前回の記事


昨日、こんな記事を書きました。

日本でのネットサービスベンチャーの立ち上げ期はどうやって食っているのか - ロケスタ社長日記 @kensuu

すると、以下のような指摘がありました。

komamixさん
受託開発前提でやるならベンチャーやる必要ない。ただ思うように軌道に乗らずに受託っていうパターンでしょはてなとか/だから速攻で諦めた彼は優秀だと思いますよ。あの彼の考え方で続けて幸せなわけがない
abiruyさん
暇な会社で働きながら副業で立ち上げて、起動に乗ったら独立しました。
bboykk
会社作ってサービス作るんじゃなくて、サービスやアプリ作ってたらある程度収入が入ったから会社作るのが理想かな。
raituさん
ネットベンチャー創業期、自社サービスが軌道に乗り切る迄は受託で食いつなぐことになるよな。そこから上手く自社サービスに転じられた例は、はてなとnanapiか。そも軌道に乗るまでは会社創るなって説もあるが…
junmk2さん
どこまでスモールビジネスにしたらこの構造から逃れられるのかな...。あと僕がエンジニアだったらサービス作って利益生むまで会社辞めたり作ったりしないな、と思った。

これを見てて、おもしろいなーと思いました。というのも、「会社をやめる」という決断に関しては「重いものだ」という感覚があり、そこで物事が複雑になっているのではないかと思いました。

しかし、会社員でいるか、そうでないかというのは数ある選択肢のうちの一つであるので、それだけを特別視するよりも、他の選択肢でのメリット・デメリットを考えたほうがいい判断ができる気がします。

このあたりについて説明しようと思います。

前提


まず、前提としては、「ネットサービスは軌道にのってそれだけで食えるようになるまで支出が続くので、それまでなんとかしないといけない」というものがあります。そうでないものはここでは省きます。

で、要は「軌道にのるまでの支出を、何かを犠牲にしてまかなう必要がある」という話なだけだったりします。

手段は以下の4つがあります。

・自分のお金を犠牲にする
→常に持ち出しし続けるとか、貯金を切り崩すパターンです。

・将来のお金を犠牲にする
→要は借金です。

・株を犠牲にする
→要は投資を受けるということです。

・時間を犠牲にする
→他の仕事で稼ぐか(受託とか)・会社に勤めて稼ぐか

この4つのうち、どれかを選ぶか、複合的に使うというのが一般的です。

というわけで、時間を犠牲にするというのがいわゆる「受託」or「会社に所属する」か、なのかなあ、と思っています。

ということで、時間を犠牲にしようと思った人が、どちらがいいかと判断するときは、この二つのメリットデメリットを考えるといいのですね。

それぞれのメリットデメリット


まず、最初に僕の例を挙げておくと、最初の1年半くらいは会社員をやりながら会社をやってみて、うまくいかなかったので次の1年半は受託をやり、今は投資を受けてネットサービスを作っています。

会社員パターンと、受託パターンを2つやっている経験からお話します。

まずは、会社員のメリット・デメリットからです。

■会社員のメリット
・どんなにさぼっても安定して収入が入る
・事故や病気で休んでも給与が入る
・遅刻欠席しまくってもクビにされにくい
・仕事中に自分の会社の作業をやっていても、クビにならない

■会社員のデメリット
・一緒にやるパートナーと物理距離が離れている
・時間の自由が少ない
・会社の仕事が最優先になる

--

などです。会社員は、どんなにさぼっても給与が入る上に、なかなかクビにならないというのは最強です。

1人でサービスを作れちゃう人はこのパターンがいいかもしれません。たとえばGREEの田中さんや、togetterのyositosiさんとかはそうですね。それぞれ楽天、Yahoo!にいるときにサービスを作って、それが流行してから会社を立ち上げたりしています。

逆に2人以上でスタートするときは、時間の自由がきかないところがリスクになります。お互いの顔をあわせられないため、コミュニケーションロスが生まれたりすることで、サービスの進化スピードが落ちてしまいます。他の人と会うには、会社を抜け出すか、早朝・深夜・土日しかないので結構制限が大きいです。

次は受託を説明します。

■受託のメリット
・ 時間に対してのお金が会社に所属するよりも高い
・ 時間のコントロールがきく

■受託のデメリット

・ あきらめた時に転職できないかもしれない?
・ 事故とか病気になったときに収入がゼロに!

---

などがあげられます。

受託パターンの場合、一番いいのは時間が生まれやすいところです。会社員よりもはるかに短い時間で必要な額を稼げるので、犠牲にする時間が少ないのが魅力的です。

また、時間の自由度が高いのもすてきです。今月は収入は半分でいいから自社サービスに力を入れよう、などの判断ができたり、すぐに優先順位の高いことをやれたり、パートナーとすぐに会議できたりします。ご飯時などにも会議できたりするので、時間効率もいいです。平日昼間に、他の会社の人と会いに行けたりもします。

というわけで、僕は、この時間部分の影響が大きいことに気づいて、会社員パターンじゃなくて、受託パターンに切り替えました。

デメリットもあったのですが、要はかなりリスク部分を見ないと出てこないものな上、割と自分でコントロールできるものなのですね。とにかくネットベンチャーは時間が足りなくなることが多いので、そちらを優先したほうがいいサービスが生まれるのではないかなと思いました。

というわけで


ざっくりと説明してみましたが、いかがでしょうか。

個人的には、会社に雇われるって、仕事をする上のスタイルの一つでしかすぎない上に、仕事の仕方としてはあまり歴史も長くないものなので、あまり重く考えずに、フラットにメリット・デメリットを考えてみたほうがいいんじゃないかと思いました。