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ロシアの漢字略称「魯」が「露」に変わったワケ

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ロシアの漢字略称でよく目にするのは「露」ですが、かつて「魯」と表記していた時代がありました。1855年に日本とロシアの間で結ばれたのは日魯通好条約のはずですが、現在の歴史教科書では日露和親条約(日露通好条約)となっています。なぜ「露」が「魯」に取って代わったのでしょうか。

「魯西亜」では「愚か者」の意

日本では江戸時代から明治時代にかけて、ロシアの漢字表記は「露西亜」「魯西亜」「俄羅斯」「峩羅斯」など、いくつか見られました。なかでも多く使われていたのが「魯西亜」で、江戸時代末に訪れたロシア使節に対し、江戸幕府はこの呼称を用いました。それで1855年の条約では「魯」の字が当てられたわけです。それが1875年の樺太千島交換条約の条文では「魯」に代わって「露」が使用され、以後「露」表記が主流になっていきます。

この表記変更の背景には、ロシア側からの強い抗議があったとされています。「文字は踊る」(大阪毎日新聞社、1935年)によると、「『魯』の字は、『おろかもの』の意味であるといふので、ロシア政府から、わが政府に抗議して來た。その後は、『魯』のかはりに、『露』の字をあてるやうになつた」といいます。

定着に時間かかった「露西亜」

近代文学に見られる「ロシア」の漢字表記変遷
   ~1887年魯西亜、峩羅斯(ヲロシヤ)、魯西亜(ロシヤ)、
俄羅斯(ラシヤ)、露西亜、魯
1888~1907年露西亜、露国、魯西亜、魯国
1908~1926年露西亜(ロシヤ)、魯西亜(ロシヤ)、露西亜、
魯西亜

その抗議がいつあったのか正確な記録は残っていないようです。ただ、幕末・明治期の歴史学者、重野安繹(しげの・やすつぐ)は1904年に行った講演で、1872年か1873年ごろにロシアから「魯と云うのは魯鈍の魯の字であって、字が悪いから露の字に変えろ」という照会があったと述べています(「歴史評論」457号の熊沢徹氏の論文による)。これは1875年の表記変更と時期がほぼ重なりますので、1870年代前半にはロシア側から抗議があったとみていいでしょう。ちなみに東京外国語学校(東京外国語大の前身)の魯学科が露学科に名称を変えたのは条約の後の1877年です。

 とはいえ、この頃から「露」表記が広く使われるようになったわけではなく、文学作品などではまだまだ「魯」が見受けられました。新聞で「露」が使用されるのは1880年代に入ってからで、定着するまでもう少し時間がかかったといいます。中外物価新報(日本経済新聞の前身)の古い紙面を繰ってみたところ、1878年3月23日付には「魯」が、1885年4月30日付では「露」がロシアを表す見出しとして確認できました。

好んで「魯」を使った社名も

漢和辞典で「魯」を調べると、確かに「おろか。にぶい」(大漢和辞典)という意味が書かれていますが、日本ではロシア側が気にするほど「魯」に悪いイメージはなかったのではないでしょうか。中国春秋時代の国「魯」は孔子の生まれた国としても知られていますし、「魯」を使った姓名もあります。また、好んで社名に「魯」を使う企業もありました。むしろ「露」のほうに良くない印象があったかもしれません。

水産最大手、マルハニチロホールディングスの前身のひとつであるニチロの旧社名は1989年まで「日魯漁業」でした。旧日魯が設立された1914年は、すでに「露」が使われていた頃でしたが、「露」では「はかないツユ」に通じて縁起が悪いとする一方、「日魯」を縦に並べれば2つの「日」が「魚」を挟み「毎日毎日魚がとれるという意味になって縁起が良い」(日魯漁業経営史第一巻、1971年)という発想で、社名には「露」ではなく「魯」が採用されました。漢字の意味の捉え方には、それぞれ理由があって面白いところです。

なお日本経済新聞では、1991年12月のソビエト連邦消滅後、ロシアの略称を漢字の「露」ではなく、片仮名の「ロ」で統一しています。「露」は現在、日露戦争や条約名など主に歴史に関する語として使われています。

(小林肇)

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