「利己的な著者であれ」

「引用文献」と「索引」が示されていない書籍に資料的価値はない.新書であっても必ず文献リストと事項&人名索引は付けるようにしている.誰のためかと言われたら,「自分のため」と即答する.そもそも本を書くのは自分のためであって,他人のためではない.あとで自分の本を検索するときに,文献リストと索引がないと困るのはほかならない自分だし.原書にはちゃんとある「脚注・文献・索引」の三点セットをすべて“省略”してしまう日本語訳本を見るたびに「地獄に落ちろ」と毒づいている.読者としての自分のためにならない本は書きたくないし,あとで自分にとって資料的価値がある本をつくりたいと思う.他人が読んで「おもしろい」とか「参考になる」と言ってもらえたら,それは文字通り望外の喜び.それを狙っているわけではない.