気仙沼港でカツオの初水揚げ 3週間遅く
カツオの水揚げ量全国1位を誇る宮城県・気仙沼港で28日朝、震災後初の水揚げがあった。漁港の岸壁は津波による被害を受け、23日に復旧したが、カツオの北上が遅れ、開港したものの水揚げがない状態が続いていた。例年より約3週間遅い初水揚げに、復旧途上の漁業関係者は喜びの表情を浮かべるとともに、日本一のカツオ漁港の復活を誓った。
午前5時半過ぎ、2日前に塩釜港を出港し、前日に福島県沖約160キロで操業した巻き網船「第31大師丸」がカツオ35トンを水揚げ。この日を待ちわびた気仙沼漁協の職員ら約20人が魚をベルトコンベヤーに乗せ、6段階の重さ別に、それぞれの海水の入ったタンクに入れた。
この日1番多かったのは「中小」と呼ばれる重さ1.8~2.5キロのサイズ。水揚げ後の入札では、例年の相場よりやや高い1キロ当たり最高590円の値が付いた。
入札にきた市内の卸売業者、菅谷利生さん(63)は「気仙沼ブランドは人気があるので、再開してうれしい。ただ卸先の魚屋はほとんど全壊しており、復興はこれから」と話した。
ベルトコンベヤーのカツオを仕分けた気仙沼漁協職員、鈴木宏司さん(35)は「港がやっと本来の姿に戻れた。カツオがいつ入るか毎日やきもきしていた」と感慨深げ。ただ28日は午前3時前に起きて出勤、「3カ月半ぶりの早起きはつらい。しばらくは体が慣れないかも」と苦笑した。
同漁協によると、例年のカツオの水揚げ最盛期は群れが三陸沖を北上する7~9月。震災では押し寄せた津波により多数の漁船が岸に打ち上げられたほか、漁港周辺の水産加工施設も壊滅的な被害を受けた。
震災前に1キロあった漁港の岸壁は、半分が津波で破壊された。残った500メートルも約70センチ地盤沈下し大潮の満潮時などには水没していた。そのため200メートルの岸壁に鉄板を敷いてかさ上げするなどの応急工事で、水揚げができるようにした。