「ネット黄金時代」を脅かす10の懸念(前編)

Alan Norton (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子2012年02月21日 07時30分

(編集部注:この米CNETによる「『ネット黄金時代』を脅かす10の懸念」の記事は、前編と後編の2回に分けて公開されています。後編は2012年2月23日公開の「『ネット黄金時代』を脅かす10の懸念(後編)」です)

 インターネットの存在を当たり前のことだと感じるようになってはいないだろうか?だが近い将来、インターネットが無償で自由に使えていた時代を懐かしく振り返る日がやって来るかもしれない。

 筆者は昔から、SFの黄金時代という言葉に心躍るものを感じていた。というのも、筆者の大のお気に入りであるSF作家アイザック・アシモフがその時代の中心人物であるためだ。SFの黄金時代とは一般的に、ロバート・A・ハインラインアーサー・C・クラーク、アイザック・アシモフといった作家たちが、このジャンルを切り拓いた1930〜1950年代のことを指すと言われている。筆者が最も興味を惹かれるのは、この時代の作家や読者たちが、SFの黄金時代に生きているという自覚を持っていたのかどうかという点である。

 ここから、本記事の話題であるインターネットへと話がつながる。われわれはインターネットの黄金時代に生きているのだ。つまり、ほとんどと言ってよいほどありとあらゆる場所からインターネットに接続でき、国民の大半がインターネットを利用しており、世界的に見てもほとんどの国の政府が(例外はある)インターネットに対して放任政策をとっているのである。多くの理由から、WWWはWorld Wide Webの略語ではなくWild Wild West(西部開拓時代の無法地帯)の略語であるといった方が適切だとも言える。とは言うものの、インターネットの黄金時代を脅かす懸念材料も姿を現しつつある。以下では、特に大きな懸念を10個選び出して解説している。

#1:政府による規制

 Stop Online Piracy Act(SOPA)とProtect IP Act(PIPA)が米議会で審議されたことで、インターネットへの規制がまたしても大きな話題となっている。インターネットのメリットを損なうおそれがあるすべての変革のうちで、筆者が最も恐れているのは官僚主義と政府による規制である。SOPAとPIPAは今のところ審議が延期された状態となっているものの、新たな脅威が首をもたげてくるのも時間の問題だろう。世の中の非合法行為を取り締まる法律は既にさまざまなものが存在しているにもかかわらず、議員たちはインターネットに特化した法律を制定しようと躍起になっているようだ。政府がインターネットに法と秩序を確立しようして逆に、守ろうとする対象を破壊してしまうことは十分あり得るし、その力を侮ることは決してできない。

#2:検閲

 インターネットの検閲は悪だという考え方が世の中の主流を占めている、とあなたは考えているかもしれない。しかしBBC World Serviceのアンケート調査によると、「インターネットは、世界中のどの国のどのような政府レベルにおいても規制されるべきではない」と回答したのは53%に過ぎなかった。インターネットの検閲は行われるべきでないと考えている人にとって、この調査結果は不安を感じさせるものであるはずだ。政府の規制によって良いものが台無しになる事例は、中国のような国家に目を向けるだけで十分だろう。

 実際のところ、インターネットの検閲は、一部の学校や公立図書館のコンピュータにフィルタリングを施している米国も含め、多くの国で行われている。また、インターネット上の情報の検閲を行う権限を持ち、実際に検閲を行っているのは政府だけではない。あなたのISPの利用規約をよく読んでみてほしい。「ISPが「好ましくない」と判断した内容は検閲の対象となる」という一文が見つかるかもしれない。

 幸いなことに、今のところは家庭からのインターネット接続に対して、厳しい検閲の目は向けられていないはずだ。だが、今までの「放任状態」と比較すると、インターネットの検閲はインターネットから言論の自由が制限されていくとともに厳しくなっていくということを意味している。

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