米Wall Street Journalは現地時間2012年12月12日、米Appleが大型テレビの設計について、アジアの部品供給業者と共同で試験を行っていると報じた。

 事情に詳しい2人の関係者の話として、iPhoneやiPadなどの組み立てを手がける台湾の鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry)が、ここ数カ月間シャープとAppleの新たなテレビの設計で協力し合っていると伝えている。

 Wall Street Journalによると、Appleは過去数年にわたってテレビの試作品をテストしてきた。同社は通常、自社内で製品の開発および試験を実施し、その後製造委託企業の協力を仰ぐ。今回の情報は、Appleのテレビプロジェクトが既に社内開発の段階を終えたことを示唆していると同紙は伝えている。ただし、関係者が「プロジェクトは正式なものではなく、開発はまだ初期段階」と話していることから、Appleが計画を中断する可能性もあるとしている。

 Appleのテレビプロジェクトについては、先ごろ米NBCテレビのインタビュー番組に出演したTim Cook最高経営責任者(CEO)が、「Appleの次の展開は?」と聞かれ、「自宅でテレビをつけると20、30年前に戻ってしまったような気がする」と答えたことから、社内で開発が進んでいるとの観測が広がっていた。

 もし、Appleが大型テレビの市場に参入すれば、既にスマートフォンやタブレット端末の市場で競合関係にあり、テレビの出荷台数で世界最大の企業である韓国Samsung Electronicsとの競争がいっそう激化することになるとWall Street Journalは伝えている。