「きらきら星」のメロディーに合わせて、「ABCDEFG~」とアルファベットを口ずさんでいくあの有名な「アルファベットの歌」。最近この歌をテレビで耳にしたのだが、歌のリズムが昔と違っており、軽い衝撃を受けた。


筆者が子供だった当時は、キラキラ星では「お空の星よ~」に該当する第二小節で、HからNまでのアルファベットが歌われていた。ところが、現在バージョンでは、HからNに加えて、OとPまでもが歌われているのだ。リズムのイメージとしては、HIJKまでは同じリズムで歌いつつ、「LMN~」で終わっていたところを、「LMNOP~」と詰め込んで歌う感じである。

なぜ、リズムが変わったのだろうか? 知り合いの外国人に聞いてみると、「僕は昔から、LMNOP~って歌ってたよ」との回答が。筆者がしっている旧バージョンを歌って聞かせてみると、「なんじゃそりゃ」みたいな顔をされた。

納得がいかず、英会話教室で働く講師に聞いてみたところ、「どちらかというと、現在歌われているバージョンの方が、オリジナルなものなんです」とのこと。
知り合いの外国人氏の言う通り、アメリカやイギリスでは昔から、「LMNOP~」と歌われてきたらしいのだ。

歌の歌詞には、区切りの言葉の発音を合わせる「韻」というルールがある。「LMNOP~」と歌う「本来の」アルファベットの歌では、小節ごとの区切りの文字はそれぞれ「G」「P」「V」「Z」である。これらのアルファベットの発音はそれぞれ、「ジー」「ピー」「ヴィー」「ズィー」に近い音であり、ちゃんと韻が踏まれているのだ。

日本で歌われていたバージョンがこのようなリズムではなかった理由については、「日本では、Zがゼットと読まれるなど、もともと韻が関係しなくなっていたので、オリジナルを採用する必要性が薄かったのかもしれません。また、特にL、M、Nの発音が日本人には聞き取りにくく、難しいので、早口にならないよう配慮したのではないでしょうか(講師)」とのこと。


ということで、現代っ子は昔の子供よりも、ちょっとだけ難しいアルファベットの歌を歌っているのだ。
(珍満軒/studio woofoo)