砂糖が脳と身体に及ぼす影響。過剰摂取を防ぐためのテクニックも紹介。

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    砂糖が脳と身体に及ぼす影響。過剰摂取を防ぐためのテクニックも紹介。

    私たちは、日々、大量の糖を摂取しています。意識的に、の場合もありますし、気づかないで摂っている時もあります。

    大変身近な糖ですが、糖についての知識って意外と少ないのではないでしょうか? 糖には沢山の種類があり、身体がその糖を分解する様子もそれぞれ違います。糖は毒だって思っている人もいるし、糖がなかったら生きて行けないって思っている人もいますよね。

    今回は糖の種類糖が身体に及ぼす影響健康な食生活にどのように関与するのかをまとめてみました。糖の働きなんて知ってるし、っていう方は最初は読み飛ばして、最後の健康的な糖の摂り方だけ読むっていうのもオススメです。

    糖の種類

    糖には沢山の種類があります。糖の代替品も入れたら本当に沢山あります。ここでは、私たちが身近に出会うことの多い、グルコースフルクトースの2つについて解説します。

    グルコース

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    グルコースは単糖です。人間の細胞はグルコースをエネルギーとして使うことができます。身体に摂り込まれたグルコースは膵臓を刺激してインシュリンの分泌を促します。インシュリンの増大を脳が認識すると、だんだんと満腹になっていきます。ここで大切なのは、グルコースを十分に摂ると、脳が食べるのを止めろという命令をだすという事です。

    しかしグルコースだって完璧ではありません。グルコースを分解する際に、超低比重リポ蛋白(VLDL)というのが肝臓で作られます。VLDLは好ましいものではありません。心臓など循環器系の疾患の原因となります。幸いなことに、グルコースのうちVLDLになるのは24 カロリーの内1カロリー分だけです。だからVDLDとなる物質をグルコース以外に摂取していなければ大きな問題にはなりません

    スクロースと異性化糖

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    ここでは、スクロースと異性化糖を同一に扱います。2つとも非常に甘く、大部分がフルクトースでできているという所が共通しているからです。スクロースは50%がフルクトース、異性化糖は55%がフルクトースです。多くの場合、フルクトースは身体に害を及ぼします。フルクトースは肝臓によってしか分解されず、それがよくないのです。というのはグルコースの3倍程度のカロリーが肝臓による分解を必要とするので、よりVLDLが作られ、太る可能性も高くなります。また、尿酸など他にも高血圧の原因とされる物質ができてしまいます。

    最悪なのは、フルクトースの摂取は脳に気づかれにくいということです。それは脳がレプティンというプロテインの一種に反発するからです。レプティンはエネルギーの摂取や消費をキープするのに大切な物質です。食欲にも寄与するし、効率的な代謝にも必要です。結果、満腹になったということに気づかずに食べ続けてしまうのです。

    たとえば、炭酸飲料(ダイエットなんちゃらではない普通のやつ)には沢山のフルクトースが含まれています。炭酸飲料にはカロリーが沢山含まれているのに、炭酸飲料を飲んで満腹になる事はあまりありません。糖を摂取したということを脳が認識できないので、空腹感が消えることはないのです。

    これらはフルクトースの分解について言われている様々な問題のほんの一部です。しかし、知っておいて欲しいのは、フルクトースはデブのもとだということです。

    もちろん、フルクトースだって、いつも悪者という訳ではありません。もし、あなたがプロのアスリートならグリコーゲンの供給を素早く行ってくれる異性化糖をオススメします。そういう目的でスポーツドリンクには異性化糖が沢山含まれています。でも運動を集中的に行わない人達にオススメできる糖ではありません。

    加工品と非加工品

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    果物にはフルクトースが沢山含まれています。しかし、専門家は果物はokと言っています。フルクトースがあまり身体によくないとすれば、なんで果物はいいんでしょうか?それは果物が加工品ではなく、食物繊維を含んでいるからです。確かにフルクトースを摂取しても脳は満腹感を感じることができません。しかし、食物繊維がそれを補ってくれます。脳は食物繊維によって満腹を感じることができるのです。だから、フルクトースは含まれていても果物は食べていいんです。フルクトースたっぷりの炭酸飲料を飲むのとはちょっと違うわけです。

    同じ事が砂糖にも言えます。砂糖は自然界にあの白い結晶として存在しているわけではありません。サトウキビから精製されるわけです。作られた砂糖にはサトウキビの食物繊維はまったく含まれていません。食物繊維なしで味だけ取り出している、これが砂糖が問題になっている原因です。なぜ、食物繊維を残しておかないのでしょうか? 全部でなくても、せめてちょっとでも残しておいてくれればいいのに。それは食物繊維入りだと保存期間が短くなるからです。食べ物を加工するということは、保存できる状態にするということです。加工することで世界中に出荷することができます。出荷している間にダメになってしまったら困ります。だから加工食品から食物繊維は取り除かれてしまうのです。

