Twitterの身売り話がトーンダウン。最有力と見られていたセールスフォースも怪しい情勢

急速に膨らんだ売却への期待感は突然、失望感へと変わっていきます。

Twitterの身売り話が迷走しています。Twitterの身売りの可能性が報じられて以降、Google、マイクロソフト、VerizonといったIT企業から、ウォルト・ディズニー・カンパニーのようなエンタメ関連、さらには顧客情報管理など業務情報システム大手のセールスフォースなどが買い手として取り沙汰されました。さらにTwitterは第3四半期決算の期日である10月27日までにも売却先を決定することになるだろうとも伝えられました。

ところが、急速に膨らんだ売却への期待感は突然、失望感へと変わっていきます。買い手とされた企業はいずれも慎重に検討しているとされ、一部はすでに手を引いたとも伝えられるようになりました。これに伴いTwitterの株価は急落。10月7日の時点で、積極的な買い手候補として名前が上がるのはセールスフォースぐらいとなってしまいました。

各社が興味を示しつつも慎重になったのは、Twitterの業績不振などに加えて買収によるうまみがあまりにも薄いことも一因とされます。ReutersはTwitterへの投資によって得られる収益が、良く見積もって77億ドルとしています。Twitterの予想売却額は200~300億ドルとされることから、これでは投資収益の観点からはTwitterを手に入れる理由が見いだせません。

たとえばGoogle(Alphabet)のような企業なら、3億を超えるアクティブユーザーを持つTwiiterのデータから新たな価値を創出できそうな気もするものの、テクノロジーニュースサイトRecodeはGoogleがすでにTwitterの買収を見送る決定を下したと報じています。Recodeは同じ日にディズニーもやはり買い手から降りる決断をしたと伝えています。

記事執筆時点では、買い手としてまだ可能性が高そうなのはセールスフォースとされます。顧客情報管理(CRM)システム大手のセールスフォースがもし、Twitterを入手した場合 Twitterのサービスは企業向けのカスタマーサービスプラットフォーム、広告発信ツールとして活用されることになるとの具体的な観測もあります。ただ、セールスフォースには手元資金の不足という懸念があり、LinkedInの買収争いでも提示金額では勝っていたにも関わらず、現金を用意したマイクロソフトに敗れた苦い過去もありました。

一方、セールスフォースの株主らはセールスフォースにTwitterが必要とは考えていない模様です。セールスフォースの株価はCEOのマーク・ベニオフ氏がTwitter買収に乗り気だと報じられれは下落し、逆にベニオフ氏が「買わないかもしれない」と消極的な発言をすれば持ち直すといった動きを見せています。New York Timesはベニオフ氏の「私はTwitterを買うとは言っていないし、買わないとも言っていない」という言葉を伝えていました

ちなみに、セールスフォースは今年8月、元Facebook CTOで、それ以前にはGoogleでGoogle Mapsに携わったブレット・テイラー氏の企業Quipを買収しました。ブレット・テイラー氏はベニオフCEOとの関係が長く、Twitterの取締役も務めていることから、この買収話でもなにか役割を担っているかもしれません。

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