 再開

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Lionでは、システム上のすべてのアプリのセッションが保存できるようになりました。コンピュータをシャットダウンするときに、セッション保存を選択することが可能。コンピュータに戻れば、シャットダウン時のままで、すべてのウィンドウが復元されます。すでにMacBookでは、コンピュータの上側を閉じれば、同様のことができますが、この機能がデスクトップでも実装された点はいいでしょう。また、アプリ終了の際も同様の機能が...。終了時の状態を保存し、次回起動時に同じ状態からはじめることが可能です。これは、デスクトップユーザにもラップトップユーザにも便利な新機能ですね。


5: フルスクリーンアプリケーション

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Lionでは、アプリケーションのフルスクリーン化に対応。ウィンドウが最大化するだけのアプリもありますが、フルスクリーンモードのiOSアプリのようになるアプリもあります。たとえばプレビューでは、PDFや画像をフルスクリーンにし、iPadでの操作のようにマルチタッチジェスチャーではじいていくことができます。いろんなアプリを立ち上げていると気が散りやすい...という人にとっては、集中しやすくなっていい機能かもしれません。しかし、iOSデバイスを意識しすぎている印象も...。「デスクトップやラップトップPCに、このような機能が必要だろうか?」というと、そうでもない気もします。


6: AirDrop

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AirDropは、コンピュータ間のファイル共有をシンプル化してくれるFinderの機能です。従来は、ネットワーク設定や公開フォルダ、パスワードなど、面倒くさいプロセスが必要でしたが、AirDropによって、Finderを開くだけで、近くにあるAirDropの有効なコンピュータがすべて表示され、共有先コンピュータのアイコンにドラッグすれば、ファイルを送ることができます。AirDropは、二台のコンピュータ間で一時的な無線ネットワークを構築し、ファイルを転送してくれます。


7: ディスク全体の暗号化

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FileVaultによって、ディスク全体を暗号化し、セキュリティ度を高められます。Lionをインストールすると、「ドライブを暗号化するかどうか?」をユーザに確認してきますので、後々SSDデータを安全に消去したい場合は、「暗号化する」を選択するといいでしょう(このテーマについては、ライフハッカーアーカイブ記事「SSDのデータを安全に消去したければ使用前にドライブを暗号化するべし」で詳しくどうぞ)。ちなみに、SSDのTRIM機能にも対応しています。


8: Reading List

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「Reading List」は、ウェブブラウザに『Instapaper』がビルトインされているような機能。ウェブページを「後で読む」として保存でき、iOS5の『Mobile Safari』と同期できます。Instapaperほど優れているとはいえませんが、OSにビルトインされているという面では、気が利いているかもしれません。


■アプリケーション

アプリケーションのインターフェイスは、ほぼ想定どおりという印象。いくつか変更は見られますが、驚くほどのものはありません。主なアプリについては、次のとおりです。

1: Mail

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『Mail』の新バージョンは、旧バージョンの踏襲というよりも、iPadアプリに似ており、メッセージの閲覧が若干便利になりました。ボタンのクリックで、従来の受信トレイやフォルダのサイドバーの表示・非表示を操作。スレッドは、Gmailっぽいコミュニケーションビューになっています。このほか、検索機能も向上し、複雑な検索条件もカンタンに実行できます。


2: iCal

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『iCal』も、Mail同様、iPad版に似ています。中でも、日表示は秀逸。右側にその日のスケジュールが表示され、左側に、その先数日の予定が表示されます。別画面では、ToDoリストの閲覧も可能。さらには、空き時間を色分けしてマップ化してくれる機能があり、予定が多いとき、比較的余裕のあるときなどが一目瞭然です。週次・月次・年次で、自分のパターンを大まかに把握して、生産性改善に向けた課題を見つけられたり、生活リズムの見直しにつながるかもしれませんね。


3: アドレスブック

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アドレスブックは、ブックっぽいインターフェイスに変わりましたが、その他は、従来のものとあまり変わりません。タイトルバーやステータスバーが削除されるなど、よりリアルな見た目となっています。


4: Finder

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従来と変わらない印象ですが、便利に改善されているポイントもいくつかあります。たとえば、Finderのツールバーには、「Arrange by」オプションが追加され、フォルダのアイコンをサクっと整理できます。また、「マイファイル」は、すべてのドキュメント、画像、連絡先、その他のファイルをひとつのウィンドウに集め、ファイル形式別にソートする機能です。

「Spotlightがあれば、このような機能は不要では?」という気もしますが、たとえばローカルのどこかに保存したPDFをあてもなく探している場合、この機能があれば、名前がまったくわからなくても発見しやすくなります。とはいえ、ほとんどの場合、ファイル検索はSpotlightのほうが速いでしょう。このほか、大量のファイルをドラッグアンドドロップする際にアイコンを統合したり、ファイルの追加先フォルダにすでに同じ名前のファイルがある場合、両方のファイルを残せるようになるなどの改善も施されています。


■その他インターフェイスの改善

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スクロールバーは、必要な時だけ現れ、使わない時は消える仕組みに。また、既存ユーザさんが気になるであろうポイントとしては、これまで慣れ親しんだものと逆方向の、iOS形式のスクロールバーになった点が挙げられます。トラックパッドで2本指のスクロールに慣れているユーザさんは、最初は使いづらさを感じるかもしれません。たとえば、これまでスクロールダウンするのに、指を下向きにドラッグしていたのが、iPhoneやiPadでのフリックと同じく、上向きにドラッグしなければならないからです。この設定はシステム設定で変更できるので、「どうしても違和感が...」という方は、従来に戻すのも一法です。

この他、細かな改善点としては、ウィンドウのサイズ変更がどこからでも可能になったほか、iOSデバイスのように「Mail, Contacts & Calendars」がプリファレンスペインになりました。ファイルのドラッグアンドドロップでは、ひとつのアイコンへのグループが化できます。また、ワードをトリプルクリックすると、辞書やWikipediaが参照できるという機能も。小さなことですが、一部のユーザには嬉しいかもしれません。

「早速、OS X Lionをインストールしたよ!」というMacユーザさんは、実際に触れてみて、どのような感想をお持ちになりましたか? 「これは便利」とか「この機能、やりすぎじゃないの?」など、率直なご意見をコメント欄にぜひどうぞ。

Whiston Gordon(原文/訳:松岡由希子)