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    加えて、加工食品の多くは、低脂肪にすることでより悪い食べ物になってしまっています。低脂肪というといいんじゃないの? と思う人も多いと思います。しかし、脂肪を摂ったからといって、脂肪が身体につくわけではないんです。身体は脂肪を一回分解して、それから再度脂肪に作りなおします。だから脂肪を摂ること自体は普通ならそんなに大きな問題にはなりません。それにも関わらず、過去40年間、私たちは低脂肪を妄信してきました。加工されていない食べ物はそんなに脂肪が含まれていなくてもおいしいのに、そこから脂肪を抜こうとするとどうなるでしょうか?まずい加工食品ができるのです。

    企業もその事は承知で、問題を解決するために糖を(多くの場合塩も)を沢山加えているのです。こうして、脂肪という身体が使用できるエネルギーをフルクトースに変えてしまっているのです。

    これらが健康でいたいと思うなら加工食品は食べない方がいいという主な理由です。もちろん全ての加工食品がこうだとは言っていません。しかし、そうでない可能性よりはそうである可能性の方が断然に高いということは言えます。加工食品のパッケージで糖がどの程度含まれているか確認してみれば本当の事が分かると思います。

    健康的に糖を消費する方法

    そんなに健康に問題でない糖と、フルクトースが多く含まれている悪い糖があることは分かりました。フルクトースが加工食品に沢山含まれているとしたら、食生活を改善しつつ、大好きなお菓子を楽しむにはどうすればいいんでしょうか?

    これから、いくつかの方法をご紹介します。実践するのにちょっと忍耐が必要なものもあるし、どんな人でも簡単に取り入れることができるものもあります。

    もし、砂糖の摂取量を減らすのに挑戦しようとしている方がいたら、これだけは覚えておいてください。自分が達成したことに自覚的であること。多くの場合、一気に改善しようとして失敗は起こります。ちょっとずつ変えていった方が簡単だし、続けるのも簡単です。

    砂糖入りの飲料をやめる

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    これが一番大切なことです。フルクトースが沢山含まれている炭酸飲料は本当に大きな問題です。上でも述べたように、炭酸飲料を飲んで糖を沢山摂取しても、身体はその事に気がつけません。炭酸飲料によって十分に糖を摂っているのにも関わらず、空腹のままだし、炭酸飲料を飲み続けることだってできるんです。それに、コーラを始めとして多くの炭酸飲料にはナトリウムも含まれています。なんで、塩が炭酸飲料に含まれているのでしょうか? それは喉の乾きを促進させて、もっと炭酸飲料を飲みたいと思うようにしているのです。そうなったら企業はより儲かりますもんね。それにカフェイン入りの場合だとカフェインの利尿作用によって、より乾きが促進されます。だから炭酸飲料などの砂糖入り飲料は単にフルクトースがたっぷりというだけではなく、おすすめできません。

    なにより最悪なのは、これらには栄養が全くないっていうことです。たとえば、他の砂糖入りの食べ物、ドーナッツとかケーキを食べるなら、いいんです。脳は食べたということを認識できますから。でもフルクトースたっぷりの炭酸飲料は違います。やめたって身体は何にも困らないのです。だから一番いいのは、炭酸飲料は完璧に止めてしまうことです。これは一番忍耐がいると思いますが、一番重要です。炭酸飲料を止める事で簡単に砂糖の摂取量を減らすことができます。だって、脳がカウントしない糖を摂取するのが格段に減るわけですからね。

    では何を飲めばいいのか? 答えは水!

    これはある種の人々にとっては堪え難いことみたいです。しかし、水以外の飲み物ってだいたい加工品なんです。もちろん、もう二度と砂糖入りの飲料水を飲むなと言っているわけではありません。でも、砂糖入り飲料水を飲めば飲むほど、糖の摂取量をコントロールするのは難しくなるってことは覚えておいてください。砂糖入りの飲料水やアルコールを飲みたかったら、飲んで20分以内に消費することを目指してください。(この方法は、デザートを食べちゃったときにも有効です。食べて、20分以内に消費するようにしましょう! )

    砂糖と一緒に食物繊維を摂ろう

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    加工食品と非加工食品の所でも言ったように、食物繊維は砂糖の摂取量を減らすのに大変効果的です。カロリーを摂ったから、もう食べる必要ないよということを脳に伝えてくれるわけですから。フルクトースと食物繊維はお互いに補い合っています。食物繊維にない甘みをフルクトースが担い、食物繊維がフルクトースの欠陥を補ってくれているのです。だからフルクトースをとるときは食物繊維を一緒に摂るようにしましょう。果物を食べたり、その他にも食物繊維入りのものを摂ったりね。

    大量に砂糖が含まれている加工食品を止める

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    本当は加工されていない材料から食事をつくるのが一番いいのですが、忙しいと毎食作るのは難しいですよね。加工食品を止めるっていうのはいい考えだけれど、現実的ではありません。だから、加工食品の選び方に気をつけましょう。購入時には砂糖の有無をチェックしましょう。デザートじゃないのに砂糖が入っていたらそれは避けた方がいいでしょう。異性化糖がリストの始めの方にあるのも避けましょう。全粒入りのパンを買いましょう。そしてできるだけ出来合いのものじゃないようにしましょうね。それから食物繊維入りの食べ物を! 食物繊維入りだとダメになっちゃうのが早いので、買い物の回数は増えてしまうかもしれませんが、全部作るのよりは断然実現できるはず。

    家に甘いものを置かない

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    もしデザートに目がないのだったら、デザートを家に置かないようにしましょう。これは本当に有効な方法です。誰だって持ってないものを食べることはできないんですからね。もしも、本当に食べたいのだったら、食べてもいいですが食べるまでをちょっと面倒にしておくのです。夕食を食べて、その後にどうしてもデザートが食べたいってなったら、それから家を出て買いに行くようにしましょう。どうしてもっていうのは、食べたいって20分以上思うようならということです。20分の間に別にいいやってなることもあるでしょう。20分経ってもデザートが食べたかったら、出かけて行って適切なサイズのデザートを買いましょう。デザートを買いに行くのを習慣化しないように気をつければ、欲求先延ばし作戦は成功する可能性が高いですよ!

    全部絶ってはダメ!

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    もし今あなたが、結構な量の砂糖を摂取しているのだとしたら、あるいは砂糖が大好きなんだとしたら、それを全て絶つのはおすすめできません。食べ物を我慢することが精神的によくないからという理由だけではありません。おそらく、甘いもの依存になっていると考えられるからです。Psychology Todayに記事を書いているAngela Pirisiは心理学者のBart Hoebel博士の研究をあげて、こういっています。

    ラットを使った実験では砂糖に対する依存の兆候は10日で現れました。つまり動物が砂糖を渇望するようになるまでに長い時間は必要ないということです。脳内のオピオイドとドーパミンの組み合わせが、依存を導きます。この神経伝達物質がなくなると動物はいらいらし、甘いものをもう一度食べたいと思うようになります。

    人口甘味料でもこの依存状態は起きるので、Hoebel博士によるとカロリーではなく甘みが重要なのではないかということです。研究ではなぜ、このような渇望がおきるのかは明らかにされていませんが、糖に依存性があるとみなすことはできるでしょう。だから、糖を減らすなら、ゆっくりやりましょう。

    動こう!

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    動かないと新陳代謝がすっごく悪くなってしまいます。ずっと座っているっていうのはほとんど死の前兆ですよ。動くようにしましょう! 写真にあるみたいに机の高さを高くして、座る代わりに立って机に向かうっていうのもありです。ただ気をつけて欲しいのは、ちょっと運動したからってカロリー的にはそんなに意味がないんです。立ったり、歩いたり、走ったりなんていうのはね。20分のランニングに出かけたってミントクッキー2枚分くらいのカロリー消費にしかなりません。(もしすっごく速く走ったなら、もしかしたら3枚分になるかも。)ファーストフードで食べたカロリーを消費しようと思ったらほぼ1日運動しなきゃいけません。そんなこと誰にだってできそうにありません。

    運動が必要なのは、それがストレスを減らしてくれて、食欲を減らすことにつながるからです。それに新陳代謝も促してくれて分解した栄養が脂肪になりにくくなります。これらはカロリーを消費することよりもよっぽど重要です。立つという行為は、座っていることによる悪影響を取り消す効果があります。でもずっと立っているわけにはいきませんよね。代わりに、30分毎に立ち上がって歩くようにしましょう。もし、仕事中には立ち上がるわけにいかないのだったら、1日で1時間だけでいいので実践しましょう。これならほんのちょっとの時間できるし、なにもやらないよりはずっといいですよ。

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    1日の内どれ位座っているかはこの際無視して、動く時間をつくるようにしましょう。簡単な散歩でもいいんです。運転する代わりに歩いたり、スポーツを楽しんだり、エクササイズしたり、部屋を掃除したり、なんでもいいから動きましょう。座りながら楽しむテレビとか映画とかを立ちながらみたり、ちょっと動きながらみてもいいと思います。テレビに集中できないって思うかもしれませんが、運動を生活に取り込みながらもいつも楽しんでいるテレビをあきらめないで済むっていう非常にいい方法だと思いますよ。

    何事もそうであるように、糖だって完璧に悪者という訳ではありません。ただ、我々をめぐる問題は糖がありとあらゆる食べ物に入っているということなのです。だから何を食べているかに気をつけて、摂りすぎないように気をつければ、砂糖は人生を豊かにしてくれます。大切なことは何を食べているかを知って、正しい選択をすることです。砂糖の過剰摂取を防ぐのに必要なのは革新的なことではありません。ちょっと注意を払うようにすることです。

    Adam Dachis(原文/mio)