【11月24日 AFP】ユニセフ(UNICEF)のイノチェンティ研究所(Innocenti Research Center、本部:イタリア)は18日、エジプト、エチオピア、ケニア、セネガル、スーダンの5か国で実施している共同体主導の女子割礼(女性器切除、FGM)廃絶キャンペーンについて分析した報告書を公表した。

 報告書は、何世紀も前から続いてきた習慣を終わらせることは困難で時間もかかるが、「社会規範が進化し社会の期待が変化すれば」可能になるとして、地元の伝統に敵対するのではなく共同体を巻き込んでいくべきだとする新たなアプローチ法を提案した。

 同研究所が上記の5か国で行っているキャンペーンは、地元メディアを使ってFGM廃絶を訴えるほか、宗教指導者など地元有力者や、その国の政府と協調するというものだ。

 報告書は、「地元の文化に『敵対』して伝統的な習慣を良くないものと宣伝するよりは、地域で共有されている価値観を尊重するという姿勢を示しながらキャンペーンを進める方が効果的」としている。

 また、共同体でFGMの廃止を宣言するのも良い方法だという。なぜなら、ある習慣をやめる時、ほかの家族もやめるから自分もやめる、というのが普通だからだ。

■まず、切除しないという選択肢があることを知ってもらう

 FGMは少女の陰核の一部または全部を切除するもので、感染症をはじめ、深刻で長期的な健康被害を招く恐れもある。報告書によると、エジプト、エチオピア、スーダン北部では人口の大半がFGMを続けている。ケニアとセネガルでは、FGMを受ける確率は一部の人口集団で依然として高い。

 報告書によると、FGMが当然のように行われている共同体における廃絶キャンペーンの第一歩は「切除しないという選択肢があることを知ってもらう」ことになる。セネガルではFGMを禁止する法案が国会で可決されたが、各共同体での周知期間を考慮し、施行は2年間延期されたという。(c)AFP