ビジネスを生み出す挑戦者たちの交流場--渋谷「StartUp44田寮」

 コワーキングという働き方は、スペースもさることながら、新しい仕事を創造するということが何より重要だ。渋谷にある「StartUp44田寮(44田寮:よしだりょう)」は、そのための場と機会を提供しているコワーキングスペースだ。

労働集約型から知的創造型労働へのシフトを

 44田寮を運営するのは、レスもあ代表取締役社長の赤木優理氏だ。赤木氏は、もともと不動産ベンチャーの出身。不動産業から離れるにあたり、これまでのような「労働集約型」のワークスタイルから「知的創造型」のワークスタイルにシフトすべきだと考え、働く人のための場の提供を志した。「今の日本にある閉塞感を打開するためには、起業家を育成する必要がある。そのためには働き方を変え、新しい価値を作り出すことが大事だと考えた。不動産業界出身ではあるが、『スペース貸し』だけでなく、そこから新しい分野に挑戦する人たちにこそ場を使うことが大事だと考えた」(赤木氏)

 その後、人づてに経堂でコワーキングスペース「PAX Coworking」を運営する佐谷恭氏と出会ってコワーキングという働き方に共感し、44田寮を立ち上げるに至った。「お金によるつながりではなく、コミュニケーションを通じて生まれる新しいアイデアから新しいビジネスを生み出す環境を作っていきたい」と語る赤木氏。特に注力したいと考えるのは、ITや農業、観光など、「外貨を獲得して、日本をもっと元気にできる分野」(赤木氏)だという。


レスもあ代表取締役社長の赤木優理氏

自治寮的な運営と実践的なプログラム

 44田寮は、フリーの席が約30席ほどのスペースだ。ホワイトボードやロッカーなどの設備を備えている。

 名前の由来は、同氏がかつて通っていた京都大学の学生宿舎「吉田寮」から。吉田寮は寮生が主体的に寮の管理や運営をすることで知られる。赤木氏はその思想をコワーキングスペースに持ち込みたいという。「自治寮のように、『利用している人たちが自分たち自身でスペースを作っていく』というコミュニティにするのが大事。そのために、月額利用者は月に一度の定例総会を行い、44田寮の運営方針などについて会議する。僕も含めた利用者全体でスペースをどう運営していくかを合議しながらやっていく」(赤木)

 そんな独特な運営方針と同時に、実践的なプログラムも特徴的だ。毎月2回ほど開催するイベント「B-JELLY」では、これからスタートアップをする人たちが事業のプレゼンテーションを行う。その内容に対して、IT系の会社経営者や士業従事者などの44田寮サポートメンバーや一般参加者らが議論し、サービスをブラッシュアップさせていく。

 また、入居を検討する人の中には、平日は会社で働き、将来的に起業を考える人たちも少なくない。そんな、アイデアを持っているが時間や技術力をもっていない会社員と、技術力はあるが受託中心となっている地方の制作会社をマッチングし、新しいビジネスを創出する仕組み作りにも今後は注力するという。「仕事を作る仕組み、そして仕事になる仕組みを作っていくことで、知的創造型の働き方を提示していきたい」(赤木氏)

 事業創出のためのプロジェクトをプログラムに組み込んでいるのには赤木氏の思いがある。「コワーキングと言うからには、きちんと“ワーク”をしなければいけない。ワークをするということは、きちんとお金を稼ぎ、そして日々ビジネスをしていくことだ。そのための場所であり、そしてそれらを支援していくことが、今後の重要な要素だと考えている」(赤木氏)

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