本人に直接言わず、上司に電話
「オフレコ破り」と抗議してきた経産省の
姑息な「脅しの手口」

「枝野批判」の情報操作がすっぱ抜かれ大あわて
〔PHOTO〕gettyimages

 「銀行は債権放棄を」という枝野幸男官房長官発言に対して、細野哲弘資源エネルギー庁長官が「いまさら、そんなことを言うなら、これまでの私たちの苦労はいったい、なんだったのか」と言ったオフレコ発言を14日付けの当コラムで紹介した。

 幸いにも多くの読者を得たようだ。その中の1人、経済産業省の成田達治大臣官房広報室長が私の職場に"抗議電話"をかけてきた。霞が関がマスコミ操縦に使う「脅しの手口」がよく分かるので、紹介したい。

 成田は私に直接、電話してきたのではない。私の「上司」に電話したのだ。

 上司がすぐ私に教えてくれたので、こちらも気がついたが、私はすぐ成田に電話した。以下は、その際のやりとりである。

「それは上司に聞いてください」

「なにか私の記事の件で『上司』(やりとりでは実名、以下同じ)に電話したそうだが、どういうお話だったのか」

「それは『上司』に聞いてください」

「オフレコ話を書くのはけしからんとか、書いては困るといったような話と聞いたが」

「いや、私は書くなとは言ってませんよ」

「じゃ、どういう話なのか」

「私が言ったのは、懇談会の冒頭で私から『一部オフレコの部分もある』と言い、細野からも「ここはオフレコで」と言ったが、とくに反論や意見はなかった。終わった後で長谷川さんからも反論や意見はなかった。それなのにネットで書いたのは、どういう判断なのか。そちらはそういう会社なんですね。信頼関係が崩れている。とても信頼できない。これからは、そういう前提で対応を考えさせてもらう」

「対応を考えさせてもらう、というのは、どういう意味か」

「こちらは信頼できないと言っている。どうするかは、そちらの判断だ」

「分かりました。ありがとうございました。あなたから、そういう電話があった件もまた書かせてもらう」

「ちょっと待ってください。どういうつもりか」

「忙しいので、これで失礼する」

 以上である。ほんの2、3分の会話だ。

 官僚はこのようにマスコミと困った事態になると、記者当人ではなく「上司」に文句を言ってくる。たいていの記者は上司から注意されると出世に響くと思って、口をつぐんでしまう。「記者もサラリーマン」という弱みにつけ込んだ「恫喝」である。

 本人との直接対決はできるだけ避けようとする。直接対決すると新たな接触が、またネタになる可能性がある。「もしかすると、また書かれてしまうかもしれない」と考えて、リスクを最小化するのである。まったく卑しい手口である。

 そういう事情なので、相手は初めから私とまともに議論するつもりはない。「脅せば十分」という話である。

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