「物事を決断する際に、感情はいかにして影響するのか」...この疑問を発端として行われた興味深い研究結果を、兄弟メディアKotakuが紹介していました。以下、こちらの記事より転載します。

ふたりの心理学者は単純な疑問を持ちました。「感情はどのように決断力に影響を及ぼすのだろうか...?」と。彼らが発見したのは、私たちが通常なら関連づけないふたつの感情間に存在する強い関係性でした。短気な人々は、幸せな人々と同じくらい楽観的な選択をするというのです。

詳細は以下より。2001年、ジェニファー・S・ラーナー氏とダッチャー・ケルトナー氏は、ボランティア学部学生の協力の元で行われた心理学試験のシリーズの研究文書を発表しました。その試験は、被験者の通常のムードを測った後で、高確率で多くの人間が殺される状況に置かれた場合の決断と、救出される可能性に関しての質問をしました。

その結果、短気な人達はより多くの人々を救うなら、リスクを背負うというより楽観的な決断をするということが分かったのです。一方で、臆病な人達はリスクを少しでも負うのであれば、多くの人々を犠牲にするという悲観的な決断を選びました。

そして、ここからが興味深い所。怒っている人達は、同じ試験をした友好的な人達と同じようなスコアを出したのです。それが何を意味するのかと言うと、友好的でも、短気でも、人は楽観的な決断をする傾向があるということ。当然、楽観はリスクを伴います。つまり、短気な人達と友好的な人達は臆病な人達よりもリスクを負うことを好む、ということです。

ラーナー氏とケルトナー氏がJournal of Personality and Social Psychologyに書いた文書を抜粋すると以下の通り。

友好的な人達と短気な人達が楽観的な判断や選択を行う一方で、臆病な人達は一貫して悲観的な判断や選択を行いました。

恐れや怒りは、リスク回避という点で真逆の効果を発揮するのです。臆病な人達は悲観的にリスクを推測して回避しようと主張しましたが、短気な人達は楽観的にリスクを推測して、そのリスクを求める選択をしました。これら真逆のパターンは、自然に発生したものと実験的に誘導した恐れと怒りで見られました。それだけでなく、短気な人達の推測は、臆病な人達のそれよりも、友好的な人達のものにより似ていたのです。

この発見の鍵は、元々短気な人でも、それが実験的に引き起こされた怒りであっても同じ結果になったことでしょう。つまり、危機的状況に陥った時は意図的でも怒りの感情を持った方が良い方向に向うかもしれない、ということです。とは言え、リスクが高くなるということは念頭に入れておく必要があると思いますが...。

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[via io9

(中川真知子)

